推薦者: 和多 和宏
所属: 理学研究院
身分: 教員
進化を実験する
タイトル(書名):
生命の歴史は繰り返すのか? : 進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む
著者:
ジョナサン・B・ロソス著 ; 的場知之訳
出版者:
化学同人
出版年:
2019
ISBN:
4759820078
北大所蔵:
推薦コメント
私は中学生のとき、古墳時代を研究する考古学者になりたいと思っていた。中学校の郷土部という文化系クラブに所属していて、調査研究というものをはじめて体験した影響も強かったと思う。しかし、歴史を研究することの難しさというか、歯がゆさに気がついた。歴史の一回性、再現検証の問題である。人と人、文化と文化の交流など、そのとき、その場で起こったことにゆえに歴史が形成される。その時間の流れを後世になって、あれこれ推測して精度・深度を上げても、いつまでも「多分そうだったのだろう」ということしか言えないだろう、それをもって自分が分かったと納得できないと思えた。故に、考古学者になろうとする気持ちがしぼんでいった。
進化の研究も、ある意味同じだと思っていた。多分、未だに多くの生命科学者も進化に関してそう考えているケースがあると思う。生命の歴史である進化を本当の意味で再現性をもって研究できない、と。しかし、このテーマ「進化(生命の歴史)は繰り返すのか?再現性があるのか?」ということそのものが、進化研究の中心的な命題だったのか、と気づかされる内容である。どのような実験をして、進化の再現性を検証しようとしているのか、それに挑む研究者たちの哲学・振る舞いに心が躍る。そして、偶然と必然の狭間を行き交う生命の不思議さ・奥深さに、心が奪われる。
進化に興味がある人のみならず、遺伝子・ゲノム、行動、フィールドワーク、自然と生き物が好きな人には一読を薦めることができる内容です。きっとヒトも含めた生き物・その研究にあらたな視点を提供してくれると思う。少なくとも、私はこの本をネタに1コマ授業をして、学生の反応をみてみたいと思った。
進化の研究も、ある意味同じだと思っていた。多分、未だに多くの生命科学者も進化に関してそう考えているケースがあると思う。生命の歴史である進化を本当の意味で再現性をもって研究できない、と。しかし、このテーマ「進化(生命の歴史)は繰り返すのか?再現性があるのか?」ということそのものが、進化研究の中心的な命題だったのか、と気づかされる内容である。どのような実験をして、進化の再現性を検証しようとしているのか、それに挑む研究者たちの哲学・振る舞いに心が躍る。そして、偶然と必然の狭間を行き交う生命の不思議さ・奥深さに、心が奪われる。
進化に興味がある人のみならず、遺伝子・ゲノム、行動、フィールドワーク、自然と生き物が好きな人には一読を薦めることができる内容です。きっとヒトも含めた生き物・その研究にあらたな視点を提供してくれると思う。少なくとも、私はこの本をネタに1コマ授業をして、学生の反応をみてみたいと思った。
※推薦者のプロフィールは当時のものです。