北方古地図展(第二期):北方図の変遷

北方古地図展(第二期)

北方図の変遷

北海道大学附属図書館は、北方地域に関する多くの資料を所蔵しています。なかでも北海道(蝦夷)、カラフト、千島の地図・図類は系統的に収集しており、大変興味深いコレクションのひとつになっています。
「北方古地図展」の第二期では、蝦夷地からさらにカラフト島や千島の島々にまで調査をすすめてきた歴史を北方図を通じて概観し紹介します。



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日本およびエゾ図(Nova et accurata Japoniae, Terrae Esonis, ac insularum adjacentium ex novissima detectione descriptio. )
1658 銅版 50×60cm 請求記号 図類1081
 オランダの地図製作者ヤンソンが発行した地図帳の中の1枚である。北方周辺は,フリースの蝦夷地近海の探検に基づくものであり,蝦夷地とクナシリ島を地続きとし,エトロフ島を「スターテン・アイランド」としている。
三国通覧輿地路程全図 / 林子平
木版 色刷 54×76cm 軸物 請求記号 軸物82
 仙台の海防学者,林子平が作成し,翌年発行された『三国通覧図説』付図5枚の1枚である。「三国」とは蝦夷・朝鮮・琉球をさす。日本を中心に三国や小笠原諸島の関係が一目でわかり,北方周辺を詳細に描写した日本図のうち木版印刷の地図としては最も古いものである。
蝦夷輿地之全図
天明6(1786)1枚 手書彩色(模写) 90x130cm 請求記号:軸物12
 老中・田沼意次の蝦夷地開拓計画により,天明5年~6年にかけて多数の幕吏が蝦夷地・千島・カラフト南部を調査した。その成果により作成されたものであり,蝦夷地,千島列島が整った図形で描かれている。
蝦夷地図式(一)「チュプカ諸島図」
享和2(1802) 89x74cm 請求記号 軸物75
 これほど正確な蝦夷地の輪郭は,それまでに見られなかったものである。カラフト島は半島と離島の両方が描写されているが,これは前年に作成された中村小市郎・高橋次太夫の「樺太見分図」をそのまま取り入れたものである。
蝦夷地図式(二)
文化6年 (1809) 手書 彩色 89×74cm 請求記号:軸物76(1)
5「蝦夷地図式(一)」に同じ
黒竜江中州并天度
文化7(1810)頃 80x40cm 請求記号:図類872
 文化5年(1808)から二度にわたるカラフト島の調査結果に基づき間宮林藏が作成したものである。自筆図は最上徳内からシーボルトに贈られ,オランダのライデン大学にある。
満州魯西亜疆界図
木版色刷 嘉永6(1853) 71x43cm 請求記号 図類664
 蝦夷地の図形は整い,千島列島からカムチャツカ半島までの地形も正確である。カラフト島は既に離島であることが確認されていたにもかかわらず,半島として描かれている。
蝦夷諸島接壌全図
自筆彩色 安政3(1856) 114x97cm 145x113 cm 176x38cm 請求記号 図類613
 沖正蔵は伊勢国白子の人。図は3枚より成り,1枚は蝦夷地とクナシリ島,2枚目はエトロフ島と千島列島,3枚目はカラフト島と山丹地方を図したものである。美麗詳細な図であり,自筆画である。
官板実測日本地図 蝦夷諸島
慶応元年(1865)1枚 木版色刷 157x200cm 請求記号 図類263
 幕府は正確な日本地図を必要とし,伊能忠敬の『大日本沿海輿地全図』に基づく日本全図と松浦武四郎の蝦夷図を参考にしてエトロフ島,カラフト島を書き加えて発行した。
北海道国郡全図
木版色刷 明治2(1869)108x92cm 請求記号:軸物61
 松浦武四郎は6回の蝦夷地調査を行ったが,その後江戸に帰り,二度と蝦夷地に渡ることはなかった。本図は武四郎が作り,開拓使が発行したものである。図は南を上として作成されており,題言の「寧静致遠」とは,「遠い土地の人民を従わせ,安らかに治まる」という意味である。