文学・芸術との対話 «外国文学» 一つ上のジャンルへ
現在、18件登録されています。
  1. 推薦者 : 水本 秀明   (外国語教育センター・非常勤講師)

    ムーミン以外にもトーベ・ヤンソンの著作は多数あり

    島暮らしの記録 / トーベ・ヤンソン文 ; トゥーリッキ・ピエティラ画 ; 冨原眞弓訳. - 筑摩書房, 1999   北大ではどこにある?

    ムーミンシリーズばかりが取り上げられることの多いトーベ・ヤンソンですが、優れた短編小説や随筆もたくさん執筆しており、多くが和訳されています。ムーミンの世界がどのように生まれたか、この本の中にヒントがあるかもしれません。

    登録日 : 2017-06-08

  2. 推薦者 : 池田 文人   (高等教育推進機構・教員)

    ムーミンワールドへようこそ!

    ムーミン谷への旅 : トーベ・ヤンソンとムーミンの世界 / . - 講談社, 1994   北大ではどこにある?

    世界中で愛されるムーミン物語が生まれたフィンランドの魅力とともに、ムーミン物語の奥の深さも感じることができます。フィンランドの美しい景色の写真とムーミン物語の挿絵から、ムーミンたちの住む世界の風景を見て、音を聞き、空気を感じることができます。

    登録日 : 2017-06-03

  3. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    運命の残酷さとは

    ベルリン、愛の物語 : エメーとジャガー / エーリカ・フィッシャー. - 平凡社, 1998   北大ではどこにある?

    これは、第二次世界大戦期のベルリンに生きた二人の女性同性愛者の運命の記録である。そして、彼女たちの1人はナチスの軍人の妻であり、もう1人は密かにナチスの目を逃れて暮らすユダヤ人だった。あとは本書を読んでいただく方がここに下手な推薦文を書くよりも遙かにその事実が持つ運命的な過酷さとそのような状況を生み出す戦争の本質を感じ取れると思う。彼女たち2人だけでなく、ナチス政権下のベルリンに潜伏するユダヤ人青年たちがどのようにして生き延びるかをそれこそ命がけで考え抜く場面を読んだときには胸が凍るような息苦しさを覚えたものである。

    この本はか...   [続きを読む]

    登録日 : 2016-09-25

  4. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    物語はまだ終わらない。

    水滸後伝 / 陳忱. - 平凡社, 1966   北大ではどこにある?

    ここに推薦するのは、『水滸後伝』である。『水滸伝』ではない。まずその点を間違えないようにお願いしたい。『水滸伝』=本編を推薦していないのに『水滸後伝』=続編を推薦するのは無茶苦茶だという批判もあることは承知の上である。ましてや僕は、本編は横山光輝の漫画版で読んだ(だけな)ので、この推薦はなおさら無謀である。しかしそれでもなお推薦するには理由がある。一つには、大方の学生諸君は小説であれ漫画版であれ本編を読んでいる人は多いだろうと想像できること、二つには、続編という位置づけながらそれ自体でなかなか想像力に溢れた活劇として面白い、と...   [続きを読む]

    登録日 : 2016-08-22

  5. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    現代アラブ文学への扉

    バイナル・カスライン / ナギーブ・マフフーズ. - 河出書房新社, 1988   北大ではどこにある?

    『千夜一夜物語』以外でアラブ文学を読んだという人は、おそらくごく少数だろう。現代アラブ文学と聞いてもおそらく作家名もイメージも思い浮かばないと思う。かく述べる僕自身も、自分がエジプトに赴任するまでそれらについては全く知らなかった。ここに挙げる『バイナル・カスライン』とその著者ナギーブ・マフフーズについてもエジプトに行ってから周囲の同僚や学生たちに教えられて知ったのだが、その当時既にこの本を含む「現代アラブ小説全集」は刊行されていた。マフフーズは、アラブ世界初のノーベル文学賞受賞者(1988年)であり、僕がカイロにいたときにはまだ存命し...   [続きを読む]

    登録日 : 2016-05-23

  6. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    長編の魅力ここにあり

    チボー家の人々 / ロジェ・マルタン・デュ・ガール. - 白水社,    北大ではどこにある?

    実は僕は長編小説(特に日本の)を読むのは苦手である。登場人物が多くなるので関係を覚えきれない、というより覚えるのが面倒くさいという怠惰な精神のせいなのだが、その結果として山岡荘八『徳川家康』、中里介山『大菩薩峠』、塩野七生『ローマ人の物語』、埴谷雄高『死霊』と、挫折した作品は死屍累々である。その割に西洋文学の長編はなぜか日本文学ほど抵抗なくダンテ『神曲』、デュマ『モンテ・クリスト伯』、そしてこの『チボー家の人々』は結構夢中になって読めた。特に『チボー家の人々』は第一次大戦期のフランスという一種重苦しい時代を描きつつも主人公とな...   [続きを読む]

    登録日 : 2016-05-13

  7. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    冒険記は面白い!

    世界の測量-ガウスとフンボルトの物語- / ダニエル・ケールマン. - 三修社, 2008   北大ではどこにある?

    この本は、近代ドイツの学術史に屹立する偉人、数学者のガウスと博物学者のフンボルトの知的探求の冒険を描いた作品である。第一章と第十四章でガウスとフンボルトは邂逅するが、それ以外の章は一章ごとにそれぞれの探求の人生が描かれる。異世界に新しい知識と発見を求めて踏み込んでいくことが(単純に)偉業だと考えられていた時代を現代の視点から振り返るどのように表せるか、ということが興味深く読み取れるだろう。

    勿論、小説なので虚実取り混ぜられており、ガウスが哲学者カントのところに非ユークリッド幾何学の発見を告げに行く部分などは完全なフィクション...   [続きを読む]

    登録日 : 2015-08-01

  8. 推薦者 : 寺沢 浩一   (医学部)

    シャーロック・ホームズの観察

    The complete illustrated Sherlock Holmes / Sir Arthur Conan Doyle. - Omega Books, England, 1986   北大ではどこにある?

    シャーロック・ホームズ全作品がStrand Magazine に掲載された時のSydney Paget らの手になるイラストとともに英語で収録されている。この中で推薦者の特に好んでいるのは、次の3つである。A Study in Scarlet, The Problem of Thor Bridge, and The Adventure of the Lion's Mane.目の前にある問題を解決するためには、知識も有益であるが、観察により推理して結論に至る場合もある。

    登録日 : 2014-08-26

  9. 推薦者 : 河合 剛   (メディア・コミュニケーション研究院)

    The insanely funny author is back!

    Insane City / Dave Barry. - Putnam Adult, 2013   北大ではどこにある?

    Dave Barry is a Pulitzer-winning comical journalist -- or was -- in Miami, Florida. He hadn't written for some time. But he's back in 'Insane City'. Get some laughs and insights on American society.

    Also read 'Dave Barry Does Japan' -- a hilarious and warm-hearted account of Dave, Beth, and Robby traveling for 3 weeks in Japan when Toshiki Kaifu was prime minister. The times have changed and hopefully the Japanese youth are better at rock'n roll and the entire population has lightened up. Or not. Either way, it's a great way to look at yourselves.

    登録日 : 2013-04-12

  10. 推薦者 : 河合 剛   (メディア・コミュニケーション研究院)

    Mirror, mirror, on the wall

    Dave Barry Does Japan / Dave Barry. - Ballantine Books, 1993   北大ではどこにある?

    Dave Barry is a Pulitzer-winning comical journalist in Miami, Florida. In the early 1990s when Dave was working for the 'Miami Herald', Random House (a major publisher) sponsored Dave and his family for a 3-week trip through Japan.

    The result: 'Dave Barry Does Japan' -- a hilarious and warm-hearted account of Dave, Beth, and Robby mesmerized, confused, horrified, and upset in Japan when Toshiki Kaifu was prime minister. The times have changed, the elevator girls are gone, and hopefully the Japanese youth are better at rock'n roll and the entire population has lightened up. Or not. Either way, it's a great way to look at yourselves.

    By the way, I received this book as a present when I left the USA to study at graduate school in Japan. My colleagues thought the book would prepare me f...   [続きを読む]

    登録日 : 2013-04-11

  11. 推薦者 : 佐藤 淳二   (文学研究科)

    ロマン主義の怒濤をいかにして21世紀のうちに始末できるのか?

    Oeuvres complètes de Victor Hugo / Victor Hugo. - Robert Laffont,    北大ではどこにある?

    (Théâtre 1&2, Romans 1,2,3, Politique, Critique, Histoire , Voyages, Poésie 1,2,3, Océan, Chantiers, Correspondance familiale et écrits intimes 1&2 計15冊)
    フランスの19世紀の国民詩人と言えばユゴーだ。幅広い人気をいまだに保ち、フランス文化の土台の一つになっている。「ブカン」叢書の15冊は、現代人に接近しやすく、古い大全集のいかめしさに比べるとぐっと身近だろう。といってもフランス語だから、日本では読者も限られている。しかし、敢えて推薦したい。フランス語をいくらかでもやったら、これほどまでに激しい才能の迸り、ほとんど怒濤とも咆哮ともいえる天才の活躍にすこしでも触れたいものである、...   [続きを読む]

    登録日 : 2012-12-10

  12. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    理想郷とは?

    失われた地平線 / ジェイムズ・ヒルトン. - 新潮社, 1959   北大ではどこにある?

    ジェイムズ・ヒルトンといえば『チップス先生、さようなら』で広く知られているけれども、この『失われた地平線』は、彼のもう一つの代表作とも言える、不思議な雰囲気をたたえたユートピア小説である。第一次大戦後の動揺するインドからヒマラヤを舞台に、英米人の主人公たちが思いがけない事件に巻きこまれて一種の理想郷的世界に紛れ込んでいく。特に、この小説の後半をしめるラマ教寺院の院長とイギリス人外交官の対話、そこから急転する脱出劇は読むものを引きつけて放さない面白さがある。(この小説に出てくる「シャングリラ」ということばは後に“理想郷”を示す代...   [続きを読む]

    登録日 : 2012-05-01

  13. 推薦者 : 佐藤 淳二   (文学研究科)

    21世紀の人間は、ポスト・マラルメ主義者とならねばならない!

    詩・イジチュール / マラルメ. - 筑摩書房, 2010   北大ではどこにある?

    ポスト・マラルメ主義とは何か? それは「従って」を切断する戦いの行動原則であり、革命理論である。しかし、その理論はまだその全容を現してはいない。若い世代がそれを実現していくことを期待されているのだ。
    その来るべき理論は、原因理由を表す接続詞で繋がる連鎖を革命的に断ち切り、世界を原因結果の連鎖、必然性の連関から解放する文化的政治的運動原理とならねばならない。それがポスト・マラルメ主義の根幹でなくてはならない!
    「従って」は、われわれのあらゆる認識、文化、ひいては科学を形成する根幹の装置であるが、ここに爆薬を仕掛けた危険きわまりない...   [続きを読む]

    登録日 : 2010-07-02

  14. 推薦者 : 中村 重穂   (国際連携機構国際教育研究センター)

    映像芸術の極致!

    オルフェ(DVD,VHS) / ジャン・コクトー. - アイ・ヴィー・シー,    北大ではどこにある?

    フランスが生んだ万能の芸術家-その活動は詩、小説、音楽、絵画、舞台演出、映画に及ぶ拡がりを持つ-ジャン・コクトーの、まさに幻想・幻視芸術の粋を極めた作品である。この映画を高校生の時に初めてテレビで見たのだけれども、見終わって恥ずかしげもなく「ジャン・コクトーは天才だ!」と叫んでしまったことを覚えている。その後何回もこの映画を見てきたが、見るたびに上の感想は間違いなかったと感じている。
    物語は、ギリシャ神話のオルフェウスとエウリュディケーの悲劇を下敷きにしているが、コクトーの奔放不羈な想像力によって、生と死、詩人(芸術家)の運命、...   [続きを読む]

    登録日 : 2010-03-22

  15. 推薦者 : 岸本 晶孝   (理学研究科)

    「大志」をこえるもの

    キャッチャー・イン・ザ・ライ / J.D.サリンジャー著(村上春樹訳). - 白水社, 2006   北大ではどこにある?

    自分に対して誠実であろうとすればするほど社会の規範に従うことを潔しとしない、ということはよくあることです。ひとは年を重ねるにつれ、誠実さと従順さの間に折り合いをつけ、その折り合いをつけたことにも鈍感になってゆきます。これはまだ学校という擬似社会にもまれ始めたばかりの高校生のそういう事態に直面し挫折をくりかえすはなし。(挫折とは社会が強いるもののようです。)
    この16歳の少年は、ライ麦畑で「キャッチャー」になりたい、と言います。本文を読まないとその意味するところは明らかでありませんが、すでに大人びた体格の自分が弱い子を危険からまもる...   [続きを読む]

    登録日 : 2009-06-02

  16. 推薦者 : 岸本 晶孝   (理学研究科)

    小説のなかの中国・米国

    千年の祈り / イーユン・リー (篠崎ゆりこ訳). - 新潮社, 2007   北大ではどこにある?

     アメリカンドリームという言葉があります。こういう言葉が長いあいだ一国において命脈を保ってきたというのは、島国にすむものとしては不思議な気がしますが、思うに、常に受け入れてきた移民という新陳代謝が大いに関与しているのかもしれません。その希望の国が(ローマが共和制の衣を脱ぎ帝政の鎧をまとうことになる歴史の転換点にも似て)希望を捨て不安の投網のなかに市民を絡めとりつつあるという悲観的な見方もあるのですが(Naomi Wolf: The end of America, 2007)、なかなかどうして、こういう本に接す...   [続きを読む]

    登録日 : 2008-07-15

  17. 推薦者 : 清水 賢一郎   (メディア・コミュニケーション研究院)

    現代中国社会の悲哀を、リアルに、多少の皮肉も交じえ、温かい目で描く物語

    飛べない龍 / 蘇童著 ; 村上満里子訳. - 文芸社, 2007   北大ではどこにある?

    著者は現代中国文壇を代表する作家の一人。経済成長著しい中国社会の底辺で、もがきながら生きる男と女。目まぐるしい変化と発展の中で、取り残されたままの人々の姿、そして現代中国社会の悲哀を、リアルに、多少の皮肉も交じえ、温かい目で描く物語。

    登録日 : 2007-12-06

  18. 推薦者 : 鍋島 孝子   (メディア・コミュニケーション研究院)

    シングルマザーの人類愛

    魅せられたる魂 全5巻 / ロマン・ロラン. - 岩波文庫, 1954-1956, 1989年   北大ではどこにある?

     ロマン・ロランは20世紀のフランス人作家で、平和活動家。現在ではほとんど読まれなくなってしまいましたが、かつてはそのヒューマニズムに感激した読者が世界中にいました。
     「魅せられたる魂」とは人を愛することに魅了され、愛し抜く人間のこと。主人公は裕福なフランス人女性でしたが、未婚の母となり、社会の様々な局面を生きることになります。
     「大河小説」とはロランの造語。社会の偏見や戦争、イデオロギーの対立の中で個人の精神性が成長していく様を鮮やかに描いています。特に、傷ついた敵の兵士をかばって民衆に立ちはだかる姿は圧巻です。
     そんな国境...   [続きを読む]

    登録日 : 2007-02-24

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