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博物館・美術館を訪れると展示物よりも説明文に目が向いてしまう私は、文章による解説が不可欠と見えて、図録などを自宅でじっくり読みふけり、肝心の展示品の画像記憶ができないためスケッチはおろか形状・色彩もろくに説明できないありさま。逆に言えば、展示物だけでは不満足で、どなたかに詳しくお話を伺いたい。講演は垂涎の的。
さて本書は平城京遺跡を専属ガイドつきで回る気分が味わえる希有の作品。著者とともに働いた経験をもつ同僚によれば、著者の渡辺晃宏博士は、研究させていただいてるものを世間に還元する意識が強く、木簡に対する愛も加わり、誰にでも熱心に解説する知識還元意欲の強い方だそう。元来の知識と弁舌に加え、何度も解説を繰り返したのであろう、立て板に水のご案内である。いやはや、学者とは、かくあるべき。 |