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推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター・教員)
「革命」の担い手は誰だったのか。
青きドナウの乱痴気 : ウィーン1848年 / 良知力著. - 平凡社, 1985
北大ではどこにある?
1848年、西ヨーロッパに勃発した「革命」の一つの舞台となったウィーンでの、様々な人びとの思惑や欲望や理想や愚痴(?)が渦巻く展開を、帝国、国家、権力者の立場からではなく、「革命」に参加した人びとの目線から描いたすぐれた本である。歴史を庶民、あるいは当事者の立場に寄り添って書くということは決して簡単ではない。その困難な試みがいかに為されたかを読み取ってみてほしい。特に、「あとがき」に書かれているグレーテというウィーン子のことばは心に染みる。 -
推薦者 : 田畑 伸一郎 (スラブ・ユーラシア研究センター・教員)
フィンランドの中学における歴史教科書
世界史のなかのフィンランドの歴史 : フィンランド中学校近現代史教科書 / ハッリ・リンタ=アホ [ほか] 著 ; 石野裕子, 高瀬愛訳. - 明石書店, 2011
北大ではどこにある?
フィンランドの中学で使われている歴史教科書を翻訳したものです。フィンランドの歴史が平易に書かれています。フィンランドの歴史がよく分かるだけでなく,どのように歴史が教えられているのかについてもよく分かります。 -
推薦者 : 戸田 聡 (文学研究科)
日本人と全く関係のない或る昔の文明世界のお話
ビザンツ世界論 / ハンス=ゲオルク・ベック. - 知泉書館, 2014年
北大ではどこにある?
「日本人と全く関係のない或る昔の文明世界」の話だって? そんなもの読む暇ないよ! と思う人は以下を読まなくてよろしい。しかし、実益ばかりが強調される今の時代だからこそ、こういうものだってあると言ってみたくなる。
この本でとりあげられているビザンツ帝国は、かの輝かしきローマ帝国の後継国家(正確には、ローマ帝国の断絶なき継続)として、西欧史で言われる中世のほぼ全時代を通じて存在した国家・帝国であり、日本とは全く関係がない。しかも、現代人(特に現代日本人)はそもそも古典(つまり、共通の教養基盤)なるものを顧みなくなって久しいが、ビザ... [続きを読む] -
推薦者 : 岡田 敦美 (メディア・コミュニケーション研究院)
「他者」と向きあう人類最初の経験――コミュニケーションや異文化について考える
他者の記号学―アメリカ大陸の征服 / ツヴェタン・トドロフ. - 法政大学出版局, 1986(日本語初版)
北大ではどこにある?
著者のトドロフは、ブルガリア生まれでパリで活躍する言語学者。本のテーマは「他者の発見」で、その手がかりとして、新大陸の発見と征服の時期が、もっと具体的にいえば、新大陸とヨーロッパ人が出会って以降の100年あまりの間に新大陸に渡ったヨーロッパ人によって書かれた記録や文書が、分析対象として選ばれたのである。トドロフによれば、1492年は、「ヨーロッパの歴史上、最も驚嘆に値する他者との出会い」の画期をなした。「今あるヨーロッパ人のアイデンティティが示され、基礎づけられたのはまさにこの新大陸の発見にあるのだ」。その意味で、1492年以来、ヨーロッパ... [続きを読む] -
推薦者 : 西 昌樹 (メディア・コミュニケーション研究院)
占領を知らない世代へ
占領下パリの思想家たち / 桜井哲夫. - 平凡社新書, 2007
北大ではどこにある?
ナチスドイツ占領下のパリで、知識人たちはどう生きていたか。サルトル、カミュ、バタイユ、フーコー、レヴィ=ストロース、サン=テグジュペリ...沖縄だけでなく、日本全土がアメリカに占領(進駐軍と言い換えていたが)された日々はついこの前である。戦争も占領も知らなければ、せめて本や映像で知ろうとしてほしい。フランスの現代史を知るには、海原峻「フランス現代史」(平凡社、名著)がおすすめ。それを読んで、この本の前段の桜井「 -
推薦者 : 岸本 晶孝 (理学研究科)
歴史を通じて現在をみる
憲法で読むアメリカ史(上下) / 阿川尚之. - PHP研究所, 2004
北大ではどこにある?
アメリカは歴史の浅い国というひとがいますが、それは果たして真実でしょうか。アメリカは13の州が連合して1776年に独立し、今に有効な憲法を1788年に制定しました。(世界で現に通用している憲法のなかで最古だそうです。)日本でいえば江戸時代半ばに制定された法律が本質的な変更なく今も、民主主義とその制度を宣言する文書として機能し模範とされていることを想像してみてください。江戸幕府はせいぜい幾つかの「諸法度」のもとで成立していたのです。もちろん、この憲法にも「瑕瑾」がありました。奴隷制度を容認しているととれる条項があることです(しか... [続きを読む] -
推薦者 : 加納 邦光 (メディア・コミュニケーション研究院)
ビスマルク伝 / エーリッヒ・アイク著 ; 救仁郷繁訳. - ぺりかん社, 1993.6-1999.6
北大ではどこにある?
登録日 : 2005-07-29