スラブ・ユーラシア研究センター図書室
Library, Slavic-Eurasian Research Center

library-news-2001

【2001年】
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Archives of Communist Party and Soviet Statesの受入中断  [no. 87 (2001.10) より]

 スラブ研究センター図書室では、COE特別推進研究経費によって、1995年度より上記のマイクロフィルムセットを継続的に購入してきた。その量は、2000年度末現在で4,120リールに達したが、まだ多くの未収集部分を残している。しかし、今年度に入ってから、特別推進研究経費の交付が留保され、収集を進めることが難しい状況になった。
この資料は、目録部分や共産党裁判関係ファイルなど、部分的には、東京大学社会科学研究所をはじめとするいくつかの機関で利用できるが、全体的に収集しようとしているのは当センターなどごく一部に限られると思われ、今後、何らかの形で収集が継続できるよう、努力していきたい。[兎内]

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Rare Ukrainian Serial Publications    [no. 86 (2001.7) より]

 スラブ研究センター図書室では、上記のマイクロフィルムセット、全513リールの収集に着手し、その一部を購入した。
これは、19世紀後半から第一次世界大戦にかけての時代に、ハプスブルク帝国治下にあったウクライナ西部で刊行された新聞・雑誌類を主としており、199タイトルを収録する。
ウクライナ語出版物が中心であるが、ハンガリー語、ドイツ語、ロシア語による出版物も含むこの資料は、東ガリツィアを中心に、ブコビナ、ザカルパチエなど、ウクライナ西部地域の当時の言論を分析する上での基本資料として役立つものと考えられる。ウクライナ・ナショナリズムの源流を探り、多民族社会としてのウクライナの実相を考える上で、興味深い材料を提供してくれることであろう。
今回購入した分は、このセットの冒頭からアルファベット順に、AからKarpatskii kraiまでの220リールであるが、今後2-3年のうちに全体を揃えたいと考えている。[兎内]  

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正教雑誌『Странник 巡礼者』          [no. 85 (2001.4) より]

 雑誌 『Странник 巡礼者』は、1860年から1916年まで、ペテルブルクで刊行された月刊誌である。1860年前後は、アレクサンドル2世治下の自由な雰囲気において、ジャーナリズムが発展し、さまざまな雑誌が登場し言論がたたかわされた時代であるが、ロシア正教会においても、いくつもの雑誌が創刊された。Странникは、そうした雑誌の一つだが、Igor Smolitschにおいては、60年代においては、教会史的に価値の高い記事を多く掲載したが、その後より大衆的な方向に転換し、読者の幅を広げたと評されている。(История русской церкви, 1700-1917. ч.2. М. 1997. с.55)。正教会と公衆との接点にあった雑誌として、今後の活用が期待される。[兎内]


Comintern Archiveの完結

 1995年度に収集を開始した、オランダIDC社の製作する上記セットの収集を、ほぼ5年がかりでようやく完結させることができた。
これは、ロシア国家社会政治史文書館(Российский государственный архив социально-политической истории, 略称РГАСПИ、1999年までの旧称РЦХИДНИ)が収蔵するコミンテルン文書の、マイクロフィッシュによる複製である。文書の検索には、資料中に含まれるописиによる他、IDCが製作したCD-ROMが使用できる。
なお、この資料は、早稲田大学中央図書館においても収集済とのことである。[兎内]


Yugoslav Statistics, 1834-1919

 スラブ研究センター図書室では、上記のマイクロフィルムセット、全86リールを購入した。
これは、1990年代はじめまでユーゴスラヴィアを構成していた地域の主要なものについて、大戦前にそれぞれの地域において作成された統計類のコレクションである。セルビア・クロアチア語もしくはドイツ語のものが多い。当時の事情の反映であろうが、地域や分野に精粗が見られるのは致し方あるまい。またオスマン・トルコの治下に作成されたものは含まれていない。しかし、セルビア王国統計年鑑(1893-1910年分)、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ統計年鑑(1906-1916年分)の他、人口、農業、家畜、教育、鉄道、貿易、犯罪などの統計を含み、基本資料としての活用が期待される。収録資料の点数を地域毎に示すと、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ:76点、クロアチア・スラボニア:79点、セルビア:166点、モンテネグロ:1点、である。
この資料の購入にあたっては,科学研究費補助金「東欧・中央ユーラシアにおける“近代”と“ネイション”」(基盤研究A, 研究代表 林忠行)が活用された。なお、このセットは、一橋大学経済研究所も所蔵している。[兎内]  

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帝政ロシア県知事報告書          [no. 84 (2001.1) より]

 ロシア国家歴史文書館の所蔵するロシア各県の県知事が皇帝あてに提出した年次報告書は、19世紀ロシアの諸地域の状況を知るための基本資料といわれている。センター図書室は、Norman Ross社がその一部について製作したマイクロフィッシュをこのほど購入することができた。
収録範囲は、次の12県の、それぞれ1855-1864年の分である。アルハンゲリスク県、エカテリノスラフ県、カザン県、サラトフ県、トボリスク県、ニジェゴロト県、ノヴゴロト県、ペテルブルク県、ペルミ県、ボロネシ県、モスクワ県、ヤロスラヴリ県。いくつかの報告書をリーダーにかけてみたところでは、報告書は書記官が手書きで作成したものと見られる。大きな字で丁寧に書かれているが、タイプ打ちの文書と違って多少の慣れが必要であろう。
なお、最近、この資料について書かれた次の論文を目にしたことを付記する。


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