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推薦者 : 小林 和也 (高等教育推進機構オープンエデュケーションセンター・教員)
図書館の役割と人文学の勝利
図書館大戦争 / ミハイル・エリザーロフ. - 河出書房新社, 2015
北大ではどこにある?
「理系」が英語で論文書いているのに、「文系」は英語も碌に書けやしないなんて酷い悪口があったものですが、そんな時にはロシア語はできますかと聞き返しましょう(私はロシア語できません)。「理系/文系」なんておかしな二分法を用いてマウントしてくる人もまた碌な人はおりませんが、人文学部廃止なんて物騒な噂もあり、将来に不安を抱えている学生さんもいるかもしれません。しかしそんなことは杞憂に過ぎないのです。もし不安であれば、それはあなたの人生にまだ「意味が生まれていない」からなのです。これは危険なカルトへの誘いでしょうか。違います。文学はカル... [続きを読む] -
推薦者 : 小林 和也 (高等教育推進機構オープンエデュケーションセンター・職員)
北大図書館に眠る財宝
四季・ユートピアノ (DVD) / 佐々木昭一郎. - NHKサービスセンター, 1986
北大ではどこにある?
佐々木昭一郎という偉大なる映像作家の作品は、テレビドラマであったということが災いし、ほとんどソフト化されていない状況です。しかしなんと我らが北大図書館には『四季・ユートピアノ』のVHSがあるではありませんか。 映画は映像、イメージです。だからこの映画について抽象された物語の部分を伝えても何の意味もありません。家族は主人公榮子を置いて皆死んでしまいます。彼女は貧困の中で育ちますが、ピアノの調律師となります。多くの出会いがあり訣れがあります。でも映画は少しも暗くありません。彼女は「音の日記」をつけています。最初に聞こえた音の記憶か... [続きを読む] -
推薦者 : 小林 和也 (高等教育推進機構オープンエデュケーションセンター・職員)
ゾーンへの招待
ストーカー / アルカジイ・ストルガツキー,ボリス・ストルガツキー著 ; 深見弾訳. - 早川書房, 1983
北大ではどこにある?
アンドレイ・タルコフスキー監督による映画のほうが有名かもしれないが、この原作もまた偉大な文学作品だ。
本作は通常SFとされる。しかしそれだけではない。戦争や核汚染後の世界のメタファーとも言える突如現れた謎の危険地帯「ゾーン」。ストーカーはそこに侵入して、異星人が残したとされる異物を採取する。ストーカーとは何者であるのか? この問いに対する答えを、主人公レドリックの述懐に読み取ることができなければ、それはこの本との出会い損ね、悲しい接触と言わざるをえない。 -
推薦者 : 小林 和也 (高等教育推進機構オープンエデュケーションセンター・職員)
生き方について考えることをやめて何らかの実験を生きるには
千のプラトー : 資本主義と分裂症 / ジル・ドゥルーズ, フェリックス・ガタリ [著] ; 宇野邦一 [ほか] 訳. - 河出書房新社, 1994
北大ではどこにある?
生き方がわからないなんて不思議なお話だ。だって君は現に生きているのに? それでも問うてみたくなるのはなぜだろう。生きているのは苦しいし、悩みは耐えない。だからなぜこんなに苦労してまで生き続けなければならないの? どう生きればいい?と問いたくなるものだ。
こういう時はたいてい「生き方」なんていう言葉遣いが分析・分節されてつくしていないからだ。こういう乱暴な言葉遣いには気をつけたほうがいい。「生き方」が違うから分かり合えません。じゃあどうやって人とやっていくのさ?
言葉を分析するには、どうしたらいいだろう。こう考えることはで... [続きを読む]