推薦者: 中村 重穂
所属: 国際連携機構国際教育研究センター
身分: 教員
研究分野: 日本語教育史、意味論

異文化理解はぼちぼちこのあたりから…。

タイトル(書名):
異文化理解の落とし穴 : 中国・日本・アメリカ
著者:
張競
出版者:
岩波書店
出版年:
2011
ISBN:
4000221892
北大所蔵:
北大所蔵 1 
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推薦コメント

この本は、上海出身中国人で日本に留学し学位を得て日本で教職に就きアメリカで研究生活も送った著者の異文化体験の記録である。読後感としては標題にあるような「異文化理解」というレベルに達しているとは思えないし、ましてやその「落とし穴」を明解にしているとも言い切れない。むしろ表層的な体験と感想が連ねられているというのが率直なところである。しかし、それは裏を返せば、「異文化理解」ということに到達するには誰もがこの段階をくぐらなければならないということを示す一つの基準点になり得ている、ということであり、また、日本に限らず「文化」というものが理解を阻む容易ならざるものだということを間接的に教えてくれているものでもある。この本を読むことで「異文化理解」へのスタートラインが分かるとともに、さてそこからどうするかということを考え、行動するための貴重な示唆に富む本であると思い推薦することにした次第である。

※推薦者のプロフィールは当時のものです。