スラブ・ユーラシア研究センター図書室
Library, Slavic-Eurasian Research Center

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【2011年】

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『正教評論Православное обозрение』および『時代Век』の購入 [no.127(2011.11)より]

 スラブ研究センター図書室では、この春、19 世紀のロシアで出版された雑誌『正教評論』の一部と、『時代』のマイクロフィッシュを購入しましたので、お知らせします。
『正教評論』(モスクワ、1860–1891 年)は、一般向けのロシア正教普及誌として1860 年に創刊されました。編集長は、Н. セルギエフスキーですが、当時のモスクワ府主教フィラレート(ドロズドフ、1782–1867)の意向があったとされています。
大改革の時代をむかえた当時のロシアでは、正教会の改革が提起され、専門的な論文を掲載する神学アカデミーの紀要とは別に、正教会に関する一般知識人向けの雑誌がいくつか創刊されました。本センターの所蔵資料では、そのひとつとして、同じ1860 年に創刊された『巡礼者Странник』を挙げることができます。
『正教評論』誌は、正教会教育、聖書のロシア語訳、宣教活動、その他ロシア正教会の情況と並んで、西欧におけるキリスト教会の動向を多く取り上げました。執筆陣には、ロシア正教会の聖職者たちだけでなく、他宗派の聖職者や俗人も加わり、フョードル・チュッチェフ(1803–1873)、イワン・アクサーコフ(1823–1886)、ユーリー・サマーリン(1819–1876)などの著名人も寄稿しました。
今回、購入したのは、1860 年から1868 年の部分ですが、今後、残りの部分も整備を進めたいと考えています。
同時期に購入した革命前ロシアの雑誌として、『時代』があります。1861 年にペテルブルクで創刊された週刊誌で、副題は社会・政治・文学雑誌журнал общественный,политический и литературный とあります。
ピョートル・ヴェインベルグ(1831–1908)を編集長に、アレクサンドル・ドルジーニン(1824–1864)、コンスタンチン・カヴェーリン(1818–1885)らが参加して作られたこの雑誌は、当初成功をおさめたものの、翌1862 年初めに編集部が改組された後の対立により、同年の17号で廃刊となりました。なお、今回購入したフィッシュには、1861 年の発行分だけが含まれています。[兎内]

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附属図書館改修工事の進行と資料再配置 [no.126(2011.8)より

 北海道大学附属図書館本館の「再生事業」については、昨年夏の122 号ですでにお知らせしましたが、2009 年度から4 ヵ年という当初計画は、補正予算等の関係から若干前倒しで進行中です。予定では2011 年度末に竣工、その後に設備関係工事、資料の移動と再配置等の作業があり、全面開館は2012 年秋と見込まれます。
その間、一時的に利用できなくなる資料が多数あり、個人コレクションや学位論文など、資料によってはその期間が1 ~ 2 年にわたるため、利用者のみなさまにはご不便をかけておりますが、よろしくお願いいたします。
また、今回の改修を機に、これまで「本館・スラブコレクション」として配置されてきた資料の収蔵場所が変更される予定です。
「本館・スラブコレクション」のうち、製本雑誌は欧文・露文とも、この7 月に開館した「南館」の自動化書庫に、本館の他の製本雑誌類と一緒に収蔵されます。また、来年の「再生事業」完了後、欧文図書は、本館の他の洋図書とともに本館4 階に混排で収蔵されることになりました。なお、露文図書については、引き続き本館1 階に別排架される予定です。[兎内]


モスクビチャニン誌(マイクロフィルム)の購入

『モスクビチャニン』は、19 世紀の中葉、1841 年から1856 年まで、モスクワでミハイル・ポゴージン(1800-1875) が出版していた雑誌です。ポゴージンは、モスクワ大学で歴史学を講じていましたが、1841 年に教授職を辞し、史料の編纂と出版の仕事は続けながら、主な活動の舞台を言論界に移しました。
『モスクビチャニン』には、発行者ポゴージン自身の他、イワン・ベリャーエフ(1810-1873)、コンスタンチン・アクサーコフ(1817- 1860)、アファナシー・フェート(1820-1892)、アレクセイ・ホミャコフ(1804-1860)、イワン・キレーフスキー(1806- 1856)、ピョートル・ヴャゼムスキー(1792-1878) ら、主としてスラブ派的傾向の多くの作家や思想家たちが寄稿しましたが、1840
年代末には購読者が落ち込み、危機的な状況に陥りました。そこで、アレクサンドル・オストロフスキー(1823-1886) など、若手の編集者を招いて立て直しを図りましたが、その後彼らとポゴージンは対立するようになり、雑誌は1857 年に廃刊となりました。
本センターでは、昨年度、この雑誌のマイクロフィルムの1841-1852 年分を、ナウカ・ジャパン社より購入しました。また、残りの分についても、遠くない時期に整備したいと考えています。[兎内]

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Russian Military Intelligence on Asia の購入 [no.125(2011.5)より

上記の資料は、オランダIDC 社の製作によるもので、①モスクワのロシア国立軍事史文書館РГВИА の所蔵する文書・地図等を収録したArchive Series, 1620-1917、マイクロフィルム93 巻と、②参謀本部軍事教育委員会の編集により1883 年から1914 年まで、刊行されたСборник географических, топографических и статистических материалов по Азии. 全96 冊を収めたSecret Prints 1883-1914、マイクロフィッシュ502 枚から構成されます。

① は、上記文書館の軍事教育アーカイヴのうち、中国、日本、オスマン帝国、ペルシャなどに関するFond 444 ~ 451 を収録し、主として19 世紀以降、各地域に駐在した軍関係者からのレポートや本国との通信、および地図資料等をその内容としています。

② は、極東、中央アジア、インド、ペルシャ、オスマン帝国等の軍事、交通、貿易、民族等の情勢に関するレポートを収録する本篇87 冊、付録9 冊から成ります。なお、ほとんどの分冊には、標題紙の右上に「秘密」もしくは「非公開」と表示されていますが、一部の記事について調べたところ、ウズベキスタン国立図書館の所蔵する『トルキスタン集成』に収録されているもの、あるいは、その編纂者ヴラジミル・メジョフ(1830-1894) の編集した『シベリア書誌Сибирская библиография』に収録されているものがありました。これは、「秘密」とは言っても、軍関係者以外にもある程度アクセスの可能性があったことを示すように思われます。

 なお、この資料は本センターの他、京都大学地域研究統合情報センターが収蔵しています。[兎内]


FBIS データベースの導入

Foreign Broadcast Information Service(略称FBIS)は、1941 年に米国ルーズベルト大統領の指示で発足したForeign Broadcast Monitoring Service(FBMS)をその前身とし、CIA の管轄下にあって外国の放送や新聞等の情報を分析・翻訳する機関です。センターは、その発行するDairy Report のソ連邦篇/ 中央ユーラシア篇を、1984 年から1996 年にかけて購読していました。

センターでは、この4 月から、このDairy Report をオンライン・データベース化した製品の一部を利用できるように契約しましたのでお知らせします。

利用できる範囲は、1974 ~ 1996 年の、地域6. 東欧諸国および、地域7. ソ連邦と旧ソ連諸国です。なお、同時利用端末数は無制限ですが、センター内のIP アドレス(学内でなく)からのアクセスに限定されますので、ご注意願います。[兎内]
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松本忠志氏旧蔵資料の受贈 [no.124(2011.2)より

松本忠司氏は、1929 年に秋田県生まれ、同和鉱業の発電所等に勤務の後、上京して早稲田大学でロシア文学を学び、1957 年に小樽商科大学に赴任。ロシア語を講じながら、ゴーリキー研究と演劇に情熱を傾けました。1968 年には教授に昇進し、1992 年に定年退職、その後、病を得て2002 年に亡くなりました。

センターは、ご遺族より2009 年2 月に蔵書寄贈の話をいただき、北大蔵書と重複を避けて、図書360 冊、雑誌10 タイトルを寄贈いただきましたので、お知らせします。資料のほとんどは、ロシア文学に関係のロシア語文献で、ゴーリキーに関するものの他、雑誌『諸民族の友好』の付録の文学作品集を大量に含んでいます。

なお、雑誌は、一部を除いて、この1 月に登録・製本を済ませましたが、図書については、今後、工藤幸雄氏旧蔵書の整理状況等を見ながら、登録・整理の時期を待つことになります。[兎内]


ソ連邦共産党中央委員会総会文書の完結

センターニュース113 号(2008 年5 月)および同120 号(2010 年2 月)でお知らせしていましたこのマイクロ資料の収集は、2011 年1 月に完了しました。[兎内]


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