本は脳を育てる ~北大教職員による新入生への推薦図書~ 

推薦者 :  西昌樹      所属 :  メディア・コミュニケーション研究院      身分 :       研究分野 : 
知らない歴史もある
タイトル(書名) ひめゆり忠臣蔵 増補新版
著者 吉田司
出版者 太田出版
出版年 2000
ISBN 4872335317
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推薦コメント

沖縄の「ひめゆり部隊」は知られている。しかし沖縄戦は沖縄の悲劇であり、沖縄の人々は軍国主義日本の被害者とだけ言って良いのだろうか。戦後占領し統治したアメリカに対して、復帰運動の中心になった教職員組合は戦前戦中はなにをしたのか(戦後アメリカの援助でアメリカ留学した人もいる)。そしてひめゆりはただ犠牲になった無辜の乙女たちだったのか。著者は人が隠し見たくないこと、忘れてしまいたいことを暴き出す。その主張に賛成できなくとも、歴史は一方からだけでなく、複眼で見なければならないことを痛感させられる。広島、長崎の原爆もなぜそこが選ばれたのか、考えてみる必要がある。両市とも平和都市などではなかった(軍都と軍港)。だからといって原爆を正当化できない。それゆえ歴史を単純化するのは危険である。語り口は乱暴だが、平岡正明を読んだことのある人なら平気だろう。昭和を知りたかったら半藤一利の「昭和史」(全2冊)(平凡社)で基礎知識を得て、吉田司の「王道楽土の戦争」(全2冊)(NHKブックス)もおすすめ。

※推薦者のプロフィールは当時のものです。

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