スラブ・ユーラシア研究センター図書室
Library, Slavic-Eurasian Research Center

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【2016年】

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The History of Modern Russian and Ukrainian Art, 1907-1930. Pt. 2の購入 [no.144(2016.2)より]

本誌130号(2012.8)において、IDC Brill社の製作したマイクロ資料The History of Modern Russian and Ukrainian Art, 1907-1930. Pt. 1を購入した旨お知らせしましたが、その後昨年度までにPt. 2を購入し、全体を揃えることができましたのでお知らせします。
Pt. 2 は、マイクロフィッシュ1064枚から成り、93点の書籍と16タイトルの雑誌を収録します。
書籍の中には、たとえば、批評家アブラム・エフロス( 1888-1954)『マルク・シャガールの芸術』(1918)、『ナタン・アルトマンの肖像』(1922)、『S. チェホーニン』(1923?)、版画家アンナ・オストロウーモヴァ=レヴェヂェヴァの『自伝』(1935)、劇作家・批評家セルゲイ・トレチャコフ(1892-1939)の『芸術家V. パルモフ』( 1922)、『ジョン・ハートフィールド』(1936)、芸術・技術大学ヴフテマスの『建築』(1927)があり、雑誌には、『芸術と芸術工業』第1巻~第4巻(1898-1902)、『モスクワの建築』第1巻~第10巻4号(1924-1934)、『生活と革命』第1巻~第10巻4号(1925-1935, ウクライナ語)を収録しています。
これらの資料のうち、書籍分については整理が完了しており、センター図書室で利用できます。雑誌分については、整理が完了していないものがあり、その部分については、附属図書館と連絡をとって対応させていただくことになります。[兎内]

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最近の受入資料から [no.145(2016.6)より]

ここしばらく、図書費は大幅な節減を余儀なくされる一方、ロシアではインフレ、かつさまざまな出版企画が続々登場するため、センターとして当然揃えるべきというものの発注を見合わせることが増えているのは残念なことです。
しかし、年度末になってセンターの関わるプロジェクトからの話もあり、4タイトルのマイクロフィルムを購入しましたので、お知らせします。
いずれもソ連期の雑誌または継続刊行物で、
①『われらの建設 Наше строительство』1929年にソ連邦労働国防評議会建設委員会とロシア連邦社会主義共和国建設委員会のビュレティンとして創刊。月2回発行を目指したようですが、しばしば合併号になっています。1930年3/4合併号からはソ連邦ゴスプラン建設部とロシア連邦建設委員会ビュレティン、1932年からはソ連邦・ロシア連邦ゴスプランの機関誌というサブタイトルがついています。内容としては建設経済・建設政策関係の論文と、建設関係の法令・政府決定類を掲載します。今回1929~1937年までの分、13リールを購入しました。ただし、1929年15-17号、1932年2号および1937年10号が欠けています。なお、国内では他に一橋大学経済研究所資料室がこれを所蔵します。
②『農業経済の道 Пути сельского хозяйства 』は、農業人民委員部とチミリャーゼフ記念 農業アカデミーの機関誌として 1925 年 7 月創刊されました。 1930 年 1 月号(通号 55 号)に 『農業の社会主義的再建 Социалистическая реконструкция сельского хозяйства 』と改題し ます。刊行頻度は月刊。理論誌という位置づけで、ソ連農業の現状や政策を扱った論文を掲 載しています。今回、センターは 1925 年の創刊から 1936 年6 月までの分、 12 リールを購入しました。
この雑誌は、その後、 1940 年に『社会主義農業 Социалистическое сельское хозяйство 』、 1957 年に『農業経済 Экономика сельского хозяйства 』、 1988 年に『農工コンプレクス : 経済、 経営 АПК: экономика управление 』と改題して現在に至ります。
国内の所蔵状況としては、 1920 年代の分は、マイクロが東京大学経済学部と一橋大学経済 研究所にあります。 1930 年代の分は、北大附属図書館に原誌がありますが、欠号を多く含み ます。そのほかでは、東京大学経済学部と一橋大学がマイクロフィルムを所蔵しています。
③『北極研究所紀要 Труды Арктического института 』レニングラードで、 1932 年に 創刊(刊行時期がずれたようで第 1 巻は 1933 年刊、第 2 巻は 1932 年刊と表示されていま
す)。不定期刊で、地質学、植物学など、現地調査の成果報告を多く掲載しています。その後 1958 年に研究所が北極南極研究所に改称されると、紀要は『北極・南極研究所紀要Труды Арктического и Антарктического
научно-исследовательского института 』に改題され、 1966 年の第 280 巻まで続いたもようです。
今回、センターは、第 1 巻( 1933 年)~第 78 巻( 1937 年)を収録するフィルム 12リール を購入しました。ただし、残念ながら第 27 巻、第 57 巻、第 61 巻および第 76巻は欠号となっています。他の所蔵機関としては、東北大学などいくつかの機関が原誌を所蔵しますが、欠号が相当あります。
④『北極の諸問題 Проблемы Арктики 』③を出版したのと同じ研究所が 1937 年に創刊
した北極地方の総合的研究雑誌です。 1959 年まで継続し、その後『北極と南極の諸問題
Проблемы Арктики и Антарктики 』に改題しました。
今回、センターは、 1937 年から 1959 年までを収録するマイクロフィルム 9 リールを購入しました。ただし、欠号が多数あります。国内で、この資料を所蔵する機関は、他に確認で きませんでした。
なお、まぎらわしいことに、 1957 年に同じ名前の継続出版物が同じレニングラードで発刊されています。こちらの方は、北大低温研究所が一部の号を所蔵しています。
このほか、千島・樺太関係、および旭川を本拠とした第七師団関係の資料を若干入手しました。
①『北樺太東海岸石油試掘調査地域報告』(北樺太石油、 1928 年)
②『対ソ帝国権益の危機』(北樺太鉱業、 1939 年)という、いずれも 1925 年の日ソ基本条 約締結後の北サハリンで操業していた会社の作成した小冊子。
③『千島列島資源調査復命書(自昭和 14 年度至昭和 16 年度)』北海道水産試験局の三原氏 が、部内で作成した報告書に、一部、自分の野帖もふくめて一緒に綴じ合わせた資料。ウルップ島や占守島など、中千島、北千島の状況を記したものとして貴重と思われます。
④『新興樺太人事録』(篠田秀作、 1937 年)日本領だった樺太の主要人物を経歴・写真入で紹介する資料ですが、所蔵する図書館は少ないようです。
⑤『第七師団歴史』第七師団が書きついで本部に保管していた手書き文書のコピーです。
この師団は、 1896 年に編成され、旭川を本拠にしますが、その後、日露戦争、シベリア出兵、 北樺太占領、ノモンハン事件などに参加しました。この師団をとりあげて保坂正康氏は、『最強師団の宿命』(毎日新聞社、 2008 年)を書いています。
1868年の開拓使発足から説き起こして1945年6月末までの部隊の動静を記すほか、別冊として『北海道竝樺太兵事沿革』、『樺太守備隊司令部歴史』、『満洲駐剳間留守師団歴史』が付属します。[兎内]

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皓星社の雑誌索引データベース事業に協力 [no.146(2016.8)より]

昨年末、センター図書室は、国立国会図書館の『雑誌記事索引』を拡張して、戦前を含め
た日本の雑誌(一部、新聞も含む)記事索引のオンラインデータベース『ざっさくプラス』を提供する皓星社と協議し、ここに欠けているデータの一部について、作成を支援することとなりました。
その手始めとして、1901 年から1921 年まで北海道庁が刊行していた雑誌『殖民公報』の
総目次データ(全123 号、7,147 件)を作成しましたのでお知らせします。
隔月刊のこの雑誌には、北海道の殖民状況の他、農林漁業、鉱工業、商業、貿易、金融、
交通運輸、土木から、教育やアイヌの状況までを扱い、当時の北海道を知るうえでの基礎的なデータの宝庫と思われます。当時は、行政上北海道の一部であった千島はもちろん、樺太、沿海地方の状況についても、多くの誌面を割いています。この雑誌は、かつて名著編纂会(1985年)および北海道出版企画センター(1988 年)から復刻版が出たことがあります。今回作成のデータには、北海道出版企画センターの復刻版での収録巻を付記しました。
このデータは、今後、『ざっさくプラス』を通じてその契約者に提供されるほか、個人でご入用の方には別途頒布しますので、図書室にご一報ください。[兎内]

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「シベリア・極東所蔵資料ギャラリー」コンテンツの追加 [no.147(2016.11)より]

 図書室は、所蔵するユニークな地図・写真資料を中心に紹介するウェブサイト「シベリア・極東所蔵資料ギャラリー」を運用していますが、この10 月、いくつかのコンテンツを追加しましたので、お知らせします。
 地図については、サハリンに関する次の地図を追加収録しました。
① 「樺太交通一覧」(1909 年頃)
日露戦争後、日本の統治下に入ったサハリン南部の交通路を表現した略図で、1909 年ごろの状況を表すものとみられます。大泊・豊原間の鉄道と、大泊から豊原を経てサカイハマに至る道路、豊原から山越えして真岡に至る道路が実線で描かれていますが、他の道路は点線で、ほとんどが海岸に沿っています。また、航路が多く描かれ、小樽を起点に、海路が多く用いられた状況を伝えています。青と黒の2 色刷り。版元は表示されていません。
② 「北樺太郵便逓送要路図」(1920 年11 月)
北緯50 度線の「第二ハダンサ駅舎」から内陸部を北上してルイコフ、デルビンスコエを通り、更に北上して東海岸のノグリキ、ハンツーザに至る道と、デルビンスコエから西海岸の亜港に至る道を描く手書きの図で、その間に設置された郵便局、継立所、駅舎の位置と里程を表示します。黒と赤の2 色使用。縮尺は50 万分の1、右下に「薩哈嗹州派遣軍司令部」とあります。
③ 「アムール水道附近冬期交通要図」(1921 年2 月)
ガリ版刷りで、縮尺は50 万分の1。黒の単色刷り。冬期に結氷する間宮海峡上にできる北サハリンと大陸との連絡路を「犬橇道」「馬(大)橇道」「電線」として示します。左下に「薩哈嗹州派遣軍司令部」と表示があります。
④ 「オハ及バイカル附近二万五千分一図」(1926 年)
黒の単色刷りの図で、全8 枚のセットです。「大正13 年略測図」とありますので、「保障占領」中の航空測量をもとに作成したものと見られます。この地図については、センターニュース138 号(2014 年8 月) で紹介したことがありますが、本センター以外には所蔵の確認されていない外邦図です。
⑤ 「樺太全島新地図」(1924 年、訂正第7 版)
函館の小島大盛堂の発行した多色刷りの図で、サハリン島全体と、それに向かい合う大陸部分の図のほか、オホーツク海・カムチャッカ方面の図と、ウラジオストク周辺の図、および台湾からベーリング海峡までを描き込んだ日本周辺の図を1 枚に収めています。この時、日本はすでに沿海州から撤兵していましたが、日本周辺図では、沿海州やカムチャッカが、日本の本土やその植民地と同じ色に塗られているのは、北方進出の願望の表現でしょうか。なお、縮尺は示されていませんが、サハリンとその対岸の図は140 万分の1 分程度と推定します。
⑥ 牛島信義氏旧蔵オハ油田地図(1930 年代)
センター図書室は、2012 年に科研費で牛島信義氏旧蔵の北樺太油田関係資料を購入しましたが、そこに含まれるオハ油田地図の画像を公開しました。全部で5 種類あり、縮尺は5000分の1。青焼きに、一部、手書きの書き込みがあり、油層の調査結果をまとめて、社会用およびソ連の監督当局に提出するために作成したものの写しとみられます。
 また、これ以外に、戦時中の参謀本部が発行したサハリンおよびその周辺図5 枚を新たに収録しました。
 写真資料としては、シベリア出兵に関係する2 種類の写真帖の画像を追加しました。
① 「西伯利事変記念写真帖」(1918 年)
シベリア出兵の写真帖は、多くの種類がありますが、帝国軍人会編纂、大正通信社発行のこの写真帖は、1918 年1 月の軍艦石見のウラジオストク派遣から、4 月の陸戦隊上陸、8 月の出兵開始を経て、ハバロフスク、ブラゴヴェシチェンスク、イルクーツク方面に進出するところまでの公式記録として、参照すべきものと思われます。なお、この資料は、附属図書館本館が所蔵するものです。
② 「特務艦関東堪察加冬営記念写真帖」(1922 年)
シベリア出兵期、日本海軍は在留邦人の保護と経済的権利確保のため、カムチャッカに軍艦を派遣しました。特務艦関東はこの任務に当たった艦のひとつで、艦長の七田今朝一大佐以下300 人余が搭乗して1921 年10 月末に横須賀を出港、同年11 月6 日にペトロパヴロフスクに到着し、現地で越冬しました。翌年解氷して交代の艦が到着すると、5 月20 日に現地を発ち、途中コマンドルスキー諸島に寄って、6 月2 日横須賀に帰りました。
 この写真帖には、艦の活動日誌や全乗員の名簿が含まれ、現地の状況や、日本軍の現地社
会との関わりを伝える興味深い資料と思われます。なお、この写真帖を所蔵する他の図書館は確認されていません。[兎内]


 

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