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推薦者 : 河合 剛 (外国語教育センター・教員)
「つい最近」を体験する
海峡の鉄路青函連絡船 : 110年の軌跡と記憶 / 原田伸一. - 北海道新聞社, 2018
北大ではどこにある?
函館キャンパスの諸君はもちろん、札幌キャンパスの諸君も青函連絡船の役割を知るのは大切な素養。写真たっぷり、じっくり楽しめる。
函館駅から徒歩数分に青函連絡船「摩周丸」が展示されている。本書を読みつつ船を巡ると時代の変遷がわかる。 -
推薦者 : 河合 剛 (外国語教育センター・教員)
平城京遺跡を専属ガイドつきで回る気分
平城京一三〇〇年「全検証」 : 奈良の都を木簡からよみ解く / 渡辺 晃宏. - 柏書房, 2010
北大ではどこにある?
博物館・美術館を訪れると展示物よりも説明文に目が向いてしまう私は、文章による解説が不可欠と見えて、図録などを自宅でじっくり読みふけり、肝心の展示品の画像記憶ができないためスケッチはおろか形状・色彩もろくに説明できないありさま。逆に言えば、展示物だけでは不満足で、どなたかに詳しくお話を伺いたい。講演は垂涎の的。
さて本書は平城京遺跡を専属ガイドつきで回る気分が味わえる希有の作品。著者とともに働いた経験をもつ同僚によれば、著者の渡辺晃宏博士は、研究させていただいてるものを世間に還元する意識が強く、木簡に対する愛も加わり、誰にで... [続きを読む] -
推薦者 : 河合 剛 (外国語教育センター・教員)
大名の生活を英語で説明しよう
The life and culture of samurai lords : masterworks from the Tokugawa Art Museum / The Tokugawa Art Museum. - 徳川美術館, 2016
北大ではどこにある?
諸君、和服が着られるかな?女の子なら振袖を着た経験があるだろうか?男の子なら羽織・袴。しかし所有していない人も多いのでは?まさか着方を知らない?日本の民俗衣裳だぞ。しかも意外と安いのもある。
さてさて。日本の文化を英語で説明できれば、日本の文化を知っているといえるだろうし、日本の文化を知ってもらう力を有しているともいえるだろう。
本書は、御三家大名のひとつ尾張名古屋の徳川藩ゆかりの徳川美術館が著した、大名生活の英語による説明だ。日本を知り、日本を知ってもらう力を身につけよう。 -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
歴史学者とはどのような人々か
昭和史学史ノート-歴史学の発想- / 斉藤孝. - 小学館, 1984
北大ではどこにある?
歴史学者が歴史研究を行ったり歴史書を書いたりするときには当然その歴史観が反映される。史学史とはそうした歴史観や歴史記述の態度・意識の歴史である。この本では、具体的な個々の(主に昭和戦前・戦中期の)歴史学者を取り上げて通観することによって昭和の歴史研究がどのようなものであったかを示そうとするものである。歴史に興味のある学生、歴史学者の仕事を覗いてみたい学生、昭和時代を何らかの学問の研究対象としたい学生にお勧めする。 -
推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
台湾における日本統治時代の経験・感情とは?
戦後台湾における〈日本〉─植民地経験の連続・変貌・利用 / 五十嵐真子・三尾裕子編. - 風響社, 2006
北大ではどこにある?
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推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
台湾における植民地経験をフィールドワーク、史資料分析から重層的に読み解く!
台湾における<植民地>経験─日本認識の生成・変容・断絶 / 植野弘子・三尾裕子編. - 風響社, 2011
北大ではどこにある?
台日本統治時代を肯定的に評価するという意味でしばしば「親日的」という言葉で語られる台湾。本当にイメージ通りなのでしょうか?あるいは「親日的」だとすればそれはどのような意味で「親日的」なのでしょうか?本書は台湾における植民地経験、植民地時代への感情をフィールドワークや史資料を通じて多面的に論じています(姉妹編あり)。歴史社会学・文化人類学・歴史社会学・地域研究の重要書です。 -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
日本陸軍の戦争理念に迫る
未完のファシズム-「持たざる国」日本の運命- / 片山杜秀. - 新潮社, 2012
北大ではどこにある?
アジア・太平洋戦争についてある程度勉強してきた時、頭に浮かんだ疑問というのが、「なぜ日本軍は兵員を無駄死にさせるような戦闘行動や作戦を行ったのか」ということだった。戦争-特に近代戦-にあっては、いかに戦闘手段の損失を少なくしつつ有利に戦況を進めるかということが目標になる。にもかかわらず、日本軍は、例えば「バンザイ突撃」等に見られるような「玉砕」戦を実行し、それらに対して日本軍の狂気じみた精神主義、あるいはまた「戦陣訓」の影響といったことが原因として指摘されてきた。
この本は、第一次世界大戦以降の日本陸軍内部の戦争指導理念の変容を... [続きを読む] -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
本は脳を鍛える!
クアトロ・ラガッツィ-天正少年使節と世界帝国- / 若桑みどり. - 集英社, 2003
北大ではどこにある?
天正少年使節と言えば、高校の日本史や世界史で習った記憶があるだろう。これは、博覧強記の著者が、西欧の図書館や文書館に収蔵されている第一次史料を丹念に読み解いて、天正少年使節をとりまく権力者たちとキリスト教信者たち、そしてキリスト教会内の様々な駆け引きを世界史の大きな変動の中に於いて捉えようとした大著である。
ただ、表題に惹かれて読んでみたものの羊頭狗肉の感は否めない。550ページにのぼるこの本を230ページくらいまで読まないとそもそも天正少年使節が出てこないし、彼らのヨーロッパでの体験もむしろ彼ら少年使節よりはキリスト教会と教皇庁、そし... [続きを読む]登録日 : 2012-05-01
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推薦者 : 寺田 龍男 (メディア・コミュニケーション研究院)
『太平記』が描く時代を見る
太平記 : 完全版 (DVD) / 吉川英治原作 ; 池端俊策, 仲倉重郎脚本 ; 高橋康夫, 一柳邦久制作. - NHKエンタープライズ, 2008
北大ではどこにある?
『太平記』が描く時代(14世紀前半)は、南北朝の分裂などもあり、日本社会の大きな転換期となりました。この時代ならではの現象が噴出し、戦後歴史学では進展が著しい一方で、今なお小説には書きにくい時代とも言われています。
この作品は原著『太平記』を吉川英治が脚色し、さらにNHKが大河ドラマ化したものです。その点を理解しておく必要はありますが、佐藤進一『私本太平記』 -
推薦者 : 陳 省仁 (教育学研究科)
日本人の故郷
写真ものがたり 昭和の暮らし Vols. 1- 7 / 須藤功. - 農山漁村文化協会, 2004-2006
北大ではどこにある?
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推薦者 : 西 昌樹 (メディア・コミュニケーション研究院)
知らない歴史もある
ひめゆり忠臣蔵 増補新版 / 吉田司. - 太田出版, 2000
北大ではどこにある?
沖縄の「ひめゆり部隊」は知られている。しかし沖縄戦は沖縄の悲劇であり、沖縄の人々は軍国主義日本の被害者とだけ言って良いのだろうか。戦後占領し統治したアメリカに対して、復帰運動の中心になった教職員組合は戦前戦中はなにをしたのか(戦後アメリカの援助でアメリカ留学した人もいる)。そしてひめゆりはただ犠牲になった無辜の乙女たちだったのか。著者は人が隠し見たくないこと、忘れてしまいたいことを暴き出す。その主張に賛成できなくとも、歴史は一方からだけでなく、複眼で見なければならないことを痛感させられる。広島、長崎の原爆もなぜそこが選ばれたの... [続きを読む] -
推薦者 : 岸本 晶孝 (理学研究科)
占領下日本と憲法
敗北を抱きしめて(上下) / ジョン・ダワー. - 岩波書店, 2001,2004
北大ではどこにある?
この国の憲法を「押し付けられたものだから」(を理由のひとつとして)改正しようとする動きがあります。近隣諸国との諍いをも厭わず戦死者の霊を慰めることに熱心な人たちですから、敗戦後の生活の塗炭の苦しみに加えて意に染まぬ憲法を押し付けられるという精神的苦痛を味わった当時の庶民への同情に突き動かされて発議したのかと思っていましたら、そうでもなさそうです。いかに歴史を学ばないひとでも、当時の人々のほとんどが解放感に包まれてこれを歓迎したことは知っているでしょう。それとも、その始祖たる時の首相吉田茂が天皇裕仁のまえで「臣茂」と名乗ること... [続きを読む] -
推薦者 : 下澤 楯夫 (電子科学研究所)
日本の歴史をよみなおす / 網野善彦著. - 筑摩書房, 2005.7
北大ではどこにある?
高校の歴史教科書とは全く異なる視点で、様々な職能集団(庶民)の生活と意識の変遷を見る。独自性や独創性は、独りよがりのことではない。異なる視点からの知見に裏付けられたてこそ、多様な価値観を認め合うことができることを教えてくれる。 -
推薦者 : 蔵田 伸雄 (文学研究科)
記憶を伝えていくために
夕凪の街桜の国 / こうの史代著. - 双葉社, 2004.10
北大ではどこにある?
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推薦者 : 西 昌樹 (メディア・コミュニケーション研究院)
映像文化論関係
天皇の肖像 / 多木浩二著. - 岩波書店, 1988.7
北大ではどこにある?
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推薦者 : 寺田 龍男 (メディア・コミュニケーション研究院)
日本社会にもこんな時代があったのかと驚かされました
南北朝の動乱(日本の歴史 ; 9) / 佐藤進一著. - 中央公論新社, 2005.1
北大ではどこにある?
「忠臣は二君に仕えず」という倫理観がよく知られていますが、そうした考え方が徳川時代に定着する以前は、いわゆる「去就の自由」があり、武士の間で離合集散が激しかったことを実証的に解明した名著です。初版は1965年ですが、歴史の先生方の間では今なお名著の誉れが高いそうです。私の専門はドイツ語教育と中世ドイツ文学研究ですが、昔のヨーロッパにも同様の現象があり、作品や記録文書を読む時、佐藤先生の記述がいつもインスピレーションを与えてくれます。こうした共通の現象がありながら、その後ヨーロッパでは「出世の階段を登るたびに勤務先を変える」ようにな... [続きを読む]