北方古地図展(第一期):北海道図の変遷

北方古地図展(第一期)

北海道図の変遷

北海道大学附属図書館は、北方地域に関する多くの資料を所蔵しています。なかでも北海道(蝦夷)、カラフト、千島の地図・図類は系統的に収集しており、大変興味深いコレクションのひとつになっています。
「北方古地図展」の第一期では、その中から特に江戸初期から明治初期にかけて作成された特色ある北海道図をい展示し、図の変遷をたどりながら北海道の歴史を概観し紹介します。



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元禄国絵図
元禄13年(1700) 手書 彩色 79×64cm (模写) 請求記号 軸物210
元禄国絵図として松前藩が元禄13年に提出した「松前島図」で、最も古い蝦夷図の1枚である。楕円形の蝦夷地、その北にカラフト島、東側に千島列島が米粒状に描かれている。
松前蝦夷地絵図
手書 彩色 96×112cm 請求記号 図類647
これも初期の地図であるが、蝦夷地が半島状に描かれ、陸地の中央から大川が流れている。その一つに「石かり川」とある。北東に「のつさぶ」(ノッシャップ岬)、「くすり」(釧路)が、北西には「てしほ」(天塩)、「はほろ」(羽幌)の地名が見える。
蝦夷図
手書 彩色 102×102cm
民間で作成された地図で、蝦夷地は数多くの島々のかたまりとして描写されている。東側の海には「はたかしま、大こく嶋、女嶋」など想像の島々が見られるのは初期の地図の特徴である。
蝦夷国全図
天明5年 (1785) 木版 色刷 52×95cm 請求記号 軸物48
天明6年に出版された林子平著『三国通覧図説』付図の1枚。「カラフト嶋」は黒龍江沿岸に地続きの半島とし、別に「サガリイン」(現在のサハリン)を描いている。後に幕府から絶版を命じられた図である。
松前地図
自筆 無彩(一部朱線) 85×105cm 畳物 請求記号 図類645
寛政2年から3年にかけて松前藩は、藩士に命じてカラフト島を調査させ、その結果によって作成された地図である。カラフト島は東西に細長く、蝦夷地は扁平な形をしている。加藤肩吾は松前藩の学者でもあった。
松前蝦夷地嶋図 1 2 3
文化13年 (1816) 手書 彩色 3葉続 (108×116cm,131×116cm,116×134cm) 請求記号 軸物210


文化5年、幕府の雇いであった測量師の秦(はた)檍(あわき)丸(まろ)が作成した3枚続きの大図である。実測に基づいて作成されたもので、内陸部の河川や湖沼も詳細に描かれている。
伊能氏実測北海道之図
文政4年頃 (1821頃) 手書 彩色 250×150cm 請求記号 図類38

伊能忠敬は17年間にわたって全国の沿岸測量を実施し,当時としては科学的で正確な日本全図を完成させた。東蝦夷地は伊能忠敬の測量であるが、西蝦夷地は間宮林蔵の測量成果を採用したものである。本図は中図(8枚組)のなかの2枚である。
蝦夷地全図
手書 彩色 117×87cm 請求記号 図類620
文政から明治初年にいたる長期間にわたって民間に流布した図である。カラフト島は離島として描かれ、周囲には各地の地名と里程表が掲載されているのが特色である。
東西蝦夷山川地理取調図
安政6年 (1859) 木版 色刷 236×353cm 軸物 請求記号 軸物135
北方探検家として知られた松浦武四郎は、前後6回にわたり蝦夷地・カラフト島南部・クナシリ島・エトロフ島を調査し多くの業績を挙げた。その成果に基づいて作成された図で、木版印刷の地図26枚、解説書2折からなる。本図は26枚を一枚に貼り合せたものである。
北海道実測図
明治8年 (1875) 115×126cm 軸物 請求記号 図類703
明治になって北海道に開拓使が設置された。その開拓使のお雇い外国人によって初めて三角測量という近代測量が開始され、その成果として出版された図である。北海道の輪郭は整っているが、内陸部はまだ未測量の空白部分が目立っている。