小説のなかの中国・米国 |
タイトル(書名) | : |
千年の祈り |
著者 | : |
イーユン・リー (篠崎ゆりこ訳) |
出版者 | : |
新潮社 |
出版年 | : |
2007 |
ISBN | : |
4105900609 |
北大所蔵 | : |
北大所蔵1 北大所蔵2 北大所蔵3 |
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推薦コメント |
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アメリカンドリームという言葉があります。こういう言葉が長いあいだ一国において命脈を保ってきたというのは、島国にすむものとしては不思議な気がしますが、思うに、常に受け入れてきた移民という新陳代謝が大いに関与しているのかもしれません。その希望の国が(ローマが共和制の衣を脱ぎ帝政の鎧をまとうことになる歴史の転換点にも似て)希望を捨て不安の投網のなかに市民を絡めとりつつあるという悲観的な見方もあるのですが(Naomi Wolf: The end of America, 2007)、なかなかどうして、こういう本に接すると、アメリカはなお人類の進歩を象徴し、人を鼓舞し激励する光芒をはなち、創造のみなもととなりえているのでないかと考えてしまいます。もちろん、これは作者の非凡な才能が(中国から米国への)境遇の変化を触媒として開花した結果に違いないのですが、作者が英語という表現手段を得て自由になったというとき、それを特に痛感します。
これは1996年に新天地にわたった著者が2005年に発行した短編小説集(A thousand years of good prayers)の翻訳です(短期間で外国語をものにしたという才気あふれる原作も比較的平明で読みやすいので十分堪能できるでしょう)。因みに彼女はアメリカ市民権を申請しているそうですが、意外にも2004年の段階では却下されたそうです。 |
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