スラブ・ユーラシア研究センター図書室
Library, Slavic-Eurasian Research Center

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【2019年】

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「樺太・千島戦争体験の絵」をNHK 札幌放送局から受贈 [no.157(2019.7)より]

昨年、NHK札幌放送局は戦後73年プロジェクトとして、視聴者から樺太・千島戦争体験の絵
を募集し、寄せられた絵をもとに取材して証言を集め、8月に夕方のローカルニュース番組「ほ
っとニュース北海道」で10回にわたって放映しました。
これらの絵は、樺太・千島でのソ連との戦争、その後のソ連統治下の生活を体験した35人の
視聴者が、樺太・千島各地での体験を思い出して新たに描いたもので、子供の目で見た戦争とそ
の後の暮らし、北海道に船で渡った時のことを鮮やかに伝えてくれる貴重な資料です。北海道
在住の方だけでなく、神奈川県や大阪府など、遠方から絵を寄せられた方が何人もおられます。
戦争体験を語ることができる人が少なくなるなか、番組に寄せられた絵を後世に継承できる
ようにしたいと、番組の企画時にNHKから相談があり、番組企画の終了後にセンターはNHKか
ら絵を受贈し、保存・公開することにしていましたが、本年6月24日に寄贈を受けましたので、お
知らせします。[兎内]

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雑誌総目次データを作成・提供 [no.157(2019.7)より]

図書室では、2015年度より関係雑誌の総目次テータ作成に取り組み、すでに『殖民公報』、『ソ
連研究』などについてこれを作成し提供を行っています。今年に入ってからは、いまはなきナ
ウカ社の『窓』(第1~133号、1972~2005年)、『ロシア手帖』(第1~40号、1972~1995年)、
および『セーヴェル』(刊行中。第1~34号、1995~2018年分を作成)について、これを作成し、
希望者に頒布の他、皓星社に提供し、同社の雑誌記事索引オンラインデータベース『ざっさくプ
ラス』に収録されておりますので、お知らせします。[兎内]

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『図書館と図書流通より排除すべき図書総覧』第2 部(モスクワ、全連邦書籍院, 1961 年刊) [no.156(2019.3)より]

図書室では、ノヴォシビルスクの歴史家ヴラジーミル・シーシキンとの図書取引を10 年以
上継続し、収集チャンネルのひとつになっていますが、最近、ここを通じて次の本が入って
きました。
『図書館と図書流通より排除すべき図書総覧Сводный список книг, поджедащих исключению
из библиотек и торговой сети』第二部(モスクワ、全連邦書籍院, 1961 年刊)459 ページ。
この資料は、序文も何の説明もなく、いきなりアルファベット順に資料が列挙されている
だけのものです。シーシキンによると、第一部はトロツキーなどを収める予定だったが、刊
行されずに終わったとのことです。わざわざリストを頒布するまでもないということだった
のでしょうか。なお、革命前の出版物と宗教関係の著作はここにないようです。これも改め
てリスト化するまでもなく判断できるとみたのでしょう。外国の出版物は、ごく少数が入っ
ているようです。表紙の右肩に、「リストに従って送付、23185 番」(番号はゴム印)という
表示があります。
実にさまざまの本がここに登場します。アントン・デニキン(1872 ~ 1947) の『ロシア動乱
史Очерки русской смуты』や、ヴラジーミル・アントーノフ- オフセエンコ(1888 ~ 1938)
『内戦についての覚書Записки о гражданской войне』、イヴァーノフ= ラズームニク(1878
~ 1946)『革命の年Год революции』、エヴゲニー・パシュカーニス(1891 ~ 1937)『レー
ニンの遺産からИз ленинского наследства』、同『帝国主義と植民政策Империализм и
колониальная политика』第1 部、イサーク・バーベリ(1894 ~ 1940)『短編集Рассказы』、
同『騎兵隊Конармия』、ボリス・パステルナーク(1890 ~ 1960)『第二誕生Второе
рождение』等々。
詳しく調べたわけではありせんが、どうしてこの本が選択されたのか、よくわからないもの
もあります。たとえば、マクシム・ゴーリキー(1868 ~ 1936) の著作はリストにひとつもありま
せんが、彼について書かれたものはいろいろ挙げられています。レーニン関係の著作も同様です。
ソヴィエト政権初期の教育人民委員だったアナトーリー・ルナチャルスキー(1875 ~
1933)、モンゴル学者ニコライ・ポッペ(1897 ~ 1991) の本は、多数が禁書とされています。
その一方で、哲学者のセルゲイ・ブルガーコフ(1871 ~ 1944) や作家ミハイル・ブルガーコ
フ(1891 ~ 1940)、アンドレイ・プラトーノフ(1899 ~ 1951) の著作はありません。
ともあれこの本は、1960 年ごろのソ連において、図書館と図書流通の統制がどういうもの
だったかを知る材料として、非常に興味深いものです。[兎内]

 


 

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