推薦者: 今井 一郎
所属: 水産科学研究院
身分: 教員
研究分野: 海洋生物学

ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ送る言葉

タイトル(書名):
ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ : 15歳から始める生き残るための社会学
著者:
響堂雪乃著
出版者:
白馬社
出版年:
2017
ISBN:
4907872143
北大所蔵:
北大所蔵 1 
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推薦コメント

かつては「陰謀論」あるいは「都市伝説」と言われて一笑に付される様な一見荒唐無稽とも思える事項が,実は真実の場合がある。アメリカ同時多発テロ事件は,陰謀論の最たるものと言われて来た。しかし,死の床にあった元 CIA 局員、マルコム・ハワード氏は、ビル等の破壊に関する経歴や技術を持っていたことから、ニューヨークの世界貿易センタービルの破壊プロジェクトを CIA の幹部から強要されたとの内容を告白した。この事から,同時多発テロ事件は CIA の実行した,アメリカ政府による自作自演のテロである事がつい先日(2017年7月13日)判明した。この事件はアルカイダによるテロだとして国民を説得し(騙し),ブッシュ大統領はアフガニスタン戦争とイラク戦争を報復として行ったことは,あまりに有名である。多くの米国の若者が戦死しあるいは帰国後に自殺し,現地の無辜の民が多数殺害された。巨大な富を得たのは軍産複合体や巨大投資家である。
 翻って日本の状況を見ると経済は停滞し,時給で働かされるワーキングプアの若者が量産され,この国は確実に衰退の方向へと導かれている。国の力量を表す大学等の論文発信についても,かつての栄光の実績は劇的に低下し,今は東欧並みであるのは周知の事実である。この国の衰退はまさに「滅び行く」という形容が似つかわしい。そしてこの国のこのような現状,その方向性と意図について誰もキチンと説明してくれない。私もよく分かってはいない。この書は,これからこの国の中核をなす若い君たちへ,決して優しくもなければは希望を与えるものでもない。しかし,知的リテラシーを涵養する為に必要な世の中の基本情報を提供してくれているように思える。
 本書は201個の項目について各1頁で解説している。「無知であることはこれほどまでにおぞましい」,「知性によって生存の確率が高まる」,「読書しなければ人間になれない」等々,項目のお題は刺激的である。これからこの国で,君たちが逞しく生きて行く人間になって欲しいという著者の切なる願いの表れなのだろうか?

※推薦者のプロフィールは当時のものです。