おすすめポイント [基本書] 推薦リスト
現在、65件登録されています。
Page  1 | 2
  1. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    「新しい」学問の「古典」

    言語と社会 / P.トラッドギル著 ; 土田滋訳. - 岩波書店, 1975   北大ではどこにある?

    推薦文タイトルの”「新しい」学問の「古典」”という表現はそのまま読めば形容矛盾でしかない。しかし、この本は、社会言語学という1960年代から形成され始めた「新しい」学問の分野においては紛れもなく今や「古典」であり、タイトル通り「言語」と「社会」を見るための視点や研究の方法を手際よく整理して提示している。現在、社会言語学についての概論書、入門書は数多く出版されているし、その対象や方法も発展しているけれども、この本に盛り込まれた内容は今日でも(あるいは今日なお)有益であり学ぶことが多い。社会言語学という個別分野だけでなく、言語と社会の関...   [続きを読む]

    登録日 : 2018-01-29

  2. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    「日本国」の主権者であるために

    新解説世界憲法集 / 初宿正典, 辻村みよ子編. - 三省堂, 2017   北大ではどこにある?

    以前、『一般教育演習』を開講していた際に、授業中日本国憲法が定める国民の三大義務や憲法第25条の規定について学生に聞いてみたところ、みんな余りにも知らないので愕然としたことがある。大学受験科目が「公民」ではないと余り憲法を読む機会がないのではないかと推察されるが、これだけ憲法改正の動きが明らかになっている時代に日本国民なのに日本国憲法を(特に日常生活に関わりの深い条文を)きちんと読んでいないというのは悲しいことである。『ナルニア国物語』のディゴリー卿のセリフで...   [続きを読む]

    登録日 : 2018-01-04

  3. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    戦後日本の思想的骨格を掴む

    日本の思想 / 丸山真男著. - 岩波書店, 1961   北大ではどこにある?

    先日必要があって高校の倫理の用語集を見ていたら、丸山眞男が項目立てされて解説が書かれていたので少しびっくりした。同時にもうそういう時代になったのか(=丸山もそういう存在になったのか)とあらためて感じるものがあった。ということは、かなりの北大生が高校時代におそらくこの『日本の思想』を読んでいると思われるので、今更紹介するまでもないのかもしれないが、まだ読んでいない人のためにここに推薦しておきたい。
     実は、僕自身はこの本を今読んでも率直に言って“程度の低い常識論”にしか読めない。しかし、裏を返せばそれは、今や常識論に思われるほどに...   [続きを読む]

    登録日 : 2017-10-04

  4. 推薦者 : 池田 文人   (高等教育推進機構・教員)

    ムーミンワールドへようこそ!

    ムーミン谷への旅 : トーベ・ヤンソンとムーミンの世界 / . - 講談社, 1994   北大ではどこにある?

    世界中で愛されるムーミン物語が生まれたフィンランドの魅力とともに、ムーミン物語の奥の深さも感じることができます。フィンランドの美しい景色の写真とムーミン物語の挿絵から、ムーミンたちの住む世界の風景を見て、音を聞き、空気を感じることができます。

    登録日 : 2017-06-03

  5. 推薦者 : 池田 文人   (高等教育推進機構・教員)

    学力世界一の秘密

    競争やめたら学力世界一 : フィンランド教育の成功 / 福田誠治. - 朝日新聞社, 2006   北大ではどこにある?

    国際学力調査であるPISAで世界一を維持し続けたフィンランドの教育の秘密をわかりやすく解説しています。すべて現地調査に基づいており、フィンランドの教育の魅力を肌で感じることができます。

    登録日 : 2017-06-03

  6. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    言語をめぐる思惟を広く捉えるために

    ドイツ言語哲学の諸相 / 麻生建. - 東京大学出版会, 1989   北大ではどこにある?

    以前奨めてくれる人があって、飯田隆『言語哲学大全Ⅰ~Ⅳ』(勁草書房)を読んでみたことがある。確かに現代の言語哲学、あるいは分析哲学をフレーゲからデヴィッドソンまで熱く語っている良書ではあるのだが、これをもって「大全」ということには大きな不満を覚える。その点は飯田氏も分かっているようで、第Ⅰ巻の冒頭で「『大全』というのは、さすがに私にしても調子に乗り過ぎという感がしないでもない」と書いている。この本を「大全」と言ってほしくないのは、対象がフレーゲとヴィトゲン...   [続きを読む]

    登録日 : 2017-05-12

  7. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    「日本語を教える」現場の熱気を伝える

    世界の日本語教室から-日本を伝える30ヵ国の日本語教師レポート- / 国際交流基金. - アルク, 2009   北大ではどこにある?

    ここ何年か国際教育研究センターで(旧留学生センター時代から)全学教育科目に「外国人に日本語を教える」という「総合科目」を提供している。受講動機は様々であろうが日本語教育に関心を持ってくれる学生が一定数いるようで関係者としては有り難く思っている。この本は、そんな、日本語教育に関心を持っている学生がちょっとだけその―特に海外の―現場を覗いてみたいと思った時に気軽に読めるものとして紹介しておきたい。内容は、外務省の外郭団体である国際交流基金が世界各国に派遣した日本語教育専門家の手になる現地レポートである。日本語教育の現場の雰囲気を少しで...   [続きを読む]

    登録日 : 2017-05-08

  8. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター・教員)

    異文化理解はぼちぼちこのあたりから…。

    異文化理解の落とし穴 : 中国・日本・アメリカ / 張競. - 岩波書店, 2011   北大ではどこにある?

    この本は、上海出身中国人で日本に留学し学位を得て日本で教職に就きアメリカで研究生活も送った著者の異文化体験の記録である。読後感としては標題にあるような「異文化理解」というレベルに達しているとは思えないし、ましてやその「落とし穴」を明解にしているとも言い切れない。むしろ表層的な体験と感想が連ねられているというのが率直なところである。しかし、それは裏を返せば、「異文化理解」ということに到達するには誰もがこの段階をくぐらなければならないということを示す一つの基準点になり得ている、ということであり、また、日本に限らず「文化」というもの...   [続きを読む]

    登録日 : 2017-02-14

  9. 推薦者 : 松田 康子   (教育学研究院・教員)

    すべての学び手に

    ケアの本質 : 生きることの意味 / ミルトン・メイヤロフ著 ; 田村真, 向野宣之訳. - ゆみる出版, 1987   北大ではどこにある?

    本書は、MILTON MAYEROFF著 On Caringの訳書です。対人援助職にとどまらず、すべてのケアの担い手にとって、ケアの営みにおいて常に立ち戻るべき本質が示されており、哲学書にしてはやさしい言葉で綴られている書物です。日本語も英語も一見すると、平易な言葉が並んでいるのですが、何度でも噛み締め味わうことができる論考です。高等教育機関において、「すべての学び手に」としてオススメしたい点は、メイヤロフが、ケアの対象を人のみならず、芸術、概念、理念というものにまで広げて考えているところです。メイヤロフは、ケアリングとは、ケアの受け手が他の誰かをケアできるよ...   [続きを読む]

    登録日 : 2016-12-27

  10. 推薦者 : 小林 和也   (高等教育推進機構オープンエデュケーションセンター・職員)

    生き方について考えることをやめて何らかの実験を生きるには

    千のプラトー : 資本主義と分裂症 / ジル・ドゥルーズ, フェリックス・ガタリ [著] ; 宇野邦一 [ほか] 訳. - 河出書房新社, 1994   北大ではどこにある?

    生き方がわからないなんて不思議なお話だ。だって君は現に生きているのに? それでも問うてみたくなるのはなぜだろう。生きているのは苦しいし、悩みは耐えない。だからなぜこんなに苦労してまで生き続けなければならないの? どう生きればいい?と問いたくなるものだ。

    こういう時はたいてい「生き方」なんていう言葉遣いが分析・分節されてつくしていないからだ。こういう乱暴な言葉遣いには気をつけたほうがいい。「生き方」が違うから分かり合えません。じゃあどうやって人とやっていくのさ?

    言葉を分析するには、どうしたらいいだろう。こう考えることはで...   [続きを読む]

    登録日 : 2016-11-30

  11. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    さらに一段上の文章表現力のために

    論理が伝わる世界標準の「書く技術」-「パラグラフ・ライティング」入門- / 倉島保美. - 講談社, 2012   北大ではどこにある?

    ここに何度か書いたことだが数年前から「一般教育演習(フレッシュマンセミナー)」で文章表現が苦手な学生のための日本語文章表現法の授業を展開してきた。ただ、色々と訳あってこの授業は今年度で終わりにすることにした。そこで、これに替わるものとして、また、“苦手”のレベルを脱した学生がさらに上のレベルの文章表現力を身につけてもらう上で参考にすることができるようにこの本を推薦しておく。この本は、それ自体が主題としている「パラグラフ・ライティング」によって書かれているので、技法と実例を同時に身につけることができる点で優れている。あとは練習あるの...   [続きを読む]

    登録日 : 2016-07-31

  12. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    数学界に革命をもたらした「不完全性定理」とは何か

    ゲーデルは何を証明したか-数学から超数学へ- / E.ナーゲル&J.R.ニューマン. - 白揚社, 1999   北大ではどこにある?

    この本は、1968年に『数学から超数学へ : ゲーデルの証明』というタイトルで出された本の新装版である(原著は1958年!)。「ゲーデルの不完全性定理」というのを聞いたことがある人は、理数系でなければ必ずしも多くはないかもしれないが、「アインシュタインの相対性理論」や「ハイゼンベルクの不確定性原理」にも比するべき、数学に大転換を迫った原理である。この本は、その決して易しくはない「不完全性定理」をできる限りわかりやすく解きほぐして説明しようとするものであり、理数系の学生のみ...   [続きを読む]

    登録日 : 2016-06-27

  13. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    昭和をまだノスタルジーにするな!

    昭和時代年表 増補版 / 中村政則. - 岩波書店, 1986   北大ではどこにある?

    ここ何年かの間に、メディアで「昭和の○○」といったことばを少なからず読んだり聞いたりすることがある。女優の黒木華さんは「昭和顔」と言われているそうだ。昭和32年(=考えてみればちょうど昭和の半分の年)生まれで、経済の高度成長とともに成長し、1988年のバブル最盛期に就職した僕から見ると、「『昭和』をそんなに簡単にノスタルジーにするな!」という怒りにも似た気持ちを禁じ得ない。それは、僕個人にとって昭和がリアルタイムであると言うだけのことではなく、昭和時代に現れ、あるいは作られた様々な問題・課題から我々が未だに解き放たれているとは言えない...   [続きを読む]

    登録日 : 2016-05-11

  14. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    西洋哲学の基本の「き」

    方法序説 / ルネ・デカルト. - 岩波書店, 1997   北大ではどこにある?

    「われ考える、ゆえにわれあり」や「明晰判明」、あるいは”方法的懐疑”といったことばであまりにも有名な、西洋(近世)哲学の始まりを飾る書である。哲学書というと初めから難しいものと考えて敬遠してしまう向きもあるかもしれない-そのような書物があることを否定はしない-が、この本は、きちんと読んでいけばそれなりに分かるように書かれているものである、同時にまた、西洋近世~近現代の哲学が多くの考えるべき課題をそこからくみ取っていった、西洋の知の基本をなす書物でもある。そのようなものを読んでおくことは、洋の東西を問わず学問を研究しようとするも...   [続きを読む]

    登録日 : 2016-03-12

  15. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    留学したい人は必読!

    バイカルチャルになれる人・なれない人-アメリカで変わる日本人- / 本田正文. - 丸善, 1999   北大ではどこにある?

    この本は、大きく分けると著者である本田氏がアメリカ留学の中で体験した異文化適応の過程の紹介と、専門とする第二言語習得理論(から見たバイリンガリズム)の概説をバイカルチャルという観点で融合させていこうとしたものである。こう書くとなにやら難しそうな本のようであるが、そのようなことはない。むしろ、本田氏が実際にアメリカで何に苦労しそこからどのような「智慧」を見いだして異文化での生活を成り立たせていったかが、時にユーモアを交えながら成長段階を追って書かれている。

    これから海外留学を目指す人には色々な希望と不安があると思うが、留学生活...   [続きを読む]

    登録日 : 2016-01-11

  16. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    留学する前に読んでおこう!

    魯迅の日本 漱石のイギリスー「留学の世紀」を生きた人びとー / 柴崎信三. - 日本経済新聞社, 1999   北大ではどこにある?

    国を挙げての「留学」ばやりである。文部科学省もAKB48まで動員して「トビタテ!留学JAPAN」なるキャンペーンまでやっている。北大から海外協定大学に留学する学生も増えているようで結構なことである。(「留学」したことがない僕はちょっと僻んでこの推薦文を書いているのだが)かつては「留学」というのは決定的にエリートへの道筋であった。筆者はその時代に「留学」し(て苦労し)た代表者としての魯迅と漱石を軸にして、「留学」ということが日中それぞれの社会と個人にどのような意味を持ったかを浮かび上がらせようとしている。今と昔で意味合いは違うものの「留学」と...   [続きを読む]

    登録日 : 2015-11-28

  17. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    世界の見方を深めるために

    現象学という思考-<自明なもの>の知へ- / 田口茂. - 筑摩書房, 2014   北大ではどこにある?

    一昨年度から「多文化交流科目」という授業を始め、一貫して異文化理解、あるいは異文化交流の問題を扱ってきた。難しいのは、異文化理解に関わる理論と異文化交流の実践を教室の内外でどうつなぐかということであり、このことにずっと悩んできた。今年になってからふと「現象学」の考え方からこの問題にアプローチしてはどうだろうかと思ってこの本を読んでみたら、まさに第四章・第五章を中心として示唆に富む記述が満ちていてありがたい思いがした。こうしたアプローチは、僕の曖昧な記憶では確かクラウス・ヘルトが手をつけ、日本では小川侃先生(元京都大学)が触れて...   [続きを読む]

    登録日 : 2015-09-07

  18. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    「思想劇」としての般若心経

    真釈般若心経 / 宮坂宥洪. - 角川書店, 2004   北大ではどこにある?

    この本の表題は書き間違いではない。「新釈」ではなく「真釈」、つまり著者は「俺の解釈こそ本物だ!」と宣言しているわけである。もの凄い自信である。仏教学が専門ではない僕には、その「真」の度合いは測れないが、内容は確かに説得力に富む。それはひとえに、サンスクリット原典を文法的に厳密にたどりながら漢訳般若心経の問題点を的確に指摘し「四階の建物の比喩」という説明の枠組みを駆使して読み解いていく著者の態度からもたらされるものである。それだけに「あとがき」に書かれた、従来の般若心経解説書やそれらの執筆者に対する批判は秋霜烈日を極める。著者は...   [続きを読む]

    登録日 : 2015-07-18

  19. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    日本語教育史研究の金字塔、ついに成る!

    戦時期における日本語・日本語教育論の諸相-日本言語文化政策論序説- / 田中寛. - ひつじ書房, 2015   北大ではどこにある?

    長年にわたって、日本語教育史、日本語教育政策の研究に携わってこられた著者の業績の集大成とも言える大著である。副題に「序説」とあるが、決して「序説」ではなく、日本語教育の過去の歴史を批判的に受け止め、これと対決しながら日本語教育のあるべき姿を真摯に問うたその解答と言うべき著作である。今後の日本語教育史研究、日本語教育政策研究は、本書と、これに先行した関正昭『日本語教育史研究序説』(スリーエーネットワーク)を不可欠の必読書として出発しなければならない。まさに今、日本語教育史研究の“新しい”歴史が始まる。本書はその幕開けとなるものと...   [続きを読む]

    登録日 : 2015-07-14

  20. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    異文化は実は…

    異文化はおもしろい / 選書メチエ編集部. - 講談社, 2001   北大ではどこにある?

    この本は21人の著者たちによるエッセイの集成である。
    『異文化はおもしろい』という表題通り、はじめのうちは確かに「おもしろい」のだが、徐々に「そうなのだろうか?」と考えさせる内容になっていき、最後の「V 異文化が照らす自文化」になると実は異文化と関わるということはそれほどおもしろいばかりでもなくむしろややこしいものであるのだということを痛感させられる。しかし、この本に書いてあることぐらいの基礎的な見識を持たないと異文化と関わっていく(はやりことばで言えば「グローバルに活躍する」)ことなどできないのではないかと考える。この本を足がかり...   [続きを読む]

    登録日 : 2014-12-05

  21. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    ブームが沈静化した今こそ冷静に読んでみよう

    これからの「正義」の話をしよう-いまを生き延びるための哲学- / マイケル・サンデル. - 早川書房, 2010   北大ではどこにある?

    言わずと知れた、「NHK白熱教室」のネタもととなった本である。テレビでのサンデルの講義に独特のスタイルがあったこともあって売れに売れたらしい(僕の持っているのは第78版!)が、こうした本はブームが去った今こそ落ち着いて読んでその内実を判断する必要があるだろう。
    サンデルは、現代世界のアクチュアルな問題を古典から現代までの政治思想と結びつけて論じながら彼なりの(=コミュニタリアンとしての)哲学を開陳していくが、その解決が妥当であるかどうかは読者が今一度批判の目をもって考えるに値するものである。
    今は文庫版も出て読みやすくなっているので、...   [続きを読む]

    登録日 : 2014-12-04

  22. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    インタビュー調査に必読の一冊

    聞きとりの作法 / 小池和男. - 東洋経済新報社, 2000   北大ではどこにある?

    研究の必要からインタビュー調査をすることになって、そのためのノウハウが書いてある本を数冊読んだが、その中で最も役に立ったのがこの本である。
    内容は著者の小池氏が専門とする経済学の、主として職場の技術移転を例にとって書かれているが、その分インタビューの実際に関する記述が非常に豊富でわかりやすい。また、インタビューデータからどのように読み取りを行ったらいいかの例やインタビューの前後に行っておくべきことなども書かれていて、将来、聞きとり調査が必要となる分野で研究しようと考えている学生にとっては必読の一冊である。

    登録日 : 2014-12-04

  23. 推薦者 : 寺沢 重法   (文学研究科)

    計量社会意識論を学ぶために

    現代日本の「社会の心」―計量社会意識論 / 吉川徹. - 有斐閣 , 2014   北大ではどこにある?

    同著者による『階層・教育と社会意識の形成─社会意識論の磁界』の流れを汲む著作。調査票調査データを用いて統計的に人々の心を分析するやり方やその発送法などがわかりやく書かれています。本書では特に複数時点のデータを使って「社会の心」の変遷を明らかにすることに力点がおかれています。現代的なトピックである環境意識・健康志向・消費生活なども扱われています。社会学向けの本ですが、社会心理学や哲学、文化論に関心のある人も是非手に取ってみてください。

    登録日 : 2014-08-27

  24. 推薦者 : 寺沢 重法   (文学研究科)

    報道記事の読み方、分析手順、科学的分析のロジック

    データはウソをつく─科学的な社会調査の技法 / 谷岡一郎. - 筑摩書房, 2007   北大ではどこにある?

    特に社会調査に基づいた報道記事を読む際のコツについて多くのページが割かれています。実際のデータ分析の段取りや科学的分析のロジックについても初学者向けにわかりやすく述べられています。社会調査に関心をもった場合は、まず本書を手に取ってみることをお勧めします。

    登録日 : 2014-08-27

  25. 推薦者 : 寺沢 重法   (文学研究科)

    人びとの健康に影響を与える社会的要因とは何か?

    健康格差社会─何が心と健康を蝕むのか / 近藤克則. - 医学書院, 2005   北大ではどこにある?

    現代日本における格差と健康を論じた本。現代日本でどのように人々の心と健康に不平等が生じているのか?また人々がおかれたどのような社会的状況(職業、ライフコース、学歴、地域etc)によって健康の不平等が生じているのか?健康をエビデンスに基づいて社会科学的に考えるための基本書です。社会疫学、医療社会学、健康心理学などに興味のある人はぜひ!

    登録日 : 2014-08-17

  26. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    日本語教育に関わりたい人に

    日本のことばとこころ / 山下秀雄. - 講談社, 1986   北大ではどこにある?

    日本語教師として30年近く働いてきてまだ人生を回顧するのは早すぎると思うけれども、この仕事を選んだ自分にとって「恩師」と呼べる先生は3人いる。この推薦書の著者である山下秀雄先生もそのお一人で、講習会や研究会で多くのことを教えていただき、海外に教えに行っていたときにもいろいろと心配りをしていただいた。先生は、平成10年9月に交通事故で亡くなられ、その前日の夕刻に僕に宛てて出されたお手紙がこの世での最後の書簡となった。それは今も僕の手元にある。
    本書は、山下先生が、日本語教師としての長年の経験と研究から、外国語としての日本語を見るための目を...   [続きを読む]

    登録日 : 2014-07-12

  27. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    日本と日本人を見る目の背後にあるもの

    日本人論・日本論の系譜 / 石澤靖治. - 丸善, 1997   北大ではどこにある?

    この本は、ルース・ベネディクトの『菊と刀』以後の代表的な日本人論・日本論を取り上げてそれらを関連づけて論じることを通して日本と日本人に対する内外の見方がどのように関連し合ってどう変化してきたかのわかりやすい見取り図を描き出すものである。
    この本の眼目は、所謂広義の「日本(文化)論」と言われるものを「日本論」と「日本人論」に分けてそれぞれが登場してくる歴史的・政治的文脈を明らかにしている点である。これを読むと、結局のところ、“代表的な”(と言われている)「日本人論」や「日本論」は、実は-カレル・ヴァン・ウォルフレンを除くと-基本的にア...   [続きを読む]

    登録日 : 2014-03-10

  28. 推薦者 : 佐藤 淳二   (文学研究科)

    ロマン主義の怒濤をいかにして21世紀のうちに始末できるのか?

    Oeuvres complètes de Victor Hugo / Victor Hugo. - Robert Laffont,    北大ではどこにある?

    (Théâtre 1&2, Romans 1,2,3, Politique, Critique, Histoire , Voyages, Poésie 1,2,3, Océan, Chantiers, Correspondance familiale et écrits intimes 1&2 計15冊)
    フランスの19世紀の国民詩人と言えばユゴーだ。幅広い人気をいまだに保ち、フランス文化の土台の一つになっている。「ブカン」叢書の15冊は、現代人に接近しやすく、古い大全集のいかめしさに比べるとぐっと身近だろう。といってもフランス語だから、日本では読者も限られている。しかし、敢えて推薦したい。フランス語をいくらかでもやったら、これほどまでに激しい才能の迸り、ほとんど怒濤とも咆哮ともいえる天才の活躍にすこしでも触れたいものである、...   [続きを読む]

    登録日 : 2012-12-10

  29. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    論理学の深さを知る

    現代論理学入門 / 沢田 允茂. - 岩波書店, 1962   北大ではどこにある?

    今から50年前に出たこの本は、いまなお論理学の名著としての価値を失っていない。もちろん50年の間には論理学にも進歩があって、多値論理、様相論理、量子論理などはこの本では取り扱われていないし、用語や記号の表記も古いところがあるが、それは仕方ないこととしても、論理学を専門的に研究するならともかく、それ以外の幅広い哲学的関心に広く答え得る点でこの本をしのぐ内容のものはいまだにほとんどないと言って良い。こうした優れた本を絶版にしないで出し続けている岩波書店の“営業努力”は賞讃されてしかるべきである。
    この本を紹介する際に、記号の使用を最小限...   [続きを読む]

    登録日 : 2012-11-19

  30. 推薦者 : 千葉 惠   (文学研究科)

    惹きこまれ一気に読める素粒子宇宙論入門

    宇宙に終わりはあるのか?素粒子が解き明かす宇宙の歴史 / 村山斉. - ナノオプトニクス・エナジー出版局, 2010   北大ではどこにある?

    評者の書架には素粒子論や宇宙論の基本書、入門書が何冊かほこりをかぶっている。本書は稀なことにも「分かる」という感覚を頁毎に持続しながら、惹きこまれて一気に読むことができた入門書です。150頁の小著ということもありましょうが、評者には幸いな出会いをもたらしてくれ、あいまいで雑然としたなまかじりの知識に秩序と生命を与えてくれました。書名副題にあるように、著者は極微の素粒子の世界の解明が130億年の宇宙の構造と歴史の解明の手掛かりであることを明晰かつ簡明にそして説得的に展開しています。物理学のこの領域においては何が問題になっており、...   [続きを読む]

    登録日 : 2010-12-08

  31. 推薦者 : 千葉 惠   (文学研究科)

    哲学の始原がよくわかる

    Definition in Greek Philosophy / ed.David Charles. - Oxford University Press, 2010   北大ではどこにある?

    本書により哲学の揺籃であるギリシア哲学において、とりわけソクラテスがこだわった事物の同一性とその認識の問題がプラトン、アリストテレスそしてストアにおいてどのように理解され、哲学理論へと展開されていったかをテクストに即して理解することができる。周知のようにソクラテスは会う人ごとに、勇気とは、節制とは正義とはそして幸福とは「何であるか?」を尋ね、共に探求した。当時の人々同様多くの人が持つ哲学の理屈っぽさのイメージはこのソクラテスの問答の持つ吟味、論駁の詳細さそして厳密さに起因しているように思われる。しかし、本書によりこの「何である...   [続きを読む]

    登録日 : 2010-10-16

  32. 推薦者 : 岸本 晶孝   (理学研究科)

    西洋文明と哲学

    反哲学入門 / 木田元. - 新潮社, 2007   北大ではどこにある?

     アメリカでは最近哲学専攻の学生が増えていると云います(ニューヨークタイムズ2008年4月6日の記事)。ただし、歴史上の哲学者のあれこれに興味があるのではなく、将来の見通しが立たない現代社会にあっては、思索で頭脳を鍛え論争の術を身につける必要があるという認識にたってのようです。哲学がそういう処世術にも通ずる生きた学問だと意識されていることに驚きました。
     同時にアメリカ大統領予備選挙の記事を追っていると、度を越したような泥試合のなかにも、時として当事者に正気がもどり、その晴れ間をぬって歴史を貫いてきたギリシャ以来の精神が現前すると思われ...   [続きを読む]

    登録日 : 2008-07-15

  33. 推薦者 : 岸本 晶孝   (理学研究科)

    天才数学者列伝

    God created the integers / Stephen Hawking. - Running Press, 2007   北大ではどこにある?

     ピタゴラスは、エーゲ海に浮かぶサモス島で、宇宙は全き数(自然数)によって表される、と考えたそうです。そののちルート2が全き数の割合で表されない(有理数でない)ことを発見したとき、自らの宇宙観への危機をひそかに感じ、その秘匿を弟子たちに命じました。漏洩者には死がまっていました。
     ギリシャの人々の数学にかけた情熱は、広大無辺の宇宙に肉薄しようという真理にかけた宗教的情熱と一体不可分のようです。後のキリスト教の席巻はこの情熱を本物の宗教的情熱で窒息させてしまい、ギリシャ数学への新風はデカルト(1596−1650)までお預けになりま...   [続きを読む]

    登録日 : 2008-03-05

  34. 推薦者 : 清水 誠   (文学研究科)

    未知の言語の全体像が手に取るようにわかる

    「言葉のしくみ」シリーズ / . - 白水社, 2005-   北大ではどこにある?

     世界の言語に興味があっても、具体的に学ぶとなると、尻込みしてしまうことが多いものです。白水社の「言葉のしくみ」シリーズは、まったく未知の外国語の構造がだれにでも無理なく理解でき、最後まで通読できる、という点をコンセプトとした、CDつきのまったく新しいタイプの言語学入門叢書です。難しい文法用語はいっさい使わず、扱うトピックを厳選して、腕利きの若い編集者が一人ですべての巻をまとめあげ、どれも均質で無理のない内容に仕上がっています。
     これまで出版されたのは16言語で、「ド...   [続きを読む]

    登録日 : 2007-06-01

  35. 推薦者 : 西 昌樹   (メディア・コミュニケーション研究院)

    写真を考える

    <パリ写真>の世紀 / 今橋映子. - 白水社, 2003   北大ではどこにある?

    写真論を考える人にとっての必読書である。他に言う事は無い。まず読むべし。

    登録日 : 2007-06-01

  36. 推薦者 : 西 昌樹   (メディア・コミュニケーション研究院)

    ヒットした映画にご用心

    パレスチナ・ナウ / 四方田犬彦. - 作品社, 2006   北大ではどこにある?

     世界で戦争を起こす大統領の同盟国、日本のメディアでは、反対する全ての抵抗や攻撃はテロとされる。それは当然と言えばそうだが、映画の世界でもプロパガンダは進む。観客は「シンドラーのリスト」や「ミュンヘン」を楽しむが、その映像がいかなる問題を持っているかを指摘した書物。後者がイスラエルとパレスチナを公平に描いているというのは、間違いだと主張する(私はこういうことは言いたくないが、監督はユダヤ人であるの...   [続きを読む]

    登録日 : 2007-05-31

  37. 推薦者 : 柴田 英昭   (北方生物圏フィールド科学センター)

    森林のリター分解について学びたい方へお勧めします

    森林生態系の落葉分解と腐植形成 / B. Berg & C. McClaugherty [著] ; 大園享司訳. - シュプリンガー・フェアラーク東京, 2004   北大ではどこにある?

    森林生態系における落葉分解のパターンやメカニズムについてまとめているものです。分解過程での養分やリグニン、有機物組成の変化などについて既往の研究成果を例にしながら解説しています。

    登録日 : 2007-05-31

  38. 推薦者 : 蓬田 清   (理学研究科)

    新・GPS測量の基礎 / 土屋淳, 辻宏道. - 日本測量協会, 2002   北大ではどこにある?

     車のカーナビや携帯電話にも搭載され、現在の測量や地球科学の基礎となっているGPS測量技術の基礎を必要かつ十分なレベルで解説。

    #2008年にタイトルが『GNSS測量の基礎』として変更され,改訂版が刊行された。(2008-10-28北分館)

    登録日 : 2007-05-31

  39. 推薦者 : 柴田 英昭   (北方生物圏フィールド科学センター)

    森林流域での物質循環研究

    Biogeochemistry of a forested ecosystem / Likens, G.E. and Bormann, F.H.. - Springer-Verlag, 1995   北大ではどこにある?

    米国北東部にあるHubbard Brook実験林は流域レベルでの水・物質循環の長期モニタリングを継続し、酸性雨の生態系影響などを研究した場所として有名なです。本書はHubbard Brook実験林における研究成果をもとに、流域スケールでの水・物質動態、収支について解説しています。原著は1977年に書かれていますが、1995年に出版された第二版では他地域との比較も加えられています。

    登録日 : 2007-05-31

  40. 推薦者 : 柴田 英昭   (北方生物圏フィールド科学センター)

    生態系生態学に関する教科書

    Principles of terrestrial ecosystem ecology / Chapin III, F. S. et al.. - Springer, 2002   北大ではどこにある?

    アラスカ大学のChapin先生らによる教科書です。生態系生態学の概念や物質生産、有機物分解、養分循環について解説しています。

    登録日 : 2007-05-31

Page  1 | 2

ページのいちばん上に戻る