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学生時代に7年ほどあるボランティア活動に携わっていたことがあるのだが、最初に活動に参加しようとした時、親に言われたのは「自分の頭のハエも追えない奴が偉そうに人助けなんかやるな!」という暴言(!)であった。今考えてもあんまりな言い方だと思うが、そうした意識は程度の差こそあれ日本の社会にある時期流通していたボランティア理解ではなかったかとも思う。この本の帯には「『善意』と『冷笑』の狭間で」と書かれているのだが、このことばはボランティアというものに対して注がれる、あるいは浴びせられる視線の複雑さを見事に言い当てている。そうした複雑さを歴史的に粘り強く解き明かしてそこから新たな問いへの道筋を示す労作であり、ボランティアに関心のある学生や、何よりも今ボランティアに携わっている学生諸君にも読んでもらえればと思い推薦することにした。
但し、文章はかなり晦渋であり、お世辞にも読みやすいとは言えないのでその点は留意されたい。
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