スラブ・ユーラシア研究センター図書室
Library, Slavic-Eurasian Research Center

library-news-2015

【2015年】

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目録に「スラブコレクション」の表示 [no.142(2015.9)より]

北海道大学附属図書館の本館の耐震改修にともなう「再生事業」(2009~2012年)と、それに伴う資料配置の変更については、これまで122号(2010年8月)および126号(2011年8月)などでお知らせしてきましたが、これによって、それまで「スラブ・コレクション」として東書庫1Fにまとめられていた資料のうち、欧文図書は4Fの「本館・書庫・洋書」に統合・混排され、欧文・露文の雑誌類は、新館1Fの自動化書庫に、他の雑誌と一緒に配置されることになりました。
これまで「スラブ・コレクション」としてまとまって配置されてきた資料が分散することから、センターではその対策について附属図書館と協議し、従来の「スラブ・コレクション」に該当する資料に関して、目録のコメント欄に「SLV(スラブコレクション)」と記すことになっていました。その後、時間がかかりましたが、この春に目録の整備が完了しましたのでお知らせします。
なお、目録検索時に、slvで検索すると、「スラブ・コレクション」だけのグループがつくられ、種の仮想コレクションとしてデータを取り出すことができる仕組みになっています。[兎内]


日本サハリン協会所蔵資料の一部移管 [no.142(2015.9)より]

日本サハリン協会は、サハリン残留日本人の支援活動をおこなう法人です。協会はその前身「日本サハリン同胞交流協会」から、ソ連統治下の南サハリンで作成されたサハリンからの日本人引揚者乗船名簿、その他サハリンの公文書館の所蔵する、敗戦直後に作成された日本人の状況に関する文書類の写しを引き継いでいましたが、最近、これら文書のデジタル化をおこなったことなどから、これら文書を保管する必要がなくなったということでセンター図書室がその移管を受けましたことをお知らせします。
図書室では、現在、その公開のルールについて検討しており、今後トラブルなく有効に活用されるように整備したいと考えています。[兎内]

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ロシアのe Book [no.141(2015.5)より]

欧米の出版界においては、近年電子出版が盛んになり、特にアマゾンが2007 年にキンドルという端末を発売して以後、急速に普及してきた。現在では、娯楽書ばかりでなく、教養書、大学教科書、学術書にも及びつつあるのはとっくに周知のことであろう。
その一方で日本では、これまで何度も「電子出版元年」が唱えられてきたことに象徴的さ
れるように、いろいろな事業が企画されてきたものの、現時点においては、情報流通のメインストリームとして多くの人々に受け入れられるまでには至っていない(本の所有者が自らその内容をスキャンして電子化する「自炊」といわれる行動の盛行は、その需要と供給のミスマッチを示している)。
さて、ロシアの出版物の流通事情がよろしくないことは、ソ連が崩壊して以後、多くの紆余曲折を経ながら、続いていることである。eBook は、こうした状況を変えるポテンシャルがあるはずであるが、まだそうなってはいない。eBook を事業として成立させるためには、個々の出版社の力では限界がある。デジタル化したものは、品質の劣化なしにいくらでもコピー・保存可能となるため、その利用をコントロールしつつ、適切な代価を徴収する仕組みをつくることは容易でないのである(これは日本も同じ。欧米でも配給元は寡占状態である)。
しかし、最近、こうした状況が変わりつつあることを感じる。ひとつは、主に地方の学術出版物であるが、ネットからダウンロードできることが多くなりつつあること、もうひとつは、複数の出版社の電子版書籍を提供するプラットフォームが用意されつつあることである。
前者は、販売にこだわった場合、出版物の利用が広がらないことのマイナスを重視しての措置であろう。版元が自らおこなっている場合と、一部ではあろうが海賊版的な場合があるようだ。わたくしが偶然気付いた、ごく狭い範囲のことであるが、次のようなものがある。
・http://www.kamlib.ru/library.php?page=res3_gavrilov_vik
Вопросы истории Камчатки. Вып. 1-6 (2005-2012)
・http://www.rusinst.ru/
Институт русской цивилизации の出版物。ロシア思想関係のものが多い。著作権は大方切れているのであろうが、出版業と両立するとは考えにくいので、どこかが補助金を出しているのであろうか。
・http://lib.rgo.ru/dsweb/HomePage
Вестник をはじめとするロシア地理学協会の出版物。

後者に属するものとしては、
・http://elibrary.ru/defaultx.asp
学術書、論文の検索サイト。一部は無料でダウンロード可能のもよう。いわばCiNii のロシア版。登録を要する。ロシア科学アカデミー民族・人類学研究所が出版物を無料提供の情報。海外代理店はMIPP か。購読契約モデルが各種あるもよう。
・http://www.eastview.com/products/books
収録されているのは、最近の出版物が多い。中国なども入っていて、ロシア語およびウクライナ語出版物の収録件数の合計は3,240 点だった(5 月13 日現在)。
価格は、日本の代理店から本を買うより安い場合が多い傾向。たとえば、『日本年鑑Японский ежегодник』2014 年版は12 米ドル、『東欧の中世国家Древнейшие государства Восточной Европы』2005 年版は31 米ドルとある。
以上の動きは、出版物を入手する側としては、基本的にはありがたいものだが、有料の場合、せっかく契約しても、電子版があることが効率的に利用者にわかる仕組みがないと、宝の持ち腐れとなりかねない。また、先方の都合でいったん公開されたコンテンツが消失したり改竄されたりする危険もある。これはもちろんこれはロシアに限った話でないのだが、何かそれを防止する仕組みができるかどうかに注目すべきであろう。
センター図書室では、これまでロシアのデータベースの契約はあっても、電子書籍、電子
ジャーナルの契約はしてこなかったが、今後、検討する価値があるように感じている。[兎内] 


「極東ロシア・シベリア所蔵資料ギャラリー」の拡充[no. 141 (2015.5)より]

この3 月、上記ウェブサイトに、北サキャプチャ
ハリン保障占領に関係する写真帖2 冊、
および参謀本部作成樺太2 万5 千分の1
地形図の一部を追加収録しました。
今回、追加収録した写真帖は、野坂保
雄『薩哈嗹州紀念冩眞帖』(1923 年:附属
図書館北方資料、写真帖418)、および、
三菱合資会社の北樺太ドゥエ炭坑を記録
した写真帖『極光』(1924 年:本センター
図書室特別保管、資料番号1380403460)
です。
地図は、昨年8 月のセンターニュース
138 号で紹介した地図のうち、1924 年に
オハ付近を測量した8枚で、これまでのところ、本センター以外に所蔵が確認さ
れていない図幅です。
また、『薩哈嗹州紀念冩眞帖』巻末の地図は、地図コーナーに重複収録して、使いやすくしました。サイトのURL は、http:// srcmaterials-hokudai.jp/ です。[兎内]

 


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