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ここ何年か、「一般教育演習(フレッシュマンセミナー)」で日本語文章表現関係の授業を開講しており、その参考とするためにあれこれの文章読本を45冊ほど読んで、今46冊目を読んでいる。率直に言って授業の素材として役に立ったものはほとんどなく、推奨できるものは4、5冊程度である。そして、これらの推奨できる数少ない本も、どう言ってみても結局はハウツー本であり、面白さという点ではほとんど期待できない。その中にあって、長沼氏のこの本は唯一と言っていいほど読み物としての面白さがある文章読本である。この本を通して読者は、文章作成の根本にある「問い」を立てるということがどのようなことなのかを納得・理解できるようになるだろう。文章表現が苦手な人にも得意な人にも一読をお勧めしたい。(それにしてもちくま新書は、文章表現法の本を出しすぎである。中には、文章表現法の本なのに、悪文だらけのものもある。ちくま新書でなら、この1冊で充分だ。) |