Open Access Week 2023が10月23日(月)から10月29日(日)に開催されます。
Open Access Weekは、世界各地でOpaen Access(オープンアクセス)に関連するイベントを開催する取り組みです。
今年のテーマは“Community over Commercialization”「商業化を超えたコミュニティ」です。
International Open Access Week 公式サイト(英語)
従来は高額な学術雑誌の購読なしに論文にアクセスすることができませんでしたが、インターネットを通じて学術雑誌論文等の教育・研究活動の成果を無償で公開し、世界中の人々にアクセスを提供するあり方が登場しました。これがOAです。
誰もが分け隔てなく学術成果を共有し、学術研究の更なる発展を促すため、OAの推進は世界中に広がっています。
OAの主な手段には、出版元が無料で公開する方法と、著者自身がウェブサイトや機関リポジトリで公開する方法の二つがあり、前者はGold OA、後者はGreen OAと呼ばれています。機関リポジトリとは、大学等が所属する研究者の論文等をウェブ上で無料公開し、OAを支援するサービスのことです。
Gold OAでは高額な出版費用(APC)が著者に課せられ、潤沢な資金のない研究者は成果発表が困難となる状況も生じています。学術雑誌の有料購読も行っている大学等においては、購読料との費用の重複も問題となっています。
Green OAでは学術雑誌の有料購読が前提であり、多くの場合、出版元より一定期間、論文等の無料公開を禁じられています。
いずれのOAにも、学術の過度な商業化といえる状況があり、研究成果へのアクセス・研究成果の発表には“Paywall”「有料の障壁」があります。
米国Clarkson大学のJason Schmit教授らによるドキュメンタリー映画(英語)で、研究者・学術出版社・OA推進者などへのインタビューからなります。2018年の映画公開後、学術出版をめぐる変化も起きていますが、“Paywall”「有料の障壁」は今も存在しています。
映画は公式サイトのほか、Youtube でも公開されています。(CC BY 4.0)
Youtubeでは日本語の自動翻訳の字幕を表示可能です。設定→字幕→英語(自動生成)→字幕→自動翻訳で日本語を選択します。
なお、自動翻訳では表現の意味がずれる場合がありますのでご注意ください。
学術の過度な商業化に対して、政府・研究資金助成機関・大学等さまざまなレベルで、OAを実現するための方針が打ち出されています。また、有力学術雑誌への投稿を基本とする研究評価のあり方の見直しの必要性も指摘されています。OAはこれまで、GoldかGreenかの議論に収束する傾向がありましたが、OA方針・研究助成機関の制度・学術出版社の契約等が関連し合うことにより、さらに複雑な状況が生じています。この事態は世界共通であり、打開のために国際連携の必要性が指摘されています。
その中で、著者にも読者にも費用負担のないOAのあり方も模索され、ダイヤモンドOAと呼ばれています。特に研究者が主導するコミュニティが主体となるOAの手法が注目されています。
今回のOpen Access Weekのテーマ“Community over Commercialization”「商業化を超えたコミュニティ」は、学術の将来を見据えたトピックといえます。
大学や研究機関では研究に用いるソフトウェアについても"購入"しています。購入ソフトウェアは便利に使えるものですが、所属機関を離れると使用できなくなるため、就職や留学などで所属機関を離れた際、それまでに構築した研究環境が崩れてしまうことがあります。
一方、オープンソースのソフトウェアを使用することで、どこへ行っても使い続けられる自分の研究環境を整えることができます。
附属図書館では、11月にオープンソースの文献管理ツールZoteroおよびバージョン管理ツールGitHubの講習会を計画しています。講師はメディア・コミュニケーション研究院のMichael Schiltz准教授です。
詳しくは後日、附属図書館HPにてお知らせします。
附属図書館では、機関リポジトリHUSCAPでのGreen OA 実施を含め、各種の研究支援を行っています。
附属図書館の研究支援情報
<お問い合わせ先>
附属図書館研究支援企画担当
js[at]lib.hokudai.ac.jp
update: 2023/10/26 13:45