推薦者: 寺田 龍男
所属: メディア・コミュニケーション研究院
日本社会にもこんな時代があったのかと驚かされました
タイトル(書名):
南北朝の動乱(日本の歴史 ; 9)
著者:
佐藤進一著
出版者:
中央公論新社
出版年:
2005.1
ISBN:
4122044812
北大所蔵:
推薦コメント
「忠臣は二君に仕えず」という倫理観がよく知られていますが、そうした考え方が徳川時代に定着する以前は、いわゆる「去就の自由」があり、武士の間で離合集散が激しかったことを実証的に解明した名著です。初版は1965年ですが、歴史の先生方の間では今なお名著の誉れが高いそうです。私の専門はドイツ語教育と中世ドイツ文学研究ですが、昔のヨーロッパにも同様の現象があり、作品や記録文書を読む時、佐藤先生の記述がいつもインスピレーションを与えてくれます。こうした共通の現象がありながら、その後ヨーロッパでは「出世の階段を登るたびに勤務先を変える」ようになったのに対し、日本社会は異なった道を歩みました。そのようなことを考えながら読むのもおもしろいでしょう。
※推薦者のプロフィールは当時のものです。