留学体験記 vol.6-3

――セカンドステップとしてニュージーランド・オークランド大学*へ2013年2月に短期留学をすることにした経緯は?

FSPで英語が話せなくて、海外で働くにせよ、海外に関わる分野について勉強するにせよ、英語を話せなければスタートラインにすら立てないと感じたからだと思います。あとは単に話せなくて悔しかったのもありましたけど。
英語を話すことだけは日本で勉強していても、語学に対する苦手意識という壁を破れないな、というのがあったので、海外に行って語学研修に行きたいと思ったんですよね。FSPの友人から、人も優しいし、気候も学校もいいという評判と聞いていたので、オークランド大を選びました。

――プログラム初日にレベルチェックテストが行われ、1日2コマ英語のクラスを履修するんですね。

難しくはないんですが、やり方が日本とは全然違ってスピーキングが大部分を占めるので、話せるようになりますね。もちろん自分から積極的に先生や他の学生としっかり会話しようとする態度でまじめにやっていればですが、そうすれば自然と話せるようになるんじゃないかな。もちろんネイティブと同等とは言えませんが。自分が日本で大学受験でインプットした分と釣り合うくらいのスピーキング能力は身に付くんじゃないかなと思います。インプットが元々あれば、後は慣れなので。

クラスにもよるんですけど、1人の先生に15人くらい生徒がつきます。文法に関して英語で勉強するというクラスと、いろいろなトピックに分かれていてビジネス英語を勉強したり、ニュージーランドの文化について英語で学ぶというものがあって、それはそれで楽しかったですね。

ただレベル分けで上のレベルに行かないとちょっぴり退屈かもしれません。上のクラスに行かないと海外の学生となかなか絡めないので。

当てられることもありますけど、わかったらすぐ発言しないと。日本人は自分からなかなか発言しないので、そこで話せる話せないが変わってきちゃうんじゃないかな。積極的にいくかいかないかで。

――松山さんは積極的にやろうと思ってた。

やろうと思っていました。人の話を聞いているだけじゃつまらないので、話して話して。あと日本人の学生は一般的に語彙は豊富です。語彙がない状態だと先生の質問にも答えられないので、そういう意味では有利だと思います。わかっているなら単語だけでも言えばいい。先生も「こいつは話す気持ちがあるんだな」と思うと、バンバン当ててきますから。そういうのは大事だと思いましたね。

友達になったのはコロンビア人、韓国人、中国人、台湾人、チリ人ですね。一緒にご飯を食べに行ったりしました。英語でコミュニケーションを取れれば、考えていることは日本人と変わらないことが分かります。国籍が違うからどう、というのはまったくなかったですね。

――参加前に英語の準備はしたんですか?

特にしなかったですね。ニュージーランドはイギリス英語だとか、特徴的な言葉遣いとかはちょろっと見ましたけど、それくらいですかね。あとは行ってその場で慣れるしかないかなと。

――ニュージーランドではホームステイをされていたんですね。

(顔がほころぶ) ホストマザーは、まず優しくて、日本でいったら「おばちゃん」って感じでした。あとアウトドアが大好きで、毎週毎週キャンプ行ってワイルドでしたね。家庭菜園をやっていて、ご飯にさっき庭でとったトマトとキュウリだよって出してくれたり。猫3匹飼ってたり。

12歳の子どもが1人いたんですけど、めっちゃ体格がいいんです。身長175cm体重75kg。悪ガキで、しょっちゅう手下みたいな奴らが家に来てうるさかったな~。あとはネトゲが大好きで。朝7時に僕が起きるともうパソコンをいじっていて、夜8時くらいに帰ってきてもまだやってる。ネトゲ依存が深刻で、それでしょっちゅうマザーとケンカをしていましたね。あるときマザーが怒ってパソコンを撤去したことがあって。そしたら奴が「YouTube見せてよ」とやってきて。「いいよー」って言って僕のパソコンを貸していたら、いつのまにかネトゲダウンロードしてたし(笑)! おかげで今でもパソコンつけると変な英語の警告文が出てくるし!迷惑ですからね、ほんとに(苦笑)! そんな感じのファミリーで超おもしろかったです。

――2月~3月だと、ニュージーランドは夏の終わりくらいですか?

はい。海は最後まで入れましたよ。家から歩いて5分でビーチだったので、週4回くらい泳いでいました。

――役に立った本として「地球の歩き方」を持ってきてくださいましたね。

この本って観光以外にも便利な情報、交通関係とか公の場所でのマナーとか、基本的な情報を仕入れるにはいいんですよね。これを見てあちこち行っていました。オークランドはすごくいいところですよ。

――この写真は何をしているところ?

課題に取り組む(松山さん提供)

授業ではパソコンにあげられている課題をこなすものもあるんです。リスニングとか時事問題の記事を読むものがありました。

Mt.Edenにて(松山さん提供)

これはマウント・イーデン(Mt.Eden)といって、火山だったんですけど、オークランド市内を一望できるんです。この写真は最初の週にクラスメイトと遊びに行った時の写真ですね。滞在中最後の日にファミリーと一緒に夜景を見に行った思い出の場所でもあります。

――この後ろに写っている人は一緒に行った人? 公開して大丈夫(笑)?

大丈夫っすよ。教えたら今度見に行くとか言ってました(笑)。

海辺でキャンプ(松山さん提供)

こっちはキャンプに行ったときの写真ですね。ここが中州になっていて、ボート使って行ったりしました。めっちゃきれいでした!

――観光も楽しめたんですね。

もちろんです。6週間もいましたから(笑)。

――食事はどうでしたか?

ニュージーランドの人たちは朝はあんまり食べないんです。コーヒーとトーストだけみたいな。僕もそんな感じで。

昼は友達とサブウェイに行ったり、寿司、といってもアボカドが入ったカリフォルニアロールを5ドルで食べたりしていました。食費がもったいないので1人で食べるときは家からパンを持ってきて食べていましたね。

ニュージーランドは貝が美味いと聞いたんですが、高いなと思って食べませんでした。その代わりマザーが料理が上手な人で、いろんな国の料理を作るんです。韓国料理とかピザを作ってくれたり・・・何にしてもすごくおいしかったです。どこにホームステイするかは勝手に割り振られるんですが、多分僕のステイ先は大当たりだったと思います。地理的にも人的にも。ネトゲの件さえなければ(笑)。

――なにかカルチャーショックみたいなことはなかったですか?

日本と何が違うかと言えば、お店の接客とか知らない人とのコミュニケーションとかですかね。あれのおかげで「コミュ力」というか、知らない人と話して楽しめるんだなーと思うようになりました。接客は適当だったんですよね、3つの国を回って全部適当だったので、日本のきっちりしているのが少数派なんだなと。

――今の話とも関連しますが、外国の文化を体験したことで、日本の文化についてはどう思いますか?

ニュージーランド全体でマオリ族の方々をすごくフィーチャーしているんです。観光資源になるからと計算している面もあるかもしれないんですけど、マオリ族の方へのリスペクトというのがすごく見えて。マザーの知り合いが先生をやっていて、「日本語を教えて」と頼まれて日本語の授業の手伝いをしに小学校に行ったことがあったんですが、聞いたところマオリ語が必修でした。少数民族、少数文化へのリスペクトというのが日本では大規模に、継続的にフィーチャーされることがないですから、それを国全体でやってるのがすごいなと思いました。

日本ではアイヌ語の授業は大学ではありますけど、他ではあんまり見られないですよね。日本がどうすればいいとかは思わないんですけど、それで観光資源として成功しているなら一石二鳥だなと思いました。

――このプログラムに関して、後輩へのアドバイスをお願いします。

今募集している人たちにこれを言ったら可哀相なんですけど、夏行ったほうがいいよ、と(笑)。夏がオススメです。雨もめったに降らないし、気持ちいいし、海に入れるし。1ヶ月半いて、雨は2回しか降りませんでした。ニュージーランドの冬は、マザーに聞いたところ「rain rain rain…」だそうです。

あと観光で行きたいところは前もって調べておいた方がいいと思います。行ってからどうしよどうしよとやっていると、どこにも行けずに終わっちゃいますから。

本業の勉強に関してなんですけど、授業で英語を積極的に喋るというのはもちろんなんですけど、ホストファミリーとのコミュニケーションが一番上達するから、暇があれば話しかけることです。家に帰っても部屋に閉じこもっていないで、リビングでできるだけ話したりするのは大事だと思います。

あとは最初のプレイスメントテストは全力を尽くしたほうが良いです。手を抜いて退屈なクラスに入っちゃうと後悔しますから。北大にいれば個人差はあっても元々英語のインプットが多いほうなので、上のクラスに行くのは簡単です。スピーキングは多少しょうがない面はありますが、筆記テストは全力を尽くして前もって勉強した方がいいです。

あとパソコン、eラボはずっと開放されているんです。そこではTOEFLの勉強ができたり、映画を見たり、学校が独自にやっているリスニングの強化問題などがあるので、暇なときはそこで勉強するのもいいと思います。授業は2コマしかないので、午前か午後のどちらかは空きます。ずっと観光しているのもアレなんで、ちゃんと勉強するのも大事だと思います。eラボを活用して勉強しましょう。


*オークランド大学プログラム概要 (外部リンク:留学生センターウェブサイト)