留学体験記 vol.6-4

――英語力はかなり向上したようですね。

ホストファミリーにも喋れるようになったねと言われましたけど、どうなんですかね。僕の場合は喋れるか喋れないかを試す機会というのがあんまりないんですよね。授業の関係で英語演習もとれなくて。コンビニのバイト先に海外のお客さんがくるのでそこで話したりはしますけど。ムスリムの方とかヒンドゥーの方は食べ物に何が入ってるのかよく聞いてくるので。そういう英語が役に立ったと実感できるコミュニケーションは楽しいですよね。

それから、僕は国際法のゼミに入っているんですが、条約・宣言・ガイドラインなんかは日本文になっていないものもあるので全部英語で読まなきゃいけないんです。すらすら読めますからスピーキングだけじゃなくリーディングも上達したんだと思います。とにかく苦手意識が全くなくなりました。「ゼミの資料をなんで英語で読まなきゃいけないの」って思わないで済んで、日本語と同じように扱うことができるようになったんで、それはすごく役立っていますね。

行った前と後で何が違うかというと、話せるか話せないかが違っているのと、行った後は英語を使うこと自体楽しくなっているんです。だから暇があったら本を出して条文を読んだりしますし。楽しめるかどうかが違ってきたのかなと思います。そう思えるのは、向こうにいる間に積極的にやったおかげだと思います。

――6週間という短い間でも、成果があったんですね。

割と必死に勉強できたからだと思います。それはFSPが苦手意識とか課題みたいのをしっかり見せてくれたおかげですね。

――帰国後の学生生活と、今後の予定は?

就活はしますが、業界が絞れていなくて。業界研究や自己分析よりも、今はまだゼミに集中したいと思っているんです。自分が学生時代に何を勉強しましたというのを就活のときにきちんと言えるようになりたいんですよ。北大法学部は卒論がないじゃないですか。司法試験を目指す人以外は、なあなあで単位とって終わっちゃう恐れがあるので。さっきのFSPの話とも関係しますが、自分の専門をしっかり見極めて、勉強して、卒論も書いて終わりたいなと。半期残して海外に行く人もいますけど、内定取ったらなんやかんや準備とかもあるだろうし。学生時代は旅行くらいだったら行くかもしれませんけど、留学としてはもう行かないと思います。

JCKユースフォーラムという日本と韓国と中国の学生を呼んで、模擬国連や国際問題のシンポジウムを開催する、今年札幌で開かれる国際フォーラムの運営に携わらせていただいているんです。僕は総務という仕事でなんでもやるという感じです。北海道から模擬国連にデリゲートで何人か応募しているんですが、模擬国連とか国際政治に関する知識が、模擬国連をバンバンやってる関西や東京の学生と比べて不足しているというのがあるので、今度勉強会を開くことになっています。僕がそのオーガナイズをすることになっているんです。今は議題である持続可能な開発に関する資料を集めているところです。先生に相談して論文を頂いたりしたので、あとはみんなとの協議次第ですね。それが終わって、ゼミが終わって、後期は就活の準備として業界研究をしようと思っています。

もう一つのサークルは野球サークルで、代表をやっているんです。代表といっても要は雑務なんです(笑)。サークルには野球をやらせてもらっているので感謝しています。後輩や先輩、チームメイトのみんなは留学に行くときに応援してくれたことや今まで楽しく野球をやらせてもらった恩があるので、最後まで代表の仕事をしっかりやりたいと思ってます。
もう一個実はサークルやっていて、TFT(Table for Two)っていう食糧支援の団体です。元々日本のNPOなんですけど、先進国の飲食店でヘルシーなメニューを提供して、その代金から20円を寄付金に回す。20円というのは発展途上国での給食一食分になっていて、一食食べれば一食支援できる。全国的な活動で北海道には元々支部が無かったのですが、工学部の人が団体を立ち上げて、北大ではあまり大きくないんですが、藤女子大とか天使大の人がたくさん入ってくれて大きな団体になっています。その活動も楽しいです。今もいろんなところで活動を続けています。高校生と一緒に運動会を企画したりですね。興味のある方はググってみてください。北大生随時募集中です。

それから、去年まで活動していた北大のミスキャンにもかかわらせていただきました。僕の仕事は協賛活動で、企業さんを回ってミスキャンの活動を広報して、協賛して広告を出して頂くメリットを提示して、どんな広告プランにするのか話し合いをしていました。企業の方たちは優しくて、応援もたくさん頂いたんですが、たくさんミスをしていろいろ落ち込みました。その中でFSPでお会いしたJTB社員の方のように「いかに商品を魅力的に感じさせるか」ということを意識して活動していましたね。

――忙しくしているんですね。

野球サークルの先輩には「馬鹿みたいにいろいろやってんな」と言われました(笑)。FSP以来、無意識に自分の問題意識を探して必死だったんだと思います。正直たまにいやになりますけどね、疲れた!って。でもJCKは一発物ですし、野球サークルは引退したら終わりですし、大丈夫です。今は基本はゼミの活動ですね。


――松山さんが1年生のときにもし新渡戸カレッジがあったら、参加していたと思いますか?

や、多分僕参加してると思いますよー。英語ができるようになるというのは魅力的です。1セメスターの交換留学が必須なんですか。「グローバル人材」っていうと含意があるというか難しいですけど、要は企業とか国際機関に入ってそれぞれの分野を引っ張っていける人を育てようとしているんですよね。ふ~ん。交換留学に行って5年学部にいなきゃいけないというディスアドバンテージがないのならすごくいいと思います。

――これから留学にチャレンジしようと思っている方へメッセージをお願いします。

自分の中にある問題意識というのを大切にしてください。問題意識というのは自分がこれから何をどう変えたいのかとか、自分がどうなりたいのかということだと思うんです。人それぞれですけど。僕の場合、留学に限って言えば、問題意識は「FSPで得た課題である英語は話せるようになりたい」というものでしたね。自分が何をしたいのかを確かめた上で、留学がそれに対してどんな影響を与えるのか考えてみるのが大事だと。

海外に行って勉強したい、留学したいというのはいいことだけれども、海外に行って何をどうやって勉強するのかというのを確認してから行くべきだなと思いますね。長期でも短期でも、留学で学べる内容をしっかり調べて自分が日本の大学で普段どおり勉強しているのと何が違って、何が有利なのかをしっかり考えたほうがいいと思います。

これは僕の意見ですけど、必要性―自分の専門や興味と、それを勉強する上で留学によってどんなアドバンテージを得られるのかーをしっかり見極めてから行かないとダメだよ、と思います。当然なんですけど、意外とそこって忘れられていると思うんですよね。こういう流れの中でとりあえず留学しとけという空気があるから・・・特に1年生はまだ自分の専門とか興味に対してどんな姿勢で臨むのか決めかねている人が多いですからね。

だから留学したいという気持ちがあるのだったら、先に勉強して、その中で留学の経験を活かす対象を考えてください。遅くなってもいいから、例えば院で留学してもいいんだから。考えた上で「今必要はない」という選択をして、後々の機会をうかがってもいいし。もちろん興味を固める前に行って、行ってから逆のアプローチを図るというのもアリだとは思いますが。

自分の興味が固まる前に行ったFSPでは周りができる子ばっかりで自分のいい加減さが露呈したので、「俺全然ダメだな」というふうにハートブレイクしましたが、後々になって冷静に考えてみると「オレあそこはできてたな」と評価できる部分もあったし。できなくて悔しかったことをできるようになろうと頑張ることもできましたから。

FSPから帰ってきてからが大事なんです。課題を克服するためにもがくのが一番大事だと思います。後々のフォローアップというのが、特に短期の留学では大事ですね。

(取材日 2013年6月20日)

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