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推薦者 : 鈴木 孝紀 (理学研究院・教員)
『種の起源』の全体像がわかり易い
若い読者のための『種の起源』 : 入門生物学 / チャールズ・ダーウィン著 ; レベッカ・ステフォフ編著 ; 鳥見真生訳. - あすなろ書房, 2019
北大ではどこにある?
生物学を専門としようとする人以外でも、理系学生ならば一度は読んでみたい名著『種の起源』。実際に挑戦すると、かなり長くて文章も判り難いため、挫折する人が多いようです。ボリュームが圧縮されたこのコンパクト版では、どのようにして進化論が生まれたのかというダーウィンの思考過程を容易に理解することができるでしょう。
エピジェネティクスなどの最新の考え方もコラムで紹介されており、進化論の動向を感じることもできます。また、自宅でたくさんの鳩を飼育してデータを収集したり、ランプの下で羽ペンで執筆したり、という当時のダーウィンの姿を思い描いて... [続きを読む] -
推薦者 : 松本 伊智朗 (教育学研究院・教員)
教育学の面白さを伝えたい
ともに生きるための教育学へのレッスン / 北海道大学教育学部他編. - 明石書店, 2019
北大ではどこにある?
北大教育学部に所属する教員が、それぞれの研究テーマにもとづいて初学者向けに執筆した40の論考です。「こころと身体」「学びと教育」「社会と文化」の3つの領域で編集され、「教育」の研究の領域や方法がイメージできます。各教員が推薦するブックガイドも掲載されており、以後の学習に有益です。教育学部のほぼすべての教員が執筆しているので、学部の研究内容のガイド本としても役立ちます。 -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター・教員)
「研究者」になるための知的基礎体力をつけたい人に
これから研究を書くひとのためのガイドブック : ライティングの挑戦15週間 / 佐渡島紗織, 吉野亜矢子著. - ひつじ書房, 2008
北大ではどこにある?
何年か前に、日本各地の大学で文章表現法関係の授業を担当している教員が集まって実践研修会をしたことがある。各人が自分の授業実践を発表し、ワークショップを通してよりよい授業のあり方を考えるというものだったが、そこで僕が言ったのは、文章表現法の授業をやるということが「自分が教わっていないことを教える”恐怖”」を伴う営為であるということだ。欧米の大学(院)に留学した人は別だろうが、僕自身の高校・大学時代には文章表現法やレポート作成法、論文執筆法は誰も教えてくれなかった。(僕の卒業した大学の教養科目の「文章表現法」は、1年間の総仕上げに短... [続きを読む] -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター・教員)
研究のための「転ばぬ先の杖」
実証的教育研究の技法 : これでできる教育研究 / 西川純著. - 大学教育出版, 2000
北大ではどこにある?
この本は著者の学生(大学院生)指導体験から得た知見をもとに書かれた「研究」のための手引き書である。素材の多くは教育学、特に教育現場の実践を想定しており、それらをどのように研究テーマとして成立させ処理していくかについて解説してくれている。副題に「これでできる教育研究」とあるが、実際の教育研究は現場の生身の人間(生徒・学生)を相手にするのだからこの本を読めば全て滞りなく研究ができるというわけではない。そのことは著者自身が最もよく分かっているだろう。それでもこの本を推薦するのは、学生が、壁にぶつかったり悩んだり理解しにくかったりする... [続きを読む] -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター・教員)
その日本語にはわけがある!
揺れ動くニホン語 : 問題なことばの生態 / 田中章夫. - 東京堂書店, 2007
北大ではどこにある?
「日本語の乱れ」ということが時々メディアを賑わせる。しかし、これは言ってみればジャーナリズムや素朴な庶民感覚レベルの言い方で、その背後には(どこかに)“正しい(あるいは美しい)”日本語のあるべき用い方がある(はずだ)という一種の思い込みが隠れている。言語研究の観点から言えばこれが「乱れ」ではなく「変化」や「揺れ」であることは専門家の間では周知のことである。この本は、多様な現れ方をする日本語の表現を歴史的・計量的に分析し、実は「乱れ」と見えたものもそれなりの背景や理由があることを分かりやすく説明している。言語現象に対する切り口も... [続きを読む] -
推薦者 : 水本 秀明 (外国語教育センター・その他)
日本初の本格的な日本語・フィンランド語辞典
日本語・フィンランド語辞典 = Japani-Suomi sanakirja / 日本フィンランド協会編. - 日本フィンランド協会, 2017
北大ではどこにある?
企画から約20年、何度か頓挫しかけた日本語・フィンランド語辞典が日本フィンランド語協会の手でやっと2017年2月完成しました。フィン日、フィン英辞典はこれまでそれなりのものが手に入りましたが、日フィン辞典としては日本初の本格的なものです。学習用にぜひ利用してください。2017年6月には電子版もリリース予定です。 -
推薦者 : 田畑 伸一郎 (スラブ・ユーラシア研究センター・教員)
フィンランドの歴史を深く理解するための好著
「大フィンランド」思想の誕生と変遷 : 叙事詩カレワラと知識人 / 石野裕子著. - 岩波書店, 2012
北大ではどこにある?
フィンランドの文化を知るうえで重要な叙事詩カレワラが同国の歴史において,あるいは同国が独立を遂げていくなかでどんな役割を果たしのかがよく分かります。フィンランドの歴史について思想面を含めて深く学びたい人にとって必読書です。 -
推薦者 : 田畑 伸一郎 (スラブ・ユーラシア研究センター・教員)
フィンランドの中学における歴史教科書
世界史のなかのフィンランドの歴史 : フィンランド中学校近現代史教科書 / ハッリ・リンタ=アホ [ほか] 著 ; 石野裕子, 高瀬愛訳. - 明石書店, 2011
北大ではどこにある?
フィンランドの中学で使われている歴史教科書を翻訳したものです。フィンランドの歴史が平易に書かれています。フィンランドの歴史がよく分かるだけでなく,どのように歴史が教えられているのかについてもよく分かります。 -
推薦者 : 小泉 均 (工学研究院・教員)
英語に関する素朴な疑問について、英語の歴史に基づき答える本
はじめての英語史 : 英語の「なぜ?」に答える / 堀田隆一. - 研究社, 2016
北大ではどこにある?
英語に関する素朴な疑問について、英語の歴史に基づき答えている本である。なぜ母音で始まる単語の前の不定冠詞はanで子音で始まる単語の前はaなのか?(通常の英文法の解説とは逆で、oneの弱形のanがはじめにあり、子音で始まる単語では、子音が連続するためnが脱落した)、数詞oneに対して、なぜ1番目はfirstなのか?なぜ日本語では姓+名の順なのに、英語では名+姓の順なのかなど興味深い話題が多い。このような事を知らなくても、英語の習得には支障はないのかもしれない。しかし、そうなる理由がわかっている方が記憶に残るし、英語に対する興味が増す。英語の修得に、必ず... [続きを読む] -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター・教員)
おじさんも、若い人も語学を楽しむために
おじさん、語学する / 塩田勉. - 集英社, 2001
北大ではどこにある?
あるきっかけからフランス語を勉強することになったおじさんの奮闘記、という形をとって語学を身につけるための秘訣と、それだけでなく異文化との関わり方を気づかせてくれるユニークな本。語学大好きな人にも語学嫌いな人にもお薦めしたい。
ただ、悲しいかな外国語の先生は日本語はお得意ではないようで、この中にも日本語の間違いが一箇所ある。探してみてほしい。 -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター・教員)
やっぱり東京大学は凄い…。
アクティブラーニングのデザイン : 東京大学の新しい教養教育 / 永田敬, 林一雅編. - 東京大学出版会, 2016
北大ではどこにある?
平成24年8月24日付中央教育審議会答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~」に於いて、今後の中等教育・大学教育に積極的にアクティブ・ラーニング型授業を導入するべきであることが打ち出された。この本は、東京大学教養学部で実践されたアクティブラーニングの理念と方略を報告したものである。読者としては、これからアクティブラーニングに取り組もうとする大学教員を想定しているものであるが、学生が読んでも21世紀に求められる能力をどの... [続きを読む] -
推薦者 : 小浜 祥子 (公共政策学連携研究部・法学研究科・教員)
政治学の最先端理論を分かりやすく
独裁者のためのハンドブック / ブルース・ブエノ・デ・メスキータ, アラスター・スミス著 ; 四本健二, 浅野宜之訳. - 亜紀書房, 2013
北大ではどこにある?
なぜ国民を弾圧し飢えさせる独裁者がこれほど長く権力の座に居続けるのか?なぜ往々にして、資源の豊かな国ほど国民が貧しいのか?対外援助は本当に人々を救うのか?なぜ民主主義国家はこれほど戦争に強いのか?
本書では、第一線で活躍する政治学者二人がこれらの謎を解き明かす。彼らがこの本を書いた理由は「問題に取り組む方法を学生に教えること、問題解決のための訓練をきちんとほどこしてから彼らを世の中に出すこと…自分が事態を良くしているのか、それとも悪くしているのかもわからず、ただものごとを掻き乱すだけの人間を、世界に送り出したくない」からだという... [続きを読む] -
推薦者 : 武藤 俊雄 (公共政策大学院・教員)
「市町村」はどう作られたか?
町村合併から生まれた日本近代 : 明治の経験 / 松沢裕作. - 講談社, 2013
北大ではどこにある?
現在の市町村という、基本的な行政区分がどのような歴史的経緯で形成されてきたのかを、明治期の変革を中心に描いている本である。わが国の社会構成の基本単位が形成される過程には、近代へと向かう人々のダイナミックな動きが見て取れる。私たちが目にする社会の基本構造を支えている「基盤」のようなものの存在を知ることは、少子高齢化・人口減少という大きな変動期を迎える今、ここから先を見通す知的な武器になるだろう。 -
推薦者 : 堀田 尚徳 (法学研究科)
法学って何を勉強するの?と思っておられる方へ
キヨミズ准教授の法学入門 / 木村草太. - 株式会社星海社, 2012年
北大ではどこにある?
本書は、「法学部に入って講義を受けてみたけれど、『法学』ってイマイチよく分からない」「他学部だけれど、法学部って何を勉強する所なんだろう」等と思っておられる方にオススメしたい本です。
どの学問でもそうだと思いますが、「法学」にも考え方の特徴があります。その特徴の要点について、物語風で読み手を飽きさせないように工夫しながら、しかも300頁に満たない分量で解説してくれている本です。例えば、法学系の講義を既に受けられた方は、法的三段論法という言葉に出会われたはずです。本書のChapter1を読んでみてください。講義の良い復習になると思います。... [続きを読む] -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
大学の「勉強」は大変なのである!
「知」の方法論-論文トレーニング- / 岩崎美紀子. - 岩波書店, 2008
北大ではどこにある?
この本を推薦するに当たっては苦い思い出から始めたい。高校時代の「倫理・社会」の授業で、「大学に行く目的は何か?」というテーマでグループ・ディスカッションをしたことがあった。僕のグループ5人の中で、「大学へは勉強しに行く」という意見を出したのは僕だけで、他の同級生は全員「大学へは遊びに行く」と答えたのである。グループ代表として結論を報告した同級生の、僕を小馬鹿にしたような目つきはいまだに目に浮かぶ。そんな高校だったから、卒業時、男子生徒20名中現役で大学に進学したのは2名だけだった(僕も浪人組)。
北大に進学してきた学生諸君の高校... [続きを読む] -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
多文化社会とは?
多文化教育の研究ーひと、ことば、つながりー / 朝倉征夫. - 学文社, 2003
北大ではどこにある?
「多文化社会」や「異文化(間)コミュニケーション」というのは今や大学教育に於ける”流行語”と言ってもいいと思うのだが、他でもないこの北大で「多文化交流科目」を担当していると、学生の殆どが(場合によっては教員も)「多文化」あるいは「異文化」ということを”外国人(非日本人)との交流”だと思い込んでいる実情が見られ、そのたびになんとかしなければ、と思ってしまう。
この本は三部から成るが、第一部の総論を除くと、半分を占める第二部は外国(人)に関する「多文化」状況ではなく、この日本国内に於いて文化的背景を異にする人々に関する考察である... [続きを読む] -
推薦者 : 河合 剛 (メディア・コミュニケーション研究院)
敵を知り己を知れば、のうち後者
The Inner Game of Tennis: The Classic Guide to the Mental Side of Peak Performance / W. Timothy Gallwey. - Random House Trade Paperbacks, 1997
北大ではどこにある?
題名の「テニス」を無視していただきたい。
いまふうに言えば「メンタルを鍛える」のが本書の目的。
己を知り、己を信ずる。運動はもとより、楽器演奏、学会発表、そのほか、練習を重ねて、いざ本番、力を出し切るための精神一到。その手段が、ときに神秘的に、ときに論理的に記されている。
一般に、日本のコーチングは禁止命令が多い。「やめたら負けだ」「そんな態度じゃダメだ」「また間違えた」「何度いったらわかるんだ」
アメリカも臭い精神論がちゃんとあるのだが、一般に見かけはポジティブ。「あそこが理想だ。ここが現在地だ。勝つまで続けるぞ」
本書から、ア... [続きを読む] -
推薦者 : 河合 剛 (メディア・コミュニケーション研究院)
外国語を楽しみつつ学ぶため、まず小説を得意な言語で丸暗記してから、つづいて学習中の言語で読みなおそう
狼と香辛料 : Spice and wolf / 支倉 凍砂(著)、文倉 十(イラスト). - アスキー・メディアワークス 電撃文庫, 2006-2011
北大ではどこにある?
外国語を楽しみつつ学ぶ手段のひとつが、まず小説を得意な言語で丸暗記してから、つづいて学習中の言語で読みなおす方法だ。辞書を引く手間がないスピード感、文意を確実に理解できる安心感。
私は「星の王子様」を英語で暗記し、フランス語で読んだ。
「星の王子様」では短すぎる、かつ、最初に日本語で読みたい、という諸君に、やや長く、かつ好評な日本語が原作で英訳された作品を紹介しよう。
漫画・アニメ化もされた、支倉 凍砂(著)、文倉 十(イラスト)の「狼と香辛料」spice and wolf である。賢狼ホロと行商人ロレンスの物語だ。中世ヨーロッパを思わ... [続きを読む] -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
理論と実例の両面から分かる異文化間コミュニケーション
異文化コミュニケーション : 新・国際人への条件[改訂版] / 古田暁. - 有斐閣, 1996
北大ではどこにある?
異文化間コミュニケーションについての解説書・研究書は山ほどあるが、内容がまとまっていてしかも頭に入りやすい本はそう多くはない。この本は、異文化間コミュニケーションの理論的側面に重点を置きながらも様々な実例を組み込んでわかりやすい叙述を心がけている。一章の分量もそれほど多くないので、一日に読む分量を決めてノートを取りながら読めば内容を押さえていくことができるだろう。異文化間コミュニケーションの好適な入門書として薦めたい。 -
推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
台湾のエスニシティーを理解するために
族群:現代台湾のエスニック・イマジネーション / 王甫昌. - 東方書店 , 2014
北大ではどこにある?
台湾の社会学者・王甫昌先生の著作の日本語訳。つい先日刊行されたもの。原題は王甫昌(2003)『當代台灣社會的族群想像』臺北:群學。台湾の高校生、大学1・2年生向けに行った授業をベースにして書かれたもので、非常にわかりやすい説明である。
族群(エスニシティー)概念の説明から、台湾の「四大族群」(閩南人/客家人/外省人/原住民(先住民))の説明、そして「四大族群」がどのようにして現在のような「四大族群」になったのかを解説している。族群が族群たる根拠・正当性といった、族群の内実を述べるのではなく、族群自体が歴史的・文化的・社会的条件によって可変的なも... [続きを読む] -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
「まとも」な議論をするために
反論の技術-その意義と訓練方法- / 香西秀信. - 明治書院, 1995
北大ではどこにある?
この本は実は一時期僕の日本語の授業のタネ本であった。どのようにしたら留学生に、与えた課題とかみ合う文章(議論)を書けるように指導できるのか困っていたときにこの本に出会って、その説得力ある書きぶりと豊富な実例に蒙を啓かれる思いがしたものである。(ただ、正直、この本の助けを借りて行った授業実践に対する留学生の反応は賛否真っ二つであった。)
書名に「技術」と書いてあるが、所謂ハウツー本の域を超えて「反論する」ということが学問にとっていかに重要な知的営為かを詳しく説いており、読み物としてもおもしろい。この本に書いてある「訓練方法」を実践... [続きを読む] -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
ちょっと残念な、しかし面白い対談
対論 言語学が輝いていた時代 / 鈴木孝夫・田中克彦. - 岩波書店, 2008
北大ではどこにある?
鈴木孝夫と田中克彦のお二人は、特に日本語に於ける漢字の使用を巡ってそれぞれの著書の中でまったく反対の立場を表明してきた。この本ではそのあたりを巡って激論が交わされるのかと思いきや、お二人とも妙におとなしくなってしまっていて(よく言えば紳士的なのかもしれないが)日頃の舌鋒の鋭さはどこへやら、落としどころをうまく見つけて話が進んでしまっている。これはちょっと読者の期待を裏切りすぎるんじゃないのかなぁ、と思う。日本語教師の僕としては、日本語教育に好意的な鈴木氏と、(今の)日本語教育に批判的な田中氏の論争も期待したのだが、それはタイトルが... [続きを読む] -
推薦者 : 河合 剛 (メディア・コミュニケーション研究院)
a guide book for a journey through jazz
The Jazz Standards: A Guide to the Repertoire / Ted Gioia. - Oxford University Press, 2012
北大ではどこにある?
Award-winning Stanford University professor Ted Gioia (who also wrote ''The history of jazz'') explains the songs -- the standards -- of jazz. If you like the book, buy the Kindle version so that you can take it with you to live music events. -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
サンデルとの対話は成功したのか?
日本生まれの「正義論」-サンデル「正義論」に欠けているもの- / 川本兼. - 明石書店, 2011
北大ではどこにある?
著者は、サンデルの正義論が結局はアメリカの「力」の論理によるものではないかという疑問を呈するところから始めて、サンデルの正義論に対する対抗思想としての正義論を生み出そうとした。その懸命な思索の成果がこの本である。著者の思想的格闘が成功したかどうかは、読者それぞれが判定されたい。その中で読者自身が自分なりに正義について考えることをきっと始めているだろう。
ネタバレになるかもしれないが、僕の読後感としては著者は正面からサンデルの思想に切り込もうとしているがところどころで自分に不都合な証拠を-忘れているのか意図的にかは分からないが-出... [続きを読む] -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
図書館の達人になる!
図書館のプロが教える「調べるコツ」 : 誰でも使えるレファレンス・サービス事例集 / 浅野高史とかながわレファレンス探検隊. - 柏書房, 2006
北大ではどこにある?
図書館を、「本を借りる」ところ、「勉強する」ところだと思っている学生はおそらく今では少ないと思うけれども、では、図書館を有効に使えている学生(教員も)がいるかというと、どのように自分たちの勉強やそれ以外の活動に役立つのかまだぼんやりとしたイメージしか抱けない学生も多いと思う。そんなときこの本は役に立つ。図書館が、”お勉強”のためだけの建物ではなくわくわくするような=知的に興奮できる世界だ、ということがわかるだろう。読んだらきっとあなたも図書館に行きたくなる! -
推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
より学術的な台湾の入門書
もっと知りたい台湾(第2版) / 若林正丈編. - 弘文堂, 1998
北大ではどこにある?
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推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
人びとの日常から台湾を学ぶ
暮らしがわかるアジア読本「台湾」 / 笠原政治, 植野弘子編. - 河出書房新社, 1995
北大ではどこにある?
河出書房新社のアジア地域研究シリーズの1冊。政治・経済・教育・文化・宗教・日台関係、言語など様々なトピックを紹介しています。「暮らしがわかる」とあるように日常のひとコマや具体的な人々の話を中心に説明していますので、台湾の臨場感が伝わります。 -
推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
社会心理学の重要テキスト
社会心理学 / 池田謙一 [ほか] . - 有斐閣, 2010
北大ではどこにある?
近年刊行された社会心理学のテキストの中で質量共にとても充実したテキストです。最新の研究成果と豊富な事例に基づながら社会心理学の全体像がつかめるようになっています。第1部ではミクロレベル(認知、推論、感情、自己など)、第2部ではメゾレベル(コミュニケーション、対人関係など)、第3部ではマクロレベル(心の文化差、集団間関係、組織、地域など)が扱われます。
新入生から大学院生まで長く参照できる一冊です。社会心理学に限らず、社会学・人類学・経営学に関心のある人にも目を通していただきたいです。 -
推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
社会調査法の充実したテキスト
入門・社会調査法─2ステップで基礎から学ぶ(第2版) / 轟亮, 杉野勇編. - 法律文化社, 2013
北大ではどこにある?
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推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
文化行動を理解するために
文化行動の社会心理学―文化を生きる人間のこころと行動 (シリーズ 21世紀の社会心理学3) / 金児曉嗣, 結城雅樹編集. - 北大路書房, 2005
北大ではどこにある?
1990年以降、飛躍的に発展した文化心理学の知見を特に社会心理学と関わるトピックに関連して説明したテキスト。宗教・法律・医療・歴史・神話・福祉・人間観など多面的領域の「文化」を様々な角度からとらえています。各章の参考文献も豊富で発展的学習にも最適です。 -
推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
入門から上級まで幅広く使える社会学の教科書
アンビシャス社会学 / 櫻井義秀, 飯田俊郎, 西浦功編著. - 北海道大学出版会, 2014
北大ではどこにある?
北海道大学文学研究科社会システム科学講座の関係者を中心に作成した社会学テキスト。現代日本における様々な社会的トピックについて、具体的な事例を提示しつつその分野での基本概念・用語などをしっかり身に付けられる構成になっています。
会学の入門書としてはもちろんのこと、各種試験対策(公務員、社会福祉士、大学院入試など)にも対応できるように作っています。 -
推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
気軽に読める現代台湾の概説書
現代台湾を知るための60章(第2版) / 亜洲奈みづほ. - 明石書店, 2012
北大ではどこにある?
明石書店の地域研究シリーズの1冊。1章4~6ページの分量で、政治・経済・教育・文化・宗教・日台関係など様々なトピックを60章で紹介しています。内容も現代台湾に関する読み切り型のエッセイ・ルポルタージュ風のものが多いため、興味をもった箇所から気軽に読むことができます。現代台湾に興味をもったらまずは本書を手に取ってみると良いでしょう。 -
推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
社会調査のための、極めてわかりやすい統計の入門書
このとおりやればすぐできる社会調査のための統計学-生きた実例で理解する- / 神林博史, 三輪哲. - 技術評論社, 2011
北大ではどこにある?
よく使われる社会調査の統計解析の初歩が解説されています。記述統計を中心にクロス集計や統計的検定、疑似相関と因果関係などについてわかりやすく書かれています。表や図の作り方など非常にわかりやすく、また途中ではさまれる会話がより一層わかりやすさを引き立てています。統計アレルギーの人、統計学の授業で挫折してしまった人は一度手に取ってみると良いでしょう。 -
推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
質的社会調査のハンドブック
よくわかる質的社会調査─技法編 / 谷富夫, 芦田徹郎編著. - ミネルヴァ書房, 2009
北大ではどこにある?
社会調査の中の質的調査について、様々な技法が紹介されています。インタビュー、フィールドワーク、グランデッド・セオリー・アプローチ、ライフヒストリー法、ワークショップ、アクションリサーチ、内容分析などが扱われています。各調査の理論的背景や心構えよりも、むしろ具体的なやり方を詳しく説明しています。どうやってアポをとるのか、どうやってインタビューデータを整理するのか、どうやってワークショップを開くのかなど具体的な話が豊富ですので、手元に置いておくと便利な一冊です。
なお姉妹編として「プロセス編」もありますので合わせて読むと質的社会調査... [続きを読む] -
推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
日本も案外、宗教的か?
宗教と社会のフロンティア―宗教社会学からみる現代日本 / 高橋典史, 塚田穂高, 岡本亮輔編著. - 勁草書房, 2012
北大ではどこにある?
若手の研究者らによる宗教社会学の入門テキスト。
いわゆる宗教社会学の古典を開設するタイプのテキストではなく、現代日本において宗教が関係する社会現象をわかりやすく解説するタイプのテキストです。トピックごとにオムニバス形式にしてあります。参考文献や宗教調査の方法なども詳しく書かれていますので、発展的な学習もできます。 -
推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
計量社会学を学ぶ!
社会の見方、測り方─計量社会学への招待 / 与謝野有紀 [ほか] 編集. - 勁草書房, 2006
北大ではどこにある?
統計的な手法をもちいて社会現象を分析する(計量社会学)ためのテキスト兼ハンドブック。
紹介されている手法としては記述統計、相関分析、クロス表分析、平均値の比較、重回帰分析、パス解析、共分散構造分析、マルチレベル分析、ネットワーク分析、因子分析、主成分分析、ブール代数分析など基礎から応用まで非常に幅広い手法が紹介されています。しかも単に手法を説明するだけではなく、具体的な社会現象(自殺、都市化、階層など)をそれらの手法で分析するというスタイルで書かれています。そのため統計的手法で社会現象を分析するという計量社会学の醍醐味がいかんな... [続きを読む] -
推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
ひとりで学ぶ計量分析
データアーカイブSRDQで学ぶ社会調査の計量分析 / 川端亮編著. - ミネルヴァ書房, 2010
北大ではどこにある?
大阪大学のSRDQシステムを用いて計量分析を学ぶためのテキストです。
本書の最大の特徴は、SRDQに寄託された本物の社会調査データの分析を行えることです。
テキストの各章ではその分析方法を用いた論文が提示されています。まずこの論文を読み、次にテキストを見ながらSRDQ(ネット環境があればどこでも使用可能)を使ってその論文の分析を再現していきます。最後に章末の練習問題を解くことでより分析のコツがのみこめるようになります。
実際の論文を読みその分析を追体験しながら分析を身に着けていくという実践的スタイルが本書の目玉と言えるでしょう。分析方法はクロス... [続きを読む] -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
家族が「家族」として語られるとき
戦略としての家族-近代日本の国民国家形成と女性- / 牟田和恵. - 新曜社, 1996
北大ではどこにある?
多くの人にとっては家族というのは気がついたら存在している(という意味で)自然な環境である。この本は、その自然なはずの家族が近代日本のジャーナリズムの中でどのように論じられ、どのようにその論じ方が転換し、どのように教育の中に取り込まれてきたかを考察し、近代日本人の意識の中に「家族」として根付く過程を明らかにしている。今日の夫婦別姓や、性別役割分担の問題、あるいは家族の「絆」ということを考えたい、あるいは、そうしたことに興味がある学生にお薦めしたい本である。 -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
人の振り見て我が振り直せ
カネを積まれても使いたくない日本語 / 内館牧子. - 朝日新聞出版, 2013
北大ではどこにある?
最近の出版業界は「脅迫産業」めいてきたところがあり、本の表題にやたらと「知らないと恥をかく~」だの「あなたもきっとだまされる」だの「~のウソ」だの「その○○は恥をかく」だの、これでもかとばかりに読者を不安がらせ(て買わせ)ようとするフレーズを入れるものが多い。こういった表題の本は、おおむね中身はたいしたことがないので買わないことにしているが、ここに挙げた内館氏の本は、その大仰な表題に似合わず、今使われている、あまり適切とは言えないことばづかいを丁寧に拾い上げて論評しており、まさに「人の振り見て我が振り直せ」で、自分の日本語の使... [続きを読む] -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
読み物として面白い文章読本
思考のための文章読本 / 長沼行太郎. - 筑摩書房, 1998
北大ではどこにある?
ここ何年か、「一般教育演習(フレッシュマンセミナー)」で日本語文章表現関係の授業を開講しており、その参考とするためにあれこれの文章読本を45冊ほど読んで、今46冊目を読んでいる。率直に言って授業の素材として役に立ったものはほとんどなく、推奨できるものは4、5冊程度である。そして、これらの推奨できる数少ない本も、どう言ってみても結局はハウツー本であり、面白さという点ではほとんど期待できない。その中にあって、長沼氏のこの本は唯一と言っていいほど読み物としての面白さがある文章読本である。この本を通して読者は、文章作成の根本にある「問い」を立てる... [続きを読む]