留学体験記 vol.5-1


「英語が嫌い。」そう言い放つ青地絢美さんは、今回のインタビューの中では異色の存在かもしれません。でも「苦手だから」で終わらせず、やるべきことはやるべき、と挑戦しているのが青地さんの偉いところ。
interview4の北さんと同様、インタビューに困惑したようですが、「英語を嫌いな人に読んでもらいたい」と前向きに仰ってくださいました。海外なんてハードルが高いと思っている方にこそぜひ読んでもらいたいと思います。1993年生まれ。


page 1・・・留学前:英語は嫌いだけど、無理矢理にでも行かなきゃと
page 2・・・留学中:英語できないからなと迷っているんだったら行ったらいいと思います
page 3・・・留学後:ちょっとだけ前向きになれたかな
page 4・・・後輩へ:英語に負けずに一緒に頑張りましょう!

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静岡県出身で、一人っ子です。高校のときはフェンシング部でした。フェンシングは、練習は辛かったですが、今振り返ると充実していてすごく楽しかったですね。
趣味は、北海道に来てから「水曜どうでしょう」にはまっていて、大泉洋さんがおもしろくていいなあと思うようになって。そこから派生してTEAM NACSの番組を見たりするのが好きです。それから国内を旅行するのが好きなんです。北海道にいるうちに道内を回っていこうと思っています。
サークルは水泳サークルというゆるいサークルに入っています(笑)。

――静岡から北大を志望した動機は?

わたしは元々総合理系で入ってきていて、本当は獣医学部に行きたかったんです。「動物のお医者さん」っていうマンガがすごく好きで、それを読んで北大を志望していました。北海道は自然がいっぱいあって好きだったし、キャンパスも緑が豊かでいいところだなと思ったので、そこも大きな理由ですね。北大獣医学部にいちばん行きたかったですが、獣医学部への想いより北海道大学に行きたい想いが強かったんだと思います。獣医学部には行けませんでしたが、工学部に進んだ今も憧れのキャンパスで生活を送ることができて楽しいです。

部活をやっていたこともあって、高校生のときは獣医学部に行けるほどの成績ではなくて。ちょっとでも可能性があるのならと総合理系に挑戦することにしました。浪人しても良かったのですが、高校生の勉強の範囲で他の人に勝てる気がしなくて。それだったら大学に入ってから、大学の勉強内容でがんばった方がまだ望みがあるんじゃないかって思いました。

学部移行は、第1志望は獣医で出したんですけど行けなくって。元々環境問題に興味があったので、第2志望は環境社会工学科・衛生環境工学コースという環境問題を広く取り扱っているコースのある工学部にしました。環境問題は人間側にいないと解決できないと思ったので、農学部よりは工学部かなと。

2年生のときはやっぱり獣医に行きたい気持ちもあって葛藤もありました。もう一度獣医学部を受験し直そうかとも考えたんですけど、今のコースでやりたいことをちゃんと見つけたので、現在はここで頑張っていこうと思っています。

――まわりの人からはどんな性格だと言われますか?

人からはまじめだとよく言われます。自分ではまじめとは思っていないんですけど、しっかりしているって言われることが多いですね。あ、でも第一印象はしっかりしているって言う人が多いんですけど、付き合っていくと案外抜けているねということをよく言われますね。

わたしは授業に出ることは当たり前だと思うんですけど、学生の中には授業に出ない人もいるじゃないですか。わたしはそういうことはできないタイプなので、そういう意味ではまじめなのかなと思います。

――青地さんはアメリカのハワイ大学マノア校へのNICE(ナイス) Program*に参加されたんですね。きっかけは? 海外には興味があったんですか?

2年生の間は授業が少なくて割と時間があったので、「なにかしなきゃな」という思いに駆られていて。わたし、英語が元々嫌いで、大嫌いで。海外に行くのも怖いし、日本にいられるなら日本にいたいと思うくらいなんです。

周りは英語が好きという人が多くて、それに今って英語できないとダメじゃないですか。よくないなと思って、無理矢理にでも行かなきゃと思って。

海外が好きな子と一緒に説明会に行って、一番参加しやすそうなものを選びました。何個か短期のプログラムがあって。例えば海外にホームスティしてボランティアに参加するというものもあったんですけど、それは語学研修ではないので、英語が話せないとダメなんじゃないかと思いまして不安だったので。あと親がけっこう心配性で行かせたくなかったみたいで。空港から海外に行く、まずそこから心配されてましたね。ホームスティしても言葉が通じないし・・・といろいろ心配されてボランティアはやめてくれと言われました。そのため、北大が斡旋している語学研修の短期プログラムに行くことにしました。あとは行ってみたいなと思える国でニュージーランドとハワイで迷ったんですけど、ハワイは日本人が多いし、両親も行ったことがあったので、ハワイの方が英語嫌いを克服するとか海外に慣れるっていう意味ではいいんじゃないの? と両親からアドバイスされたので、ハワイにしました。

――代金は20万円くらい?

そうですね、多分もっとかかっていると思います。両親にサポートしてもらいました。あとその前に新渡戸賞を取っていたので・・・。

――新渡戸賞を取ったんですか!?

はい。各学部で何名か成績上位の人がもらえる賞で、その賞金がちょうど20万円だったんです。両親は「それは自分で取っておいたら」と言ってくれたので、実質は親に出してもらったことになるんですけど。まあ自分でも取ったし、いいかなと思って。

――海外に行ったことは?

本当に小さい頃で覚えていないんですけど、ニューヨークとハワイに行きました。あとはフェンシングで海外に行かせてもらいました。でもそのときは通訳の方がついていたり、監督さんとかに連れてってもらう立場だったので・・・。練習試合にハンガリーへ、アジア大会でフィリピンへ、世界大会はアゼルバイジャンに行きました。それでも自分で主体的にこの国に行きたいと言って行ったのとは違うので・・・。海外に一人でも行けるだろうという自信にはなっていません。

――ご両親ってどんな人?

高校までは鬱陶しいと感じることも結構ありましたね(笑)。高校になって部活が忙しくて成績が落ちてしまい、両親から進路の話をされると耳が痛かったです。父はスポーツをやってほしいと思っていたみたいで応援してくれたんですけど、進路の話になるとやっぱり視線が痛かったですし、母はわたしが中学まで体育がどちらかと言えば苦手科目だったこともあって、よく「あんたにスポーツなんて無理。そんなんで勉強どうするの?」と言われていたので、正直家に帰りたくないなーと思ったこともありました(笑)。

大学に入ってからは、母は特に心配性で手を焼いてもらっていて、進路のこととかもわたしが調べる前に調べてくれたり。自分が主体的に動けないような人間に感じられて情けなくなるから放っておいてとも思ったんですけど(笑)。それでもやっぱりわたしのことを一生懸命考えて何かできないかといろいろしてくれるのは本当にありがたいと思います。また、嫌なことや悲しいことがあったときとか友達関係の悩みがあるときは電話をして相談に乗ってもらいます。いつも共感してはげましてくれますし、友人関係の悩みは女同士でしかわからないことがあると思います。学校であった嬉しかったこともすぐに報告します。母も自分のことのように喜んでくれるのでさらに嬉しくなります。

父は「これが社会では大事だと思う」というのがしっかりある人で、そういうことをわたしにも話してくれます。わたしが「○○のこういうところが間違っている」とか「わたしはどういう行動をするべきか」とかと思ったときに真っ先に相談するのが父で、社会人という視点からアドバイスをくれます。ファザコンなんじゃないかっていうくらいお父さんが好きです(笑)。説教されるときも論理的で納得せざるを得ないというか。父の大事だと思うことが、少なからず今大学生になった自分の中にも引き継がれていて、自分の財産になっているんじゃないかなと感じることもあるので、感謝しています。

――語学研修の話に戻しますが、英語が苦手と仰っていましたが…?

苦手ですね。リスニングが特に苦手です。リーディングの方は北海道大学の受験科目なんでそれなりにやったんですけど。それでも英語自体が苦手科目でしたし、今でも苦手だと思っていますね。

で、こういう研修に参加する人は英語が好きな人が多いので、話が合わないな~と思いましたね。洋楽の話とか洋画の話とか全くついていけない。アメリカに憧れを抱いている人が多くて、そういった話もついていけない。しかも、そういう人の方が上達が早いし、自らやりますし、力になると思うし、好きだからやれるしうらやましかったです。わたしは嫌いだから続かないし、苦痛だし・・・。

でも、なんていうんですかね、嫌いでもやらなきゃいけないことはやらなきゃいけないと思うんで。結局困るのは自分ですから。父も英語大嫌いだったんですが、それでも社会に入ったら絶対使うから英語はできたほうがいいと小さい頃から言われていました。でもやっぱりわたしはできるようにならなくて。けど、英語が大事だとは思っていたんで、このまま英語が嫌いだし、やらないしという状況をなんとかできたらなと思って参加しました。

――事前に英語のトレーニングはしたんですか?

唯一「英語は絶対、勉強するな!」**というCD付きの本を聴いてみたりしたくらいですかね。英語の先生は英語が好きじゃないですか? 英語が好きな人の勉強法は自分には向いていないと思って。それでもなんとかしなくちゃいけないなと思って英語の本のコーナーを見ていたとき、「英語を勉強するな」というタイトルが印象的で。本の内容としては、勉強として英語をやるんじゃなくて、赤ちゃんが英語を覚えるようにやりなさいという本でした。文字を見てはいけない、まず音を聴くというようなトレーニングの方法が書いてあるものです。

この間図書館の本館で見つけた「TOEICテスト300点から800点になる学習法」***という本にも似たようなことが書いてありました。これも参考になるかなと思います。


*NICE Program(ハワイ大学マノア校)概要 (外部リンク:留学生センターウェブサイト)
**英語は絶対、勉強するな! 学校行かない・お金かけない・だけどペラペラ / 鄭讃容著 ; 金淳鎬訳
***TOEICテスト300点から800点になる学習法 : New Version対応 : 英語難民を必ず救う本 / 鹿野晴夫著