「本は脳を育てる-北大教員による新入生への推薦図書-」について

 

本は脳を育てる~北大教員による新入生への推薦図書~について

趣旨(「本は脳を育てる」推薦文執筆依頼文より)
(※各名称、肩書きは開始当時のものです。)

平素より、北分館の運営にご理解、ご協力をいただき、ありがとうございます。

北分館は、全学教育への教育サポートを主要な任務としており、今後も北海道大学における教養教育(コアカリキュラム)、基礎教育に資する図書・資料を一層充実させてゆきたいと考えております。近年、日本の教育全体において基礎学力の低下が問題となっており、大学も例外ではありません。また、確かに情報通信技術は飛躍的に発展いたしましたが、一方で、図書こそが知的基礎体力を育てる最も豊かな資源であることへの認識もあらためて高まりつつあるところです。こうした状況にあって、北大の教育全体の中で、北分館の果たす役割は極めて大きいものと考えております。

そこで、北分館では、知的資源としての図書という原点に立って、長期的な継続性をも踏まえながら、来年度より新たに「本は脳を育てる~北大教員による新入生への推薦図書~」という企画を立ち上げることにいたしました。趣旨はこの企画タイトルから充分ご理解いただけると思いますが、併せてすぐお分かりの通り、当企画は、全学教育を担当されるお一人お一人の先生のご協力があってはじめて花開いてゆくものであります。また、対象としては新入生を前面に出してはおりますが、知的基盤をつくる図書ということでありますので、当然ながら、内容的には低年次学生全体を対象としています。

なお、これまでの「教員選定図書」の制度は、今後も継続してゆきます。今回の新企画を新たに加えて、これらを有機的に組み合わせて、北分館の選書体制の充実を図ってゆきたいと考えています。

教員は、これまで教育は専ら教室の中で行なってきましたが、知的基礎力を育成することが全学教育、コアカリキュラムの眼目であることを考えれば、入学初年度、次年度の学生にどのような本を読ませるかは、担当の授業と併せて、教育の極めて重要な柱であります。今回のような企画は、東京大学、千葉大学、広島大学などをはじめ、他の大学でもスタートさせております。これは、法人化、さらには平成18年度からの新学習指導要領のもとでの新入生の入学等々を背景とする中で、大学の知的活力の発展は、大学教育の初期段階で学生の知的基礎力をどう育成するかにある、ということが広く認識されてきたからであると思われます。

以上のような趣旨と背景をご理解いただき、先生方の教育活動の一環として、是非この企画にご協力下さいますようお願い申し上げます。

平成17年度 附属図書館北分館長
大平 具彦