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ここに推薦するのは、『水滸後伝』である。『水滸伝』ではない。まずその点を間違えないようにお願いしたい。『水滸伝』=本編を推薦していないのに『水滸後伝』=続編を推薦するのは無茶苦茶だという批判もあることは承知の上である。ましてや僕は、本編は横山光輝の漫画版で読んだ(だけな)ので、この推薦はなおさら無謀である。しかしそれでもなお推薦するには理由がある。一つには、大方の学生諸君は小説であれ漫画版であれ本編を読んでいる人は多いだろうと想像できること、二つには、続編という位置づけながらそれ自体でなかなか想像力に溢れた活劇として面白い、ということ、最後に、舞台が中国から一挙に東アジア全体に広がってスケールアップしていく点でさらに面白さが倍加しているということを挙げておく。概ねどんな作品でも続編はつまらなくなるというのが通り相場のような感はあるが、『水滸伝』に関しては『水滸後伝』だけでなくさらにそのまた続編も作られたりしていて、中国人の創作意欲をかき立てる魅力が受け継がれていることが分かるだろう。
2006年には寺尾善雄訳の抄訳版も出たらしいので、機会があればそちらも読んでみるといいと思う。 |