おすすめポイント [ぜひ読んでみてほしい] 推薦リスト
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  1. 推薦者 : 和多 和宏   (理学研究院・教員)

    神経科学に基づいた教育

    脳はこうして学ぶ : 学習の神経科学と教育の未来 / スタニスラス・ドゥアンヌ著 ; 松浦俊輔訳. - 森北出版, 2021   北大ではどこにある?

    医学が、経験をもとにした医術から生命科学を土台としたサイエンスの一部となったように、教育も同じ軌跡をたどるだろうと思う。
    本のタイトルに惹きつけられた人は、読んで決して後悔しない内容になっている。

    登録日 : 2022-07-01

  2. 推薦者 : 和多 和宏   (理学研究院・教員)

    ノーベル賞を取った人の半分はその先生もノーベル賞を取っている

    メンター・チェーン : ノーベル賞科学者の師弟の絆 / ロバート・カニーゲル著 ; 熊倉鴻之助訳. - 工作舎, 2020   北大ではどこにある?

     自分の経験からも、これまで行ってきた研究や自分の研究室を運営するなかで、自分がとってきた行動・決断は、確かにこれまでに自分が所属してきた研究室及び、ここでいう研究の師匠(メンター)の影響を間違いなく受けている。
     落語の世界では、「師匠選びも芸のうち」という。これは、研究の世界でも指導教官を選ぶ際に通じるところがあると思う。これから自分が入る研究室を選ぶ前に、この本を一度読んでみると何か違う視点を得れるかもしれない。

    登録日 : 2022-07-01

  3. 推薦者 : 和多 和宏   (理学研究院・教員)

    スポーツ能力を遺伝と環境の観点から考える

    スポーツ遺伝子は勝者を決めるか? : アスリートの科学 / デイヴィッド・エプスタイン著 ; 川又政治訳. - 早川書房, 2014   北大ではどこにある?

     小学校・中学校の体育の時間で、自分をふくめた同級生の運動能力の違いって何だろうと考えなかっただろうか?なぜ自分は運動会の駆けっこでいつも一番になれないのだろうと思わなかっただろうか?自分がもし、小さいころから毎日10Km走り続けていたら、オリンピックのマラソン選手になっていただろうか? 運動は紛れもなく生物としての表現型の一つである。ということは、遺伝と環境の両方の影響を受けるはずである。具体的にどのように影響を受けるのか? どうぞ読んでみてください。そして考えてみてください

    登録日 : 2022-07-01

  4. 推薦者 : 和多 和宏   (理学研究院・教員)

    進化を実験する

    生命の歴史は繰り返すのか? : 進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む / ジョナサン・B・ロソス著 ; 的場知之訳. - 化学同人, 2019   北大ではどこにある?

     私は中学生のとき、古墳時代を研究する考古学者になりたいと思っていた。中学校の郷土部という文化系クラブに所属していて、調査研究というものをはじめて体験した影響も強かったと思う。しかし、歴史を研究することの難しさというか、歯がゆさに気がついた。歴史の一回性、再現検証の問題である。人と人、文化と文化の交流など、そのとき、その場で起こったことにゆえに歴史が形成される。その時間の流れを後世になって、あれこれ推測して精度・深度を上げても、いつまでも「多分そうだったのだろう」ということしか言えないだろう、それをもって自分が分かったと納得で...   [続きを読む]

    登録日 : 2022-07-01

  5. 推薦者 : 畠山 美緒   (事務局・職員)

    謎解き青春図書室ミステリー

    本と鍵の季節 / 米澤穂信. - 集英社, 2021   北大ではどこにある?

    堀川次郎、高校二年で図書委員。不人気な図書室で同じ委員会の松倉詩門と当番を務めている。

    開かずの金庫、テスト問題の窃盗、亡くなった先輩が読んだ最後の本──
    図書室に持ち込まれる謎に男子2人が挑む、謎解き青春図書室ミステリーである。

    登録日 : 2022-03-10

  6. 推薦者 : 畠山 美緒   (事務局・職員)

    スクールカーストの実態とは。

    石黒くんに春は来ない / 武田綾乃. - 幻冬舎文庫, 2019   北大ではどこにある?

     スキー教室が開催されている最中、石黒くんが意識不明の重体で発見された。学校の女王・京香に告白し振られ、クラス全員に失恋をバラされたショックによる自殺未遂かと思われた。しかし、学校は一貫して無視。だが半年後、名ばかりの偽善グループライン「石黒くんを待つ会」に、病院で眠り続けているはずの本人が参加し大混乱に陥る。一体どういうことなのか??
     弱肉強食だった教室の生態系が崩れ出す。スクールカーストの実態を体感せよ!

    登録日 : 2022-03-10

  7. 推薦者 : 畠山 美緒   (事務局・職員)

    貧困女子のリアルとは―――

    神さまを待っている / 畑野智美. - 文藝春秋, 2018   北大ではどこにある?

    大晦日、ホームレスになった―――

    文房具メーカーで派遣社員として働く四大卒の女性・二十六歳の水越愛。
    派遣期間の終了とともに正社員になるはずだったが、会社の業績悪化で職を失 う。正社員雇用を目指して必死に求職活動をするが、うまくいかずホームレスに なってしまう。
    漫画喫茶に寝泊まりしながら日雇いの仕事でお金を稼ぐ日々。そんなある日、漫 画喫茶で出会った女性から「出会い喫茶」の勧誘を受ける―――

    コロナ禍の今、ぜひ手に取ってみて欲しい小説だ。

    登録日 : 2022-02-04

  8. 推薦者 : 畠山 美緒   (事務局・職員)

    少女の死が語るものとは―――

    その日、朱音は空を飛んだ / 武田綾乃. - 幻冬舎文庫, 2021   北大ではどこにある?

     ひとりの少女が、学校の屋上から飛び降りた―――読者に衝撃的な事実を突きつけるところから、物語は始まる。彼女の名前は川崎 朱音(かわさき あかね)。彼女はなぜ空を飛んだのか。彼女の身に一体何があったのか。
     それを解き明かすは、彼女を取り巻く6人の生徒たち、そして朱音本人である。
     各章の冒頭には、学校から配られたいじめに関するアンケートが掲載されており、その回答者のフィルターを通して、朱音との関係や彼らの日常が語られていく。教室という空間をさまざまな角度から照らすことで、彼らのいびつな関係性が徐々に明らかになる。少女の死が浮き彫りに...   [続きを読む]

    登録日 : 2022-02-03

  9. 推薦者 : 畠山 美緒   (事務局・職員)

    ほろ苦い青春を刮目せよ!!

    青い春を数えて / 武田綾乃. - 講談社文庫, 2021   北大ではどこにある?

     理想と現実の狭間で揺れる“もう子供じゃいられない”、そんな5人の女子高校生が主人公の連作短編集です。
     NHKのコンテストを目指す放送部の物語。エース女子部員の有紗と、あることをきっかけに消極的になってしまった知咲。二人の間の溝は深まるばかり。しかし、そこに純粋な新入部員の唯奈が現れる―――白線と一歩。
     無駄なことはしたくない帰宅部、菜奈。受験に関係のない科目は勉強しないため、いつも一人で生物の補習を受けている。しかし、今回は何故か学年トップクラスの長谷部がいるではないか??彼は、放送部の知咲に感化され、あることを検証しているのだ...   [続きを読む]

    登録日 : 2021-12-23

  10. 推薦者 : 笠井 亮秀   (水産科学研究院・教員)

    雨はどうやってできるの?

    雨はどのような一生を送るのか / 三隅良平. - ベレ出版, 2017   北大ではどこにある?

     誰しも一度は「雨はどうやってできるの?」という素朴な疑問を抱いたことがあるだろう。本書は,雨のでき方から地上に降り注ぎ,その後地中や河川などでどのように水がふるまうのかが,丁寧に書かれている。
    読後は,きっと,これまでのモヤモヤが晴れるに違いない。

    登録日 : 2021-01-14

  11. 推薦者 : 朝倉 清高   (触媒科学研究所・教員)

    理系も文系もとにかく一読する。

    Homo Deus : A Brief History of Tomorrow / Yuval Noah Harari. - Vintage, 2017   北大ではどこにある?

     今、AI、深層学習といったことが話題になっている。それを単に便利な道具と考えているかもしれません。しかし、本書は農業革命、産業革命に匹敵する情報革命という社会の大革命としてとらえ、“人類”の置かれた立場を考えさせる本です。
     “Homo Sapiens will vanish”(p443) ということも言っています。皆さんが自分の未来を思い描くときに参考になると思います。

     邦文もありますので、そちらで読まれるとよいかもしれません。
    ホモ・デウス : テクノロジーとサピエンスの未来 / ユヴァル・ノア・ハラリ著 ; 柴...   [続きを読む]

    登録日 : 2019-03-11

  12. 推薦者 : 河合 剛   (外国語教育センター・教員)

    福島事故の隠蔽も似ている

    Midnight in Chernobyl: The Untold Story of the World's Greatest Nuclear Disaster / Adam Higginbotham. - Simon & Schuster, 2019   北大ではどこにある?

     旧ソ連の秘密主義・隠蔽体質・国民軽視は為政者の権力維持・自己防衛が動機だったと考えられる。わが国の福島原発事故後の報道沈黙と東京電力経営者の責任回避も類似した動機に基づくかもしれない。西側職は、なまじ自由主義を標榜するあまり、マスコミや財界の中理性・信憑性が高いと誤解されやすい。
     
     本書はチェルノブイリ原発事故の背景と経緯を記している。読者諸賢におかれては、事故の過程を技術と政策の両面から知り、わが国で起きた複数の原発事故をどのように報道すべきかを判断していただきたい。

     書評が下記に。
    https://www.nytimes.com/2019/02/06/books/review-midn...   [続きを読む]

    登録日 : 2019-02-07

  13. 推薦者 : 小林 和也   (高等教育推進機構オープンエデュケーションセンター・教員)

    図書館の役割と人文学の勝利

    図書館大戦争 / ミハイル・エリザーロフ. - 河出書房新社, 2015   北大ではどこにある?

     「理系」が英語で論文書いているのに、「文系」は英語も碌に書けやしないなんて酷い悪口があったものですが、そんな時にはロシア語はできますかと聞き返しましょう(私はロシア語できません)。「理系/文系」なんておかしな二分法を用いてマウントしてくる人もまた碌な人はおりませんが、人文学部廃止なんて物騒な噂もあり、将来に不安を抱えている学生さんもいるかもしれません。しかしそんなことは杞憂に過ぎないのです。もし不安であれば、それはあなたの人生にまだ「意味が生まれていない」からなのです。これは危険なカルトへの誘いでしょうか。違います。文学はカル...   [続きを読む]

    登録日 : 2019-01-28

  14. 推薦者 : 河合 剛   (外国語教育センター・教員)

    「つい最近」を体験する

    海峡の鉄路青函連絡船 : 110年の軌跡と記憶 / 原田伸一. - 北海道新聞社, 2018   北大ではどこにある?

     函館キャンパスの諸君はもちろん、札幌キャンパスの諸君も青函連絡船の役割を知るのは大切な素養。写真たっぷり、じっくり楽しめる。
     函館駅から徒歩数分に青函連絡船「摩周丸」が展示されている。本書を読みつつ船を巡ると時代の変遷がわかる。

    登録日 : 2018-12-12

  15. 推薦者 : 河合 剛   (外国語教育センター・教員)

    札幌の変貌を学び、未来を知る

    定山渓鉄道 / 久保ヒデキ. - 北海道新聞社, 2018   北大ではどこにある?

     五島慶太(東急)が札幌に鉄道を?「強盗慶太」が病死したので開発頓挫?
    もしかして近未来に類似計画が?まさか?

     過去の変貌から未来を予測しよう。

    登録日 : 2018-12-12

  16. 推薦者 : 河合 剛   (外国語教育センター・教員)

    平城京遺跡を専属ガイドつきで回る気分

    平城京一三〇〇年「全検証」 : 奈良の都を木簡からよみ解く / 渡辺 晃宏. - 柏書房, 2010   北大ではどこにある?

     博物館・美術館を訪れると展示物よりも説明文に目が向いてしまう私は、文章による解説が不可欠と見えて、図録などを自宅でじっくり読みふけり、肝心の展示品の画像記憶ができないためスケッチはおろか形状・色彩もろくに説明できないありさま。逆に言えば、展示物だけでは不満足で、どなたかに詳しくお話を伺いたい。講演は垂涎の的。

     さて本書は平城京遺跡を専属ガイドつきで回る気分が味わえる希有の作品。著者とともに働いた経験をもつ同僚によれば、著者の渡辺晃宏博士は、研究させていただいてるものを世間に還元する意識が強く、木簡に対する愛も加わり、誰にで...   [続きを読む]

    登録日 : 2018-10-11

  17. 推薦者 : 橋本 雄   (文学研究科(日本史学講座)・教員)

    仏教って、こんなに素晴らしいものなんだ。

    仏教発見! / 西山厚著. - 講談社, 2004   北大ではどこにある?

    本書は、仏教関連の一般書である。ご自身断っておられるように、本書は純粋に正統的な仏教書ではない、かもしれない。だが、長年、奈良国立博物館で研鑽を積んでこられた氏の、仏教やモノへの愛がギュッと詰まった〈啓蒙の書〉である。
    ある日、私はこの本を電車のなかで読み始め、終盤近くでとうとう泣き出してしまった。新書を読んで泣いたり笑ったりなどという経験は、初めてのことである。読者に直接繙いて貰いたいので、ここに詳しくは書かないが、西山氏の手がけた「東大寺のすべて」展(奈良博・二〇〇二年)を、東大寺附属の幼稚園児たちに展示解説するくだり(→笑...   [続きを読む]

    登録日 : 2018-03-12

  18. 推薦者 : 橋本 雄   (文学研究科(日本史学講座)・教員)

    劇薬かもしれないが、研究者を目指すなら必読です。

    答えのない世界を生きる / 小坂井敏晶著. - 祥伝社 , 2017   北大ではどこにある?

     ちまちました「研究」(もどき)など積み重ねても、パラダイムは変えられない。深く、矛盾を乗り越える、素晴らしい解決をめざそう。自分の問題意識に則って、自分に嘘をつかない研究を行なうべし――。当然といえば当然だが、目前のささいな「研究課題」(もどき)にあくせくしている自分が恥ずかしくなるような本です。

     「根本思想」((c)山田ズーニーさん)に向き合うことこそ、人文社会科学に必要な心持ちでしょう。研究者を目指す人、研究者を自認す...   [続きを読む]

    登録日 : 2018-03-12

  19. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    宗教を信じつつ宗教を超える

    はじめて読む聖書 / 田川建三ほか著. - 新潮社, 2014   北大ではどこにある?

    この本を推薦するのは、僕がキリスト教徒であるからでもなく、『聖書』にありがたみを感じているからでもない。どのような本にせよ、読み手の体験を通してその内面と響き合うものでなければそもそも本を読む意味はないということをこの本の中の第Ⅳ章「レヴィナスを通して読む『旧約聖書』」(内田樹)が慄然たる厳しさを持って教えてくれるからである。この本を手にした人は全部読まなくても良い(読めば読んだでそれなりに得るものはあろうけれども)が、上記の箇所だけはじっくりと読んで欲しい。その上で、関心があればレヴィナスの本に向かうこともお勧めする。わかり...   [続きを読む]

    登録日 : 2018-01-04

  20. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    アメリカに生まれて生きる、とは

    ボーン・トゥ・ラン : ブルース・スプリングスティーン自伝 / ブルース・スプリングスティーン著 ; 鈴木恵, 加賀山卓朗他訳. - 早川書房, 2016   北大ではどこにある?

    “ボス”と呼ばれるアメリカのロックンロール・ミュージシャン、ブルース・スプリングスティーンが7年をかけて執筆した自伝である。この本から彼の音楽に対する姿勢を窺えるのは当然だが、それ以上にアメリカ東海岸の労働者階級の家庭にアイルランド系、イタリア系、オランダ系という様々な血脈を受けて生まれ育ったスプリングスティーンが自分の出自を絶えず意識しながら音楽を作り演奏していく姿は、日本人のかなりの部分=日本(ヤマト)民族という出自を普段意識することのない存在には、強い印象を与えるであろう。彼の音楽が好きな人だけでなく、帰属意識(カタカナ言...   [続きを読む]

    登録日 : 2017-09-05

  21. 推薦者 : 今井 一郎   (水産科学研究院・教員)

    ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ送る言葉

    ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ : 15歳から始める生き残るための社会学 / 響堂雪乃著. - 白馬社, 2017   北大ではどこにある?

    かつては「陰謀論」あるいは「都市伝説」と言われて一笑に付される様な一見荒唐無稽とも思える事項が,実は真実の場合がある。アメリカ同時多発テロ事件は,陰謀論の最たるものと言われて来た。しかし,死の床にあった元 CIA 局員、マルコム・ハワード氏は、ビル等の破壊に関する経歴や技術を持っていたことから、ニューヨークの世界貿易センタービルの破壊プロジェクトを CIA の幹部から強要されたとの内容を告白した。この事から,同時多発テロ事件は CIA の実行した,アメリカ政府による自作自演のテロである事がつい先日(2017年7月13日)判明した。この事件はアルカイダによる...   [続きを読む]

    登録日 : 2017-08-09

  22. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    国際関係を複眼的に解きほぐす

    大英帝国の親日派 : なぜ開戦は避けられなかったか / アントニー・ベスト著 ; 武田知己訳. - 中央公論新社, 2015   北大ではどこにある?

    国際関係、分けても戦時期の国際関係を理解することは容易ではない。この本は、日英の政治家(外交官)に対象を絞り、それぞれの言説と行動を分析しつつ第二次大戦期の日英関係を解明しようとするものである。その際、直接の対象である日英関係の背後にあって大きな影響を及ぼしていた日中、英中、英米、英露の国際関係にも目を配り、当時の国際関係が複眼的に理解できるようになっている点が特徴である。国際関係論や政治学のみならず、歴史記述の方法についても学ぶところの多い本である。

    登録日 : 2017-08-08

  23. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    哲学を体現した人の生涯

    ウィトゲンシュタイン : 天才哲学者の思い出 / ノーマン・マルコム著 ; 板坂元訳. - 平凡社, 1998   北大ではどこにある?

    20世紀以降の哲学に最も影響力のあった哲学者ウィトゲンシュタインに親しく接した著者が、その人柄、哲学に対する姿勢、同時代人との関わりからゼミナールの雰囲気までを生き生きと描いた人物伝である。ウィトゲンシュタインの哲学に関心がなくても、哲学者という人びとが自分の思索にどのような姿勢で臨んでいるかを知る上で一読の価値がある。

    登録日 : 2017-08-07

  24. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    モンゴルの魅力に近づくために

    草原の革命家たち : モンゴル独立への道 / 田中克彦著. - 中央公論社, 1990   北大ではどこにある?

    この「本は脳を育てる」の過去の推薦文に何回か書いたことであるが、僕は1990年代にエジプトに赴任していた。だが、最初に赴任先候補地としてあげられたのは、実はモンゴルであった。それがどこかでどうにかこうにかなってエジプトに落ち着いた(?)のであるが、今でも時々、あのときモンゴルに行っていたらどうなっていただろうかと思うことがある。今は、モンゴルと言えば相撲の世界が思い浮かぶだろうが、多くの日本人の間でこの国の歴史と現在の姿は意外に知られていないと言ってよいだろう。この本は、モンゴルが中国、ソヴィエトという巨大な国に挟まれて―しかもここ...   [続きを読む]

    登録日 : 2017-08-04

  25. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    「知の巨人」たちはいかに思索したか

    柳田国男と梅棹忠夫 : 自前の学問を求めて / 伊藤幹治著. - 岩波書店, 2011   北大ではどこにある?

    先に竹内好の『日本とアジア』をこの「本は脳を育てる」に推薦したが、その中で竹内好がしばしば言及している一人が梅棹忠夫である。日本の知識人―という言い方を梅棹は嫌うだろうが―のアジア理解、文明観を問題にする上で避けて通れないと竹内は感じ取ったのだろう。その梅棹の知的営為を、先行する柳田国男のそれと対比的に考察し、そこに共通するものと相違するものを読み解こうとしたのが本書である。一つの学問を作り上げることの奥深さを知ることのできる好著として推薦したい。

    登録日 : 2017-08-04

  26. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    韓国は「異星」である、か?

    韓国、愛と思想の旅 / 小倉紀藏. - 大修館書店, 2004   北大ではどこにある?

    仕事柄韓国人留学生とのつきあいが少なからずあるが、いつも彼ら彼女らとの独特の距離の置き方にはかなりデリケートに神経を使う。こういうことを“国際交流”の入り口で仕事をしている人間が書くと問題だと感じる人もいるだろうが、むしろそうした仕事をしているからこそ適度な距離感が必要であるとも言える。この小倉氏の本は、韓国滞在・渡航経験の中でその距離を縮めようとしてついに叶わなかった(もしくは彼なりのやり方でその距離を消滅させていった)異文化間コンフリクトの記録である。韓国に対する読者のスタンスの取り方に応じてそれなりに“ツッコミどころ”も...   [続きを読む]

    登録日 : 2017-06-12

  27. 推薦者 : 水本 秀明   (外国語教育センター・非常勤講師)

    サンタクロースについてどれだけあなたは知っていますか?

    サンタクロースの大旅行 / 葛野浩昭著. - 岩波書店, 1998   北大ではどこにある?

    サンタクロースはフィンランド語でjoulupukki、すなわち「クリスマス(joulu)」+「山羊(pukki)」。いったい「山羊」は何を表しているのでしょう?この本を読むと、とんがり帽子に赤い衣装で煙突からプレゼント配達に来る、といったサンタクロースの一般的なイメージが大きく覆されるはずです。好著!

    登録日 : 2017-06-08

  28. 推薦者 : 水本 秀明   (外国語教育センター・非常勤講師)

    手軽にフィンランドの育児、生活習慣、etc.を知ることができます

    フィンランド流イクメンMIKKOの世界一しあわせな子育て / ミッコ・コイヴマー. - かまくら春秋社, 2013   北大ではどこにある?

    現在お母さんと赤ちゃんの相談所「ネウヴォラ」のシステムがフィンランドから日本に紹介され、大きな反響を呼んでいます。肩書は大使館の報道・文化参事官だけれどもごく普通のフィンランド人の父親から見た理想の子育ての姿からはたくさん得るものがあります。

    登録日 : 2017-06-08

  29. 推薦者 : 水本 秀明   (外国語教育センター・非常勤講師)

    ムーミン物語の作者トーベ・ヤンソンの実像が見られる

    Haru, The Island of the Solitary : ハル、孤独の島 (DVD) / . - Victor Entertainment, 2014   北大ではどこにある?

    ムーミン物語で知られるトーベ・ヤンソンとはどのような人だったのでしょう。トーベが50歳の頃から77歳まで毎年のように夏を過ごしたフィンランドの小島「グルーブ・ハル」での生活の様子が、彼女自身およびパートナーのトゥーリッキ・ピエティラが8mmカメラで撮影した映像をもとに編集されています。DVDに付属の解説ノートも大変よくできています。

    登録日 : 2017-06-08

  30. 推薦者 : 水本 秀明   (外国語教育センター・非常勤講師)

    ムーミン以外にもトーベ・ヤンソンの著作は多数あり

    島暮らしの記録 / トーベ・ヤンソン文 ; トゥーリッキ・ピエティラ画 ; 冨原眞弓訳. - 筑摩書房, 1999   北大ではどこにある?

    ムーミンシリーズばかりが取り上げられることの多いトーベ・ヤンソンですが、優れた短編小説や随筆もたくさん執筆しており、多くが和訳されています。ムーミンの世界がどのように生まれたか、この本の中にヒントがあるかもしれません。

    登録日 : 2017-06-08

  31. 推薦者 : 池田 文人   (高等教育推進機構・教員)

    感動します!

    青い光が見えたから : 16歳のフィンランド留学記 / 高橋絵里香著. - 講談社, 2007   北大ではどこにある?

    北海道で育った著者が、中学校でいじめに会い、絶望の中で見た青い光・フィンランド。苦労してフィンランドの高校に入学し、フィンランド語に苦戦しながらも、高校を卒業し、大学へ進学します。日本とは違い、個性と自主性を尊重するフィンランドの人々に囲まれ、自分らしさを取り戻していきます。自分に素直になれる素晴らしさにきっと感動するでしょう。

    登録日 : 2017-06-03

  32. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    真実の発見に生涯をかけた医師のドラマ

    手洗いの疫学とゼンメルワイスの闘い / 玉城英彦. - 人間と歴史社, 2017   北大ではどこにある?

    今年2月のある日、この本の著者である玉城英彦先生(現名誉教授)が僕の研究室に突然いらして、「中村先生、最近元気ないみたいだけどこの本を読めば元気になるよ」と仰言ってサイン入りの本をくださった。その頃そんなに元気がなさそうだったのか、自分では分からないのだけれども成績提出などのドタバタで疲れていたことは確かだ。折角頂いたご本なのだが、その後もあれこれと忙しく、5月になってからようやく読むことができた。そして、確かに少し元気になれたので、こうして推薦することにした次第である。
    ゼンメルワイスと産褥熱の研究については、僕も中学生時代に読...   [続きを読む]

    登録日 : 2017-05-27

  33. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    イスラム教を「信じる」とはどのようなことか

    日本の中でイスラム教を信じる / 佐藤兼永. - 文藝春秋社, 2015   北大ではどこにある?

    日本社会の中ではイスラム教信者、中でも特に日本人の信者というのは姿が見えにくい存在である。この本は、日本社会の中でイスラム教信仰に生きる人びとの姿を描いたルポルタージュであり、イスラム世界というものが西アジア・中東・アフリカという遠いところにある(だけな)のではなく、我々のすぐそばにもあるものだということに気づかせてくれる。現在、多少緩和されたとはいえ、まだイスラム教に対する様々な偏見が社会の中に存在することは否定できない。著者の佐藤氏は、その偏見を我々も持つことを認めた上でそれを肯定的なものへと転換する契機を示してくれている...   [続きを読む]

    登録日 : 2017-05-01

  34. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    「ボランティア」のあり方を見つめ直すために

    「ボランティア」の誕生と終焉 : 「贈与のパラドックス」の知識社会学 / 仁平典宏. - 名古屋大学出版会, 2011   北大ではどこにある?

    学生時代に7年ほどあるボランティア活動に携わっていたことがあるのだが、最初に活動に参加しようとした時、親に言われたのは「自分の頭のハエも追えない奴が偉そうに人助けなんかやるな!」という暴言(!)であった。今考えてもあんまりな言い方だと思うが、そうした意識は程度の差こそあれ日本の社会にある時期流通していたボランティア理解ではなかったかとも思う。この本の帯には「『善意』と『冷笑』の狭間で」と書かれているのだが、このことばはボランティアというものに対して注がれる、あるいは浴びせられる視線の複雑さを見事に言い当てている。そうした複雑さを...   [続きを読む]

    登録日 : 2017-02-28

  35. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    「戦争」を陳腐なことばで語らないために

    ひとりの記憶 : 海の向こうの戦争と、生き抜いた人たち / 橋口譲二. - 文藝春秋, 2016   北大ではどこにある?

    この本は、太平洋戦争前後に植民地を含む海外に渡り、様々な事情でその地に残り、あるいは再渡航してそこで生き抜くことを選んだ人々からの聞き取りの記録である。現代に於ける戦争に対する反対・批判・抑止のことばの一つとして「戦争は人間の運命を狂わせる」といったものがある。それを否定するつもりはないし、そうした事例もあることを認めはするが、この本を読んだあとでここに描かれている人々の人生が戦争によって“狂った(あるいは狂わされた)”と―「戦争を知らない子供たち」である我々が―いうことには大きな躊躇いを覚えてしまう。その背後にあったはずのお...   [続きを読む]

    登録日 : 2017-02-19

  36. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    「東洋」と「西洋」とは何か、あらためて考える。

    東洋意識 : 夢想と現実のあいだ1887-1953 / 稲賀繁美編著. - ミネルヴァ書房, 2012   北大ではどこにある?

    学問―特に人文科学―の世界に於ける「東洋-西洋」という枠組み或いは二分法は、実は相当にうさんくさい。そのうさんくささを“学問的に”剔抉したのは言うまでもなくエドワード・サイードの『オリエンタリズム』だったが、そのとらえ方自体が西洋的な学問世界の中で一定の権威になってしまうという戯画的な状況が生まれ、相変わらず「東洋-西洋」という枠組みをめぐる思索は混迷している。今回推薦する本は、編著者の稲賀氏自身が書いているように「『東洋』と呼ばれる―あるいは時代遅れとな...   [続きを読む]

    登録日 : 2017-02-17

  37. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    世界はどうしてこうなっているのか。

    エジプトを植民地化する : 博覧会世界と規律訓練的権力 / ティモシー・ミッチェル著 ; 大塚和夫, 赤堀雅幸訳. - 法政大学出版局, 2014   北大ではどこにある?

    一見この本とは関係なさそうな話から推薦文を書く。みなさんは、観光旅行に行くとはどのようなことだと思っているだろうか。理由はいろいろあるにせよ、大きな共通点は世界遺産に代表されるような歴史的建造物や名所旧跡を辿ることが目的である、ということだろう。しかし、である。その時、観光旅行する我々は、実は名所旧跡を”見に”行っているのではなく、ガイドブックなどに一定の秩序で並べられた空間の”確認”をしに行っているに過ぎないのである。なぜそう言えるのか、の答えを与えてくれるのが、この本の副題になっている「博覧会世界」である。
    この本は、表題か...   [続きを読む]

    登録日 : 2017-01-01

  38. 推薦者 : 武村 理雪   (国際連携機構・その他)

    自身の問いを見つめなおす機会に

    途上国の人々との話し方 : 国際協力メタファシリテーションの手法 / 和田信明, 中田豊一. - みずのわ出版, 2010   北大ではどこにある?

    途上国支援に限らず、様々な職業で活かすことのできる知識と技術を学べる書籍です。
    実は私も本学の教員に薦められて読み始めました。自らの無知とコミュニケーション技術のなさを痛感させられた刺激的な書籍です。
    責任と配慮をもって問いを発し、その問いをきっかけに希望が開かれるよう、この書籍を片手に精進していきたいと思わされました。
    ある程度の業務経験があると、内容理解が進み易いだろうと推測します。一方で、今は十分に理解できない部分があったとしても、最後まで読んでみることで学生は将来の糧を得られるのではないかと思います。

    登録日 : 2016-12-26

  39. 推薦者 : 小俣 友輝   (URAステーション・その他)

    言葉の違い、考え方の違いは面白い!

    翻訳できない世界のことば / エラ・フランシス・サンダース著イラスト ; 前田まゆみ訳. - 創元社, 2016   北大ではどこにある?

    生まれたところ、住んでいるところが違えば、人の気持ちやことばも違ってくるようです。
    様々な国で使われていることばが表すものは、外国人である自分の想像を超えているにも関わらず、なるほどと思えるものでした。
    新しいものの見方・考え方に触れられるのと同時に、ことばを使う世界の人々とのつながりをも感じるのでした。

    登録日 : 2016-12-26

  40. 推薦者 : 増田 哲子   (メディア・コミュニケーション研究院・教員)

    選択をする「自分」について知ること

    おとなの進路教室。 / 山田ズーニー. - 河出書房新社, 2007   北大ではどこにある?

    著者の山田ズーニーさんは、企業や大学でコミュニケーションや文章表現についての研修・教育を行っている方です。著者自身、30代後半に教育系の大手出版社を辞め、独立という大きな選択をしました。

     大学進学、就職、転職といったさまざまな進路選択において、選ぶ基準となる自分自身の気持ちをどのように掘り下げ、どのように表現するのか?本書は、こうした問いについて、著者自身の経験や著者が出会ったさまざまな人たちのケースから考えさせてくれます。

     人生のなかで、進路選択は1回きりではありません。高校進学、大学進学、就職の後も、まだまだ選択の機...   [続きを読む]

    登録日 : 2016-12-02

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