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ここ何年か国際教育研究センターで(旧留学生センター時代から)全学教育科目に「外国人に日本語を教える」という「総合科目」を提供している。受講動機は様々であろうが日本語教育に関心を持ってくれる学生が一定数いるようで関係者としては有り難く思っている。この本は、そんな、日本語教育に関心を持っている学生がちょっとだけその―特に海外の―現場を覗いてみたいと思った時に気軽に読めるものとして紹介しておきたい。内容は、外務省の外郭団体である国際交流基金が世界各国に派遣した日本語教育専門家の手になる現地レポートである。日本語教育の現場の雰囲気を少しでも感じ取っていただければと思う。
ただ、読む上で二つだけ注意点を書いておく。
一つは、刊行されたのが2009年なのでデータが古くなっているものがあるという点である。特にここ数年の日韓関係、日中関係の動向がこれらの国々の日本語学習者数に影響を与えている(はっきり言えば減少している)。
もう一つは、基本的に日本語教育の「いい話」しか書かれていない、という点である。これについては僕自身もかつて国際交流基金派遣専門家として海外赴任していたから“裏の裏”まで知っているが、海外で日本語を教えるということは決して良いことずくめではない。それぞれの地域ごとにそれなりの苦労もまたあるのだと思って読んでほしい。
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