ジャーナル影響度指標(インパクトファクター)

ジャーナル影響度指標(インパクトファクター)

インパクトファクターとは?

インパクトファクターとは、ジャーナル(学術雑誌)の影響度を評価する指標(数値)で、同じ分野の雑誌同士を定量的に比較する一つの手段です。

過去二年間に雑誌に掲載された論文の被引用状況を元に、毎年新たな数値を算出しています。

インパクトファクターはクラリベイト ・アナリティクスのデータベース「Web of Science」のデータを元に計算されています。

計算方法

ある年についてのインパクトファクターの計算方法は以下の通りです。

「対象年の前2年間に雑誌に掲載された論文」が「対象年に」引用された回数
÷ 「対象年の前2年間に雑誌に掲載された論文」 の数

例えば、2018年のインパクトファクターは以下のように求められます。

インパクトファクター計算式

例:

ある雑誌の2016年の掲載論文は305本、2017年の掲載論文は315本だった。
この305+315=620本の論文について、2018年に引用された回数は合計で1519回だった。
このとき、この雑誌の2018年のインパクトファクターは、
(2016年に掲載された論文が2018年に引用された回数+ 2017年に掲載された論文が2018年に引用された回数 )
÷(2016年に掲載された論文+2017年に掲載された論文)
=1519/620=2.45(回/論文)
と求められる。

インパクトファクター以外の指標

Journal Citation Reportsではインパクトファクターの他にもいくつかの指標が利用可能です。

  • 5年インパクトファクター(5-Year Impact Factor)

    通常は直前2年分で計算するインパクトファクターを直前5年分の論文データで計算したものです。
    掲載から引用までの期間が長い分野の雑誌に向きます。

  • 最新文献指数(Immediacy Index)(参考:InCitesヘルプ内「Immediacy Index」

    ある年度内に出版された論文全体について、その年度中に引用された回数の平均として求められる指標です。
    最先端分野の雑誌の比較に有用です。

  • アイゲンファクター(Eigenfactor Score)(参考:「アイゲンファクターとは」(PDFリンク)

    総被引用数の多いジャーナルからの引用を、少ないジャーナルからの引用に対して大きい値になるように重み付けをすることで、インパクトファクターの「掲載論文数が少ない雑誌に対して値が大きく出る」欠点を補った指標です。

注意が必要な事項

参考ページ:「インパクトファクターについて」

☆異分野間での比較には使えない

インパクトファクターの決定には各分野の研究者人口、論文の引用動向、他の分野からの引用の有無など様々な要因が関わります。そのため、論文の引用の慣習(分野の平均引用数や発表からの経過年月と被引用数の関係性など)が大きく異なる異分野同士を、インパクトファクターを用いて比較することは意味がありません。クラリベイト・アナリティクスの公式Q&Aは二つの異分野同士の雑誌については「自分野の有力誌への引用・被引用回数」を比較するなどの手段を薦めています。

☆論文・研究者の評価のための指標ではない

インパクトファクターはあくまでも雑誌に付与されるもので、必ずしも投稿雑誌のインパクトファクターが個々の論文の引用実態を正確に表しているとは限りません。雑誌のインパクトファクターを論文の評価に転用することの危険性については、国際数学連合(IMU)・応用数理国際評議会(ICIAM)・数理統計学会(IMS)が合同で設置した委員会の報告書を日本数学会が和訳した「IMU-ICIAM-IMS 報告 Citation Statistics」(PDFリンク)に詳しく述べられています。個々の論文や研究者の評価には研究分析ツール「InCites」が有用です。(参考:InCiteの紹介ページ)

☆小規模な学術雑誌のインパクトファクターには注意

算出方法の性質上、投稿論文が少ない場合にはインパクトファクターの値が偶然に変化する触れ幅が大きいと考えられます。小規模な学術雑誌の場合は単年度のインパクトファクターに注目するのではなく、過去数年間のインパクトファクターも合わせて確認しましょう。

☆引用数以外の性質は表現できない

インパクトファクターはあくまでも引用数を元にした指標です。過去に掲載された論文の傾向や雑誌の詳細な分野、また、どのような雑誌からの引用が多いかなどは考慮されていません。

Jounal Citation Reportsでインパクトファクターを調べる

どうすれば確認できるのか

データベース「Journal Citation Reports」に掲載されています。Journal Citation Reportsは北大で契約しているデータベースのため、学内からのアクセスができます。学外からご利用の場合はリモートアクセスサービスをご利用ください。

Jounal Citation Reportsのトップ画面

Journal Citation Reportsでは様々な方法でインパクトファクターを調べたり比較したりすることができます。(ユーザーガイド「Journal Citation Reports」も参考に)

雑誌の一覧を出す

Journal Citation Reportsのスクリーンショット

トップ画面から「BrowseJournal」を選択した画面では、雑誌のタイトルや各雑誌のインパクトファクターなどを一覧にして表示することができます。また、左端の「Filter」ボタンを押すことでインパクトファクターや合計被引用数などで並べ替えたり、雑誌名や分野によって表示する雑誌を指定できます。

Journal Citation Reportsのフィルター機能のスクリーンショット
Journal Citation Reportsのフィルター機能のスクリーンショット

以下は、旧版のインターフェースJournal Citation Reports(Classic)で利用可能だった機能の説明です。

2021/08/11現在、新インターフェースではCOMING SOONと記載のある機能を含みます。
(旧インターフェースは2021年末までアクセス可能とのことです(Clarivate Releases Journal Citation Reports, Naming the World’s Leading Journals記載の情報より))

雑誌同士を比較する

Journal Citation Reportsのスクリーンショット

「Browse by Journal」を選択した画面から更に左側のメニュー内の「Compare Journals」を選択することで、複数の雑誌のインパクトファクターなどの値を比べることができます。

雑誌の詳細情報を表示する(Journal Profile)

Journal Citation Reportsのスクリーンショット

「Browse by Journal」の一覧から雑誌名をクリックすることで、各雑誌の以下のような詳細情報を確認できます。

  • 過去5年間のインパクトファクターの推移
  • 各年の掲載論文についての被引用数の分布
  • 掲載論文の引用先の雑誌名一覧
  • その雑誌に投稿した著者の所属機関TOP10
  • 掲載論文の引用先または引用元の雑誌名

分野の一覧を出す(Browse by Category)

Journal Citation Reports

トップ画面から「Browse by Category」を選ぶことで、各分野ごとのインパクトファクターの統計量(分野におけるインパクトファクターの平均や中央値など)を確認することができます。また、「#Journals」列の数字をクリックすることでその分野に含まれる雑誌一覧を表示できます。雑誌名を元に、その雑誌に関連する分野を指定することも可能です(左列:Select Jounralsから雑誌名で検索して指定)。

参考情報

Clarivate Analytics製品のユーザーガイド

https://clarivate.jp/training/web-of-science/
ページ中の「インパクトファクター・ジャーナル評価指標 ? Journal Citation Reports」に操作説明が記載されています。

インパクトファクターについてのよくある質問集

https://clarivate.jp/products/journal-citation-reports/impact-factor/
インパクトファクターの概要や活用方法に関するよくある質問が掲載されています。

Clarivate Analyticsラーニングポータル内のJCRガイド動画

https://clarivate.com/webofsciencegroup/support/support-jcr/
JCRの新インターフェースについての解説動画が公開されています(英語版のみ)。


【お問い合わせ先】附属図書館 研究支援課(jsa [at] lib.hokudai.ac.jp)