スラブ・ユーラシア研究センター図書室
Library, Slavic-Eurasian Research Center

ゼムストヴォ統計出版物カード目録

『ゼムストヴォ統計出版物カード目録』

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Zemstovo Library Card Catalogue / Saltykov-Schedrin National Library,St.Petersburg. Leiden : IDC Microform Publishers , 1992. 1 binding case (78 microfiches) ; 32 cm. + 1 pamphlet (6 p. ; 31 cm)(Guide to the microform collection ; IDC number R-18,497 -R-18,499)

センターニュース54号(1993年)


 このたびIDC(International document Center)によって刊行されたゼムストヴォのカード目録は、シチェドリン図書館が所蔵する膨大なゼムストヴォ関係資料のカードをマイクロフィッシュに収めたものです。
ゼムストヴォ制度は、帝政ロシア時代の公選制による地方自治機関で、1864年1月の法律により、1865年からヨーロッパ・ロシアに導入されました。ゼムストヴォは1875年までに34県、359の郡に設置され、1917年には43県に達しましたが、1918年に廃止されました。
ゼムストヴォの活動の内容は、地方の初等教育・保険・医療・道路整備、農業技術の協力・郵便事業・緊急時の食糧確保・各種統計の作成など、その地域の<利益と必要>に対応するものでした。19世紀の農業発展と農民についての統計資料は、量と多様性においてロシアが一番すぐれていると言われていますが、それはゼムストヴォの活動によるものです。1864から1918までの間のロシア農民の経済・社会・文化及び政治生活において、ゼムストヴォの果たした役割は大きいものでした。

 今回受け入れたカード・カタログは次の3部から構成されています。

1.アルファベット順の著者・書名目録(43シート、収録カード枚数約55,000)。
2.県別(地名)目録(32シート、収録カード枚数約44,000)。
3.定期刊行物目録(2シート、収録カード枚数約1,700)。

 これらのフィッシュは図書形態の大型バインダーにファイされており、別冊の簡単なガイドブックがついています。ガイドブックの中の県別目録は、収録県名と各県に含まれる郡名がリストアップされ利用に便利です。
ロシア全体は85県に分かれており、最初にヨーロッパ・ロシアの47県が県名のアルファベット順に、次に沿バルト3県(クールリャント県、リーフリャント県、エストリャント県)、カフカスの6県、されにアジア・ロシアの中は2県4州に区分されています(アルタイ県はトムスク県に含まれる)。最後にゼムストヴォに関する一般的著作のカードが付されています。ヨーロッパ・ロシアと沿バルト3県を含む50県のうち収録されていない県または郡は次のものです。(リストでは*で示されいる。)


1.アルハンゲリスク県(9郡)
2.アストラハン県(キルギス・ステップ/カルムイク・ステップの2郡)
3.ヴィリニュース県(7郡)
4.ヴィテプスク県(レペチィスキー郡)
5.グロドノ県(9郡)
6.コーヴノ県(7県)
7.ミンスク県(9郡)
8.クールリャント県(10郡)
9.リーフリャント県(9郡)
10.エストリャント県(4郡)

 カタログ全体にカード枚数は110,000枚といわれ、各フィッシュ1枚には縦35枚、横40枚のカードがあり、合計1,400枚のカードが含まれています。各カードは印刷されたもの、タイプ打ちのもの、手書きのものなどさまざまで、全体として見にくいばかりでなく、暗くて見えない部分もあります。
第3部を構成する定期刊行物目録は、<ЗемП>と<ЗемГ>の指示によってそれぞれ雑誌と新聞に分かれていますが、ここに含まれている出版物は1900年から1917年までに刊行されたものが大部分です。
<ЗемП>の雑誌類に含まれる主題は、県や郡のゼムストヴォの活動報告、当該地域の経済概要、農業生産物価格、医療・衛生雑報等いろいろです。
<ЗемГ>として取り扱われているものには、《Верхнеднепровский земский листок》、《Вятская газета》、《Казанская газета》のように出版地の名称を冠したものが多く、週刊または週2回くらいで発行されていたようです。書誌情報としては初号から終号までの年次、発行回数、サブタイトルの変更、付録なども付記され、所蔵巻号も各年巻次毎に行を改め、合併号の記載をも明記するなど詳細を期したものであります。
しかし新聞については各タイトルごとに情報量の精粗が目立ちます。あるものは創刊・終刊年号の記述もない上に、所蔵の記載が年表示のみの簡単な場合もあり、その新聞の書誌的内容を把握出来ないこともあります。全体としての所蔵内容は、次号が多く、完結しているものは多くありません。聞くところによるとゼムストヴォは地方出版物でありながら、当該地方では散逸してしまった場合が少なくなく、シチェドリン図書館やロシア国立図書館(旧レーニン図書館)などに所蔵されているものがより完全なコレクションである場合も多いそうです。

 最後にスラブ研究センターの図書室に所蔵されているゼムストヴォ関係の資料について触れておきます。現在所蔵されているものは、次の三つのグループに分けられます。

1) IDC出版のゼムストヴォ統計資料集成(Zemstvo statistics,1870-1917)
Basic Collection.124 titles. 5,865 sheets. 1970.
Supplement 1.14 titles.1,456 sheets. 1977
Supplement 2.13 titles.991 sheets.1991.

2) 古書でまとめて購入したもの。
1989年から90年にかけて受け入れたもので、約70タイトルあります。各県や郡のゼムストヴォの活動報告が大部分を占めています。しかしこれらは組織的に集められたものではないので、ゼムソトヴォ資料の一端を示すものにすぎません。

3) ロシア国立図書館(旧レーニン図書館)から国際図書相互サービスを通して入手したもの(ゼロックス・コピー27タイトル、マイクロフィルム4タイトル)。これらの中の27タイトルについては、センター・ニュース51号ですでに紹介しましたが、その後4タイトルがマイクロフイルムで追加されました。ここに記しておきます。

  1. Веселовскiй,Б.:Исторiя земства за сорокъ лъть.Том 2.Спб.,1901.
    35mm microfilm.1 reel.(703 p.)
  2. Сводъ заключенiй 2-го(=второго)  совъщанiя инспекторовъ сельскаго хозяйства и правительственныхъ агрономовъ,15-26 апреля 1914г.Спб.,1914.
    35mm microfilm. 1 reels.
  3. Труды Областнаго съьзда по упорядоченiю  хлъбной торговли на югъ Россiи, сост.11-16 iюня 1913г.въ Екатеринославъ. Вып.1-3.Екатеринославъ,[1913]
    35mm microfilm. 3 reels.
  4. Экономическия совъщанiя при Главномъ  комитетъ Всероссiйскаго земскаго  союза,28-30 апреля и 21-22 iюля 1916г. Moc.,1916.
    35mm microfilm.1 reel.(264 p.)

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