スラブ・ユーラシア研究センター図書室
Library, Slavic-Eurasian Research Center

library-news-2000

【2000年以前】

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マイクロフィルム変色事件 [no. 83 (2000.10) より]

 昨年夏のことであるが、1995年度より継続受入中のSoviet Communist Party and Soviet Stateシリーズの、最初に納品された部分が、一部、茶色に変色した筋が出ていることが判明した。この筋の部分は、フィルム上にきちんと定着しておらず、リーダーを使用して読影中に、フィルムが通った部分に滓を残すこともあった。
代理店にクレームし、調査を要望したところ、半年近くのやり取りの結果、現像プロセスにおいて、水洗いが不十分だったためであり、該当フィルムを新しく製造したものと交換することになった。当方で調査の結果、問題の生じたフィルムは全部で115リールあったが、去る9月に新しい製品が到着して、交換をおこなったところである。
マイクロ資料は、使用した材料と保存環境が適切であれば、長期保存に耐えるものと考えられているが、ときにこのような問題が生じることがあり、放ったままにしておかないのがよさそうである。[兎内]


野々村一雄教授旧蔵書の受入

 今年度から3ヶ年年計画で、上記資料を収集することになったので、お知らせしたい。
野々村一雄教授は、1913年愛知県に生まれ、大阪商科大学を卒業後、満鉄調査部等を経て、戦後は一橋大学経済研究所教授、千葉商科大学教授を務められた、戦後の代表的なソヴィエト経済専門家の一人と言えよう。1998年没。
センターでは、氏の旧蔵書のうち、学内で重複のない露文、欧文、和文図書、約1,400点の収集を予定し、現在、受入作業が進行中である。蔵書の中心は、1950年代から70年代にかけて出版されたソ連経済に関する専門書であるが、調査してみたところ、この部分に関してセンターの蔵書は必ずしも充実していなかったことがわかった。旧蔵書の受入は、この欠を埋める点で大いに貢献してくれそうである。また、受入が決まった資料について、作業の傍ら国立情報学研究所の総合目録をチェックすると、2-3館しか所蔵のない資料が多いのは意外であった。当時の大学図書館のロシア語図書収集量は、この程度のものだったのであろうか、それとも、遡及入力がなかなか進行していないためであろうか。[兎内]


革命前ロシアの県報知

 Norman Ross社は、革命前ロシアの県報知(губернские ведомости)のマイクロフィルム版を製作するプロジェクトを、ペテルブルクのロシア国立図書館(Российская национальная библиотека)の協力を得て進めており、現在、7県について入手可能となっている。
センター図書室では、このうち、アクモリンスク州(1871-1919年)および沿アムール総督府(1894-1917年)の分を1998年に購入しているが、今回、さらにキエフ県(1838-1917年)およびカザン県(1838-1917年)についても購入することとなった。現在、すでにフィルムは到着しており、受入手続き中である。県報知は、当該地方に伝達される中央政府および地方機関からの法令・布告等を収める公式部分と、それ以外の地域関連情報を報ずる非公式部分から成り、革命前のロシア地方社会の動きを追う上での基本資料として、今後の活用が期待される。[兎内]

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新規受入資料の紹介 [no. 82 (2000.7) より]

 センター図書室は、前号でお知らせしたキエフ神学大学紀要に続き、カザン神学大学の紀要であった『正教の対話者 Православный собеседник』 1855-1917. のマイクロフィッシュ版を購入することとなった。さきごろ現品が到着し、現在受入手続き中なので、近日中に利用いただけるようになるであろう。
カザン神学大学の創立は1842年とされる。他の3つの神学大学に比べて遅れた出発であるが、その前身である主教区初等学校Архиерейская элементальная школаが設立されたのは1723年にさかのぼる。この学校はキエフ神学校を範として1732年に神学校に改組され、1797年にはペテルブルク神学校とともに神学大学に改組されたのだが、資金難などから1818年に閉鎖され、この年にようやく再興されたのだった。
カザン神学大学は、研究レベルの高さと、イスラム教徒その他の異教徒への布教活動への関与によって特徴づけられる。その雑誌は、主にボルガ流域やシベリアでの正教会と異教徒との関係、異民族や分離派のあり方を知るための手がかりとして、活用が期待されよう。
なお、今回のセットには、付録として刊行された『異民族評論『Инородческое обозренике』.т 1-2 (1912-1917)があわせて収録されている。
また、この資料は一橋大学附属図書館にも収蔵されており、センターはおそらく国内2番目の所蔵館である。[兎内]

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新規受入資料の紹介 [no. 81 (2000.5) より]

 最初に報告させていただきたいのは、キエフ神学大学紀要(Труды Киевской духовной академии)т. 1-58. 1860-1917年. [マイクロフィッシュ版]. IDC社. の購入である。
革命前のロシアには、キエフ、モスクワ、ペテルブルク、カザンの4つの神学大学があったが、キエフ神学大学はその中でも、1615年設立のキエフ兄弟団学校(のちのキエフ・モヒラ・アカデミー)に遡る、最も長い伝統を誇っていた。1860年に創刊されたその紀要は、主として西方教父の著作の翻訳およびキリスト教研究のオリジナルな成果を収める。1860-1904年および1905-1914年をカバーする記事索引が付録する。なお、この購入には1999年度特別設備費の一部を使用した。
また、センター図書室は、この関連資料として、キエフ神学校評議会議事録(Протоколы заседаний Совета Киевской духовной академии) 1875-1895年分のマイクロフィッシュを所蔵する。これは、UMI社から提供されるRussian History and CultureシリーズにRH20680として含まれる。
この他、昨年度は、帝国科学アカデミーの出版物であったХристианский Восток. т.1-6. 1912-1920.、北京駐在ロシア宣教団のТруды членов Российской духовной миссии в Пекине. т. 1-4. 1852-1866.も購入した。後者は、中国の歴史、習俗、宗教事情、産業などを扱い、ロシアによる戦略的中国地域研究の様相を示す。
次に紹介しておきたいのは、ロシア帝国正教関係政令・指令集Полное собрание постано-влений и распоряжений по ведомству православного исповедания Российской Империи. である。これは宗務院の発足した1721年以後について、主に宗務院の文書館に残されていた文書から編年的に編集したもので、1869年から1915年にわたって分冊刊行された。途中エリザベータ・ペトローヴナ(在位1741-1762年)以降の分は皇帝の治世毎に編集されたが、これは完成を早めるためであろう。しかし、残念ながら刊行できたのはパーヴェル1世の治世(1796-1801年)以前の分と、1825-1835年をカバーするニコライ1世の治世の最初の巻までであった。センター図書室は、Norman Ross社が製作したこのマイクロフィッシュ版を購入した。
なおこの資料は、П.А. Зайончковскийの編集したСправочники по истории дореволю-ционной России. Изд. 2-е. М. 1978. では1250-1254番にあたる。
最後に触れておきたいのは、これと同じくNorman Ross社から購入した、文部省政令集Сборник постановлений по Министерству народного просвещения.т. 1-17. である。これは文部省の創立以来の文部関係法令を、1864年から1904年にかけて刊行したもので、1802年から1900年までをカバーする。なお、このマイクロフィッシュ版は、改訂第2版があるときは、それを使用しているようである。1802-1881年および1881-1900年をカバーする索引を付す。Зайончковскийの編集した上掲書では、1339番にあたる。
なお、以上の資料の収集には、原暉之教授を代表者として1999年度に開始された科研費プロジェクト「近現代ロシアにおける国家・教会・社会 : ロシア正教会と宣教団」に依るところが大きいことを付言する。

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北大大型コレクションにGibson Collectionが決まる [no. 80 (2000.1) より]
 スラブ研究センターでは、今年度の附属図書館の大型コレクション収集候補として、カナダのロシア歴史地理学の専門家であるJames R. Gibsonヨーク大学名誉教授の蔵書の購入を推薦していたが、このほど文部省から経費が認められ、年度内に購入の運びとなった。
ロシア、シベリア、アラスカの歴史と地理に関する重要な研究と資料を長年にわたって広い視野から収集したGibson教授の蔵書は,全2,000点以上に及び、ロシア、シベリア、その他の北方地域に関する、北大附属図書館、特にその北方資料室とスラブ研究センターの蔵書を強化する上で大きく貢献するであろう。
なお、Gibson教授は、1981-1982年に、外国人研究員としてセンターに滞在されたことがある。主な著書としては、

Feeding the Russian Fur Trade : Provisionment of the Okhotsk Seaboard and the Kamchatka Peninsula, 1639-1856 (Madison, 1969);

Imperial Russia in Frontier America : The Changing Geography of Supply of Russian America, 1784-1867 (New York, 1976);

Otter Skins, Boston Ships and China Goods : The Maritime Fur Trade of the Northwest Coast, 1785-1841 (Seattle, 1992) がある。[兎内]

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社会革命党文書の購入の決定 [1999年12月 センター Mailing List より]

 スラブ研究センターでは、アムステルダムの国際社会史研究所が所蔵するロシア社会革命党文書のマイクロフィルムの購入費を、大学本部に緊急経費として要求していましたが、このほど認められ、年度内に調達することとなりました。
頒布元のIDC社のホームページ(
http://www.idc.nl)によりますと、社会革命党の創立時に、P. Lavrovの蔵書が党の図書館とされたが、このLavrov fondをもとに、後年別のメンバーの資料が加わったものとのこと。所在は、第一次大戦前はパリ、20年代はプラハにあり、1934年にベオグラードに移転の後、社会史研究所の働きかけで1938年にオランダに移され、大戦中は英国に疎開していてたとのことです。現在は、社会史研究所の所蔵です。
全145リール。目録は、次の資料として刊行されています。

Hermien van Veen. Inventory of the archives of the Partija
Socialistov-Revoljucionerov (PSR), (1834-)1870-1934.
Amsterdam: Stichting beheer IISG,1994. XIV, 96 pp.
(IISG Working Papers no. 26, ISSN 0921-4585; 26).

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シベリア出版物の収集 [no. 79 (1999.11) より]

 図書室ではこれまでもシベリア出版物の入手に力を入れてきましたが、ロシアの書籍流通の現状から、その充実は困難でした。そもそも現地でも、シベリアの別の町の出版物が入手困難であるばかりか、何が出ているのかさえもわからないことが多い様子なのです。
当室では、ハバロフスクの国立極東科学図書館との国際交換をおこなっていますが、当室の重複資料リストを先方に送ったところ、返ってきたリクエストの多くは、リストに申し訳程度に載ったロシア領極東の出版物だったことがあります。
最近、図書室では、1998年度に外国人研究員としてセンターに滞在した、ロシア科学アカデミーシベリア支部のシシキン教授の協力を得て、シベリア出版物の充実を図ることができました。例えば、次のような、戦後に出版された、シベリアとその周辺のいくつかの州の文書館ガイドブックです。

Флеров, ВС (ред.)Государственный архив Томской области: путеводитель. Томск. 1960. 256 с.

Государственный архив Омской области и его филиал в г.Таре: путеводитель. ч. 1. Омск. 1984. 170 с.

Государственный архив Омской области и его филиал в г.Таре: путеводитель. ч. 2. Изд. 2-е, перер. идоп. Омск, 1987. 291 с.(ч. 1)

Государственный архив Иркутской  области: путеводитель: дополнение к изданию. 1975 г. Иркутск. 1987. 251 с.

Государственный  архив  Семипалатинской  области : путеводитель. Алма-Ата. 1988. 214 с.

図書室ではこの他にも、各種史料集、事典類、統計、その他研究書、論文集などを揃え、広く要望に応えられるように資料を整備していきたいと考えています。[兎内]


"Russians in Australia"の寄贈

 最近、"Russians in Australia"という一連のシリーズとして出版された資料の寄贈を、編者のNina Christensenさんから受けました。テキストは主にロシア語ですが、一部英語のものもあり。 出版元は、University of Melbourne.
内容は、次の通り

  1. Zhernakov, V.N. Nikolai Apollonovich Baikov : (biographical outline and bibliography). 1968.19 p.
  2. Zhernakov, V.N. Vladimir Vasil'evich Ponosov : (biographical outline and bibliography). 1972. 16
  3. Aleksei Pavlovich Khionin : (biographical outline and bibliography). 1973. 5 p.
  4. Halafoff, I. Irina Vladimirovna Halafoff : an autobiographical sketch. 1988. 55 p.
  5. 11. Korenev, O.S. Russkoe Blagotvoritel'noe Obshchestvo v Sidnee. 1988. 24 p.
  6. Shnittser-Smolianinov, I.M. Mikhail Nikolaevich Volin. 1989. 0 p.
  7. Cowall, L. Zinaida Georgievna (Sika) Kerry. [ca. 1990.] 8 p.
  8. Potter, Michelle. Kira Bousloff : founder of the West Ausralian ballet. 1991. 30 p.
  9. Koreneva-Kulinich, O.S. Russian women in Australia. Pt. 1. 1992. 44 p.
  10. Kamensky, Yu.A. History of the St John of Kronstadt Russian Welfare Society in Victoria. 1993. 43 p.
  11. Frolova, M.D. Russians in Australia. 1996. 215 p.
  12. Vinocuroff, V., Kamensky, Yu. Russian engineers in Australia. 1996. 107
  13. Kanevskaya, G.I. Russian migrant community in Australia, 1923-1947. 1998. 83

 学情センターの総合目録データベースでは、いずれも書誌はありません。

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最近の収集物から [no. 77 (1999.4) より]

 これまでこの紙面でご紹介してきましたのは、高額のセットものなどが中心でしたが、今回は、それに比べて小物かも知れないが気になる資料をいくつか紹介してみます。

Slovansky sjezd v Praze roku 1848.: sbirka dokumentu. Edited by Vaclav Zacek and Zdenek Tobolka. Praha: Nakl. Ceskoslovenske akademie ved, 1958. 614 p.  パラツキーの主導で1848年にプラハで開かれたスラブ人会議に関する史料集。会議の開催に至るまでの動き、諸民族の会議に対する態度、会議の進行にかかわる書簡、議事録などが集められている。

Sabrana dela Vuka Karadzica. Knj. 1-13, 15-21, 36 (1965-1988)
セルビアの民俗学者、言語学者の著作集。全巻揃っていませんが未完結と思われる。
各巻の内容は、次の通り。

  1. Mala prostonarodnja slaveno-serbska pjesnarica (1814). 1965.
  2. Srpski rjecnik (1818) 1966.
  3. Narodne srpske pripovijetke (1821); Srpske narodne pripovijetke (1853). 1988.
  4. Srpske narodne pjesme. Knj. 1-4. 1975-1988.
  5. Danica 1826, 1827, 1828, 1829, 1834. 1969.
  6. Srpske narodne poslovice. 1965.
  7. Novi zavjet Gospoda nasega Isusa Hrista. 1974.
  8. Srpski rjecnik (1852). In 2 vols. 1986-1987.
  9. O jeziku i knjizevnosti. 1968-1986.
  10. Istorijski spisi. 1969.
  11. Etnografski spisi. 1972.
  12. O Crnoj gori; Razni spisi. 1972.
  13. Deutsch-serbisches Worterbuch. 1971.
  14. Prepiska. 1. 1811-1821.1988.
  15. Prepiska. 2. 1822-1825. 1988.
  16. Bibliografija spisa Vuka Karadzica. 1974.

Etnohrafichnyi visnyk. Kn.1-7. Kyiv: Ukrains’ka akademiia nauk. 1925-1928. V.
Kubijovic編のEncyclopedia of Ukraine. Vol. 1.(Toronto: University of Toronto Press, 1984)の記述によれば、1932年までに全部で10冊出たとのことであるから、センターの蔵書は最後の3冊を欠いていることになる。2冊に合冊製本されており、随所に“Slawischen Seminar der Deutschen Karls=Universitat in Prag”の丸印が見られる。[兎内]

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中国東北部の地図購入 [no. 76 (1999.1) より]

 スラブ研では、平成6年度に、旧ソ連のほぼ全体をカバーする1:200,000地図4500枚余りを購入しましたが、今年度の緊急経費の申請が認められたことにより、この地図に接続する、旧ソ連作成の中国東北部および内蒙古地域および南北朝鮮の1:200,000地図が購入の運びとなりました。
東北アジア地域を、国境を越えた視点で研究するためのツールとして、さまざまな分野での活用が期待されます。[兎内]

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マイクロ資料のデータ入力 [no. 75 (1998.10) より]
 この春より、センターCOE非常勤研究員諸氏の協力を得て、センターの収集したマイクロ資料の書誌データの学術情報センター総合目録システへの入力を始めました。
現在、ここ2〜3年の間に収集した、元が図書や逐次刊行物である資料を対象に、入力作業を進めております。当然のことながら入力データは北大の図書館システムにもロードされ、北大附属図書館のオンライン目録でも提供されます。従来も、特に新聞雑誌については重点的に入力してきましたが、これによって遠隔地からでもより網羅的に検索ができるようになります。
なお、現在センター内にあるマイクロ資料の仮カード目録の編成も継続し、並行して提供します。 [兎内]

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18世紀ロシア研究叢書(マイクロフィッシュ)の整理について [no. 74 (1998.7) より]

 上記のセットは、以前ニュースNo. 67(1996. 10)でご紹介した北大附属図書館で購入した資料で、内容的にはPolnoe sobranie zakonov Rossiiskoi Imperiiなど、18世紀にとどまらない、ロシア史研究の基本資料を多く含んでいます。 残念ながら、しばらく未整理状態で、利用に不便がありましたが、附属図書館のご努力で、昨年度、全点整理されましたのでお知らせします。 北大図書館のデータベースで検索できるほか、附属図書館とセンター図書室には冊子の目録も備えました。[兎内]


新聞の保存について

 図書室では、現在、ロシア東欧地域の新聞を約100紙購読しています。特に、1990年に全国共同利用施設となって以後、大幅なタイトル増をしたわけですが、一方で、資料の収蔵スペースには限界があり、購読紙を製本して保存することは困難になりつつあります。
そこで、本年度より、1997年受入れの新聞で、マイクロフィルムでバックナンバーが得られる分については、マイクロフィルムを別個に購入して保存することとしました。
読みやすい、ページをめくりやすいなど、原紙の長所も承知はしておりますが、以後、順次切り替わりますので、ご了承願います。[兎内]

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シェヴェロフ・コレクションの受入 [no. 73 (1998.5) より]

 センターはニューヨーク在住のスラブ言語学・文献学者ジョージ ・Y・シェヴェロフ博士の旧蔵書を購入することとなり、その第1陣として図書832冊、雑誌806冊がこの2月末に到着しました。 シェヴェロフ博士は、1908年にポーランドのウォムジャに生まれ、コロンビア大学教授として長く活躍されました。博士の仕事の領域は,ウクライナ語を中心としながら、スラブ諸語を広くカバーするものであり、その蔵書はセンターの言語学関係資料の核となることが期待されます。
なお、博士の蔵書は、協定により、個人コレクションとして将来的にも他の資料とは区別して管理されることとなっています。 [兎内]

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新規受け入れ資料の紹介 [no. 72 (1998.1) より]

 昨年暮、緊急経費により、ハンガリーの歴史雑誌Szazadokの第1巻(1867)から第100巻(1966)までを購入しました。 この他、次の新聞のマイクロフィルムを受け入れました。
Sovetskaia Sibir’ 1919-1994.
Sankt-Peterburgskie vedomosti 1762-1782.
Sotsialistik Qazaqstan 1944-1986.
Sovet Turkmenistany 1943, 1945-1947, 1951-1980.
Sovet Uzbekistoni 1965-1986.
Sovettik Kyrgyzstan 1956-1980.
Tochikistoni soveti 1955-1980.
Pravda Vostoka 1930-1954.
正教新報 1880-1912.
正教時報 1912-1939.
(欠号部分もありますので詳細はお問い合わせください)
また、
Akty, sobrannye Kavkazskoiu arkheograficheskoiu kommissieiu. t. 1-12, 1866-1904. のマイクロフィッシュ、および、Comintern archiveのうち第7回大会(1934-35)を扱う3rd Installmentまでを購入しました。[兎内]

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メイリング・リストを開設 [no. 70 (1997.7) より]

 ロシア・東欧関係の資料に関する話題を扱う私的な情報交換の場として、メイリング・リストを開設しましたので、お知らせします。 関心のある方は、次のアドレスまでご一報下さい。[兎内] usagi@slav.hokudai.ac.jp 兎内宛て

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伊藤清久氏旧蔵書の受け入れ [no. 69 (1997.4) より]

 1995年に、伊藤清久氏のご遺族から寄せて頂いた蔵書の内、選択をおこない、584冊を受け入れました。ほとんどがロシア語の資料です。
内容的には、歴史、文学から、経済、石油に関する技術的なものまで含まれていましたが、特に際だったのは第2次大戦関係の資料が豊富なことで、ソ連の軍人によるメモワールや、戦争にまつわる文学作品を多く補充することができました。1997年夏に整理が完了し、利用可能です。[兎内]


「ユーゴスラビア:人民、国家、社会」の購入

 この資料は、UCLAの所蔵するユーゴスラビアの主に歴史と文化に関する2,075点のパンフレットとモノグラフを109リールのマイクロフィルムに収めたもので、言語はセルボ・クロアチア語が多く、時代的には中世から1960年代までをカバーします。
付録のガイドブックによると、このコレクションは1961-62年にかけてUCLAが、ユーゴスラビア資料を将来充実させていく基礎にするため、現地で収集したもので、保存のためにマイクロフィルム化することとなったとのことです。
東欧諸国、特にバルカン地域の資料が手薄なセンターにとっては、非常に有用なものと考え、96年度の学内緊急経費で要求したところ、関係者の理解を得て購入することができましたのでお知らせします。
付録のガイドブックにはタイトル、著者、件名の索引があり、アプローチが容易になっています。 現在、利用可能です。[兎内]


コミンテルン資料の収集状況

第1期分を購入したことについては、ニュースNo. 64(Jan.1996)で既にお伝えしましたが、1996年度は第2期、1997年度は第3期分を購入しました。これによって、第1回(1919)−第7回(1935)大会の資料が収集されました。全て利用可能です。[兎内] 


ハルラーモフ、イテンベルク、ロシア国立図書館、そしてスラブ研究センター  

 学術振興会の招きで埼玉大学に滞在中のビクトル・ハルラーモフ氏をお招きして、『革命前ロシアにおける書、検閲、読書』と題する研究会をおこなったのは、1996月24日のことでした。
今にして思えば、通訳をはさんで1時間半という予定時間は、ハルラーモフさんにあまりにも短すぎました。(佐々木照央氏が通訳をしてくださいました)。ノビコフとエカチェリナ2世に始まって、アレクサンドル1世の検閲改革、ルミャンツェフ伯の歴史編纂事業から、結局ソビエト時代にまで話は及びました。尽きるところを知らない、熱気を帯びた話ぶりでした。
ハルラーモフ氏は、モスクワのロシア国立図書館にお勤めであり、若くして図書史部長、副館長といった要職にあった方です。しかし、その雰囲気は飾りのなく人なつこい純真な学者そのものでした。研究会がはねたあとのお酒の席で、乾杯の音頭を取るのに、「ロシア国立図書館の未来のために」と言ったところ、顔を 曇らせていらしたのを、今も覚えています。
ところが、昨年の暮れになって、氏が交通事故により急逝したとの連絡が入りました。 1948年11月生まれの氏は48才の誕生日を迎えたばかりでした。
年が明けて、新聞記事をチェックしていると、かつて彼の同僚だったロシア書籍史学の長老ネミロフスキーによる追悼文が目に入りました(『図書評論』紙1997. 1. 21付)。 それによると、レーニン図書館のネミロフスキー稀本部長は、稀本部図書史課が課題としていた革命後のソビエト図書史編集のために、歴史家が必要と考えていました。そこで、ボリス・イテンベルク(ソ連邦科学アカデミー歴史研究所)とミハイル・セドーフ(モスクワ大教授)から、ハルラーモフ氏を推薦されたということです。イテンベルクとセドーフはともにナロードニキの研究者であるが、その一方でイテンベルクは、『19世紀ロシア非合法・発禁印刷物総合目録』(1971年刊)の編集を指導し、セドーフもその仕事の助言者として重要だったとのことです。2人とも、図書館の事業に深い関心と理解を持って関わっていたわけです。
彼らの推薦状を携えて、ハルラーモフ氏はネミロフスキーと出会いました。1980年5月のことです。そして以後、ハルラーモフ氏は『ソ連図書史』シリーズの編集・執筆者としてネミロフスキーともに働き、82年にネミロフスキーの退いた後も事業の継続に力を注いだのでした。
既にニュース67号(Oct. 1996)でお知らせしたように、センターではイテンベルク氏の蔵書の一部を購入しています。
われわれのところでの研究会の後、ハルラーモフ氏は数日札幌に滞在し、センターと北大附属図書館を利用していかれました。帰国後、これらの印象について、イテンベルク氏に語ることがあったのかどうかはわかりません。しかし、これらの資料を見ていると、イテンベルクとレーニン図書館との関わり、ハルラーモフ氏との交わりが想起され、そしてセンターにイテンベルクの蔵書があるということで、センターがこれらの世界とつながっていることが感じられるのです。[兎内]

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旧ソ連共産党・ソヴェト国家機密文書集成の収集状況 [no. 68 (1997.1) より]

 前号でもお知らせしましたように、1996年度は、前年度に引き続き、TsKhSD(同時代文書保存センター)のフォンド6(統制委員会)の部分を購入してきましたが、このフォンドについて既作成分の収集を完了しました。さらに同じ文書館のフォンド89(裁判にかけられた共産党)についても、目録および文書本体の購入を終えました。 現在、RTsKhIDNI(ロシア現代史文書保存・研究センター)のフォンド17(党中央委員会)の文書の購入を始めたところです。 いずれも、購入後1, 2ヶ月で利用可能になっております。[兎内]

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