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推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
数学界に革命をもたらした「不完全性定理」とは何か
ゲーデルは何を証明したか-数学から超数学へ- / E.ナーゲル&J.R.ニューマン. - 白揚社, 1999
北大ではどこにある?
この本は、1968年に『数学から超数学へ : ゲーデルの証明』というタイトルで出された本の新装版である(原著は1958年!)。「ゲーデルの不完全性定理」というのを聞いたことがある人は、理数系でなければ必ずしも多くはないかもしれないが、「アインシュタインの相対性理論」や「ハイゼンベルクの不確定性原理」にも比するべき、数学に大転換を迫った原理である。この本は、その決して易しくはない「不完全性定理」をできる限りわかりやすく解きほぐして説明しようとするものであり、理数系の学生のみ... [続きを読む] -
推薦者 : 岸本 晶孝 (理学研究科)
数学と人間と
The Mathematician's Brain / David Ruelle. - Princeton University Press, 2007
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数学という学問では論理的に正しい事柄、論理的に検証可能な事柄だけをもとめます。その論理にだけ注目すると数学はきわめて退屈な学問、形式的な学問といえそうです。(論理計算が正当化どうかを調べるには、記号の羅列が文法規則に従っているかどうかを見るだけでよくその意味を問う必要がないので、計算機にでもやらせることができるからです。)それでもギリシャ人はその前提となっていた自明の理を疑わず数学を真理の学問と神聖視しましたが、無限を取り扱う必要にかられた現代の数学者はそれほど幸せとはいえません。ほとんどの数学者のよりどころとしている自明の理... [続きを読む] -
推薦者 : 岸本 晶孝 (理学研究科)
天才数学者列伝
God created the integers / Stephen Hawking. - Running Press, 2007
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ピタゴラスは、エーゲ海に浮かぶサモス島で、宇宙は全き数(自然数)によって表される、と考えたそうです。そののちルート2が全き数の割合で表されない(有理数でない)ことを発見したとき、自らの宇宙観への危機をひそかに感じ、その秘匿を弟子たちに命じました。漏洩者には死がまっていました。
ギリシャの人々の数学にかけた情熱は、広大無辺の宇宙に肉薄しようという真理にかけた宗教的情熱と一体不可分のようです。後のキリスト教の席巻はこの情熱を本物の宗教的情熱で窒息させてしまい、ギリシャ数学への新風はデカルト(1596−1650)までお預けになりま... [続きを読む] -
推薦者 : 須田 勝彦 (教育学部)
論証数学の成立
数学のあけぼの / A.K.サボー,伊東俊太郎他訳. - 東京図書, 1976年
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今も昔も,洋の東西を問わず,また文型,理系を問わず,学問とは何かを論ずるとき,数学はひとつの論題とされてきた。この書は,数学史研入門書である。特に論証科学としての数学の成立における哲学との相互関連が非常に興味深い。「哲学」が何か古臭いたわごとであるかのように考えられることが多い最近,特にこのような思索に取り組む時間を持ってほしいと思う。 -
推薦者 : 須田 勝彦 (教育学部)
ユークリッド幾何学の成立過程
数学の歴史1 ギリシアの数学 / 伊東俊太郎他. - 共立出版, 1979年
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ユークリッド『原論』の多くの源流の中で,特にタレス,ピュタゴラス,ヒポクラテスの到達点が分かりやすく,具体的に解説されている。これらとの対比によって,『原論』の主要部分の理解が容易になるだろう。 -
推薦者 : 須田 勝彦 (教育学部)
数学をなぜ学ぶのだろう
数学教育の根本問題 / 小倉金之助. - 玉川大学出版, 1973年
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皆さんはこれまで,当然のこととして数学を学んできたと思う。しかし,大学に入学した今,改めてなぜ数学を学ぶのか,考えてほしい問題である。主に昭和の前半期,日本の針路と学問の進歩に洞察を加え「数学教育の目的は科学的精神の涵養にある」という思想を展開した小倉の著作は今現在でも光芒を放ち続けている。「人文科学の基礎」履修者以外の方にもぜひ一読をお勧めしたい。
(なお,この本は,小倉金之助著作集をはじめ,さまざまな形態で出版されていて,玉川大学出版の本以外でも見ることができる。例えば『 -
推薦者 : 行木 孝夫 (理学研究科)
微積分学の基本図書
解析概論 / 高木貞治. - 岩波書店, 1983
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近年は教育におけるわかりやすさを優先する傾向が強く、歴史的な教科書はその存在も知られないことが多くなっているように思われます。本書は自然科学の基礎を成す微積分学を記述した随一の書です。導入部では数学の学習における心構えを説き、実数の定義をはじめとする微積分学を網羅します。読みきることができなくても十分に数学の基礎を感じとれるでしょう。 -
推薦者 : 下澤 楯夫 (電子科学研究所)
数の大航海 : 対数の誕生と広がり / 志賀浩二著. - 日本評論社, 1999.7
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推薦者 : 古畑 仁 (理学研究科)
曲面から数学ワンダーランドへ出発!
曲面 : 硬い面,柔らかい面 / 志賀浩二著. - 岩波書店, 1994.9
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目に見える曲面から,現代数学を語る上で避けては通れない多様体の概念へと自然に導いてくれます。オイラー,ガウス,リーマン,ポアンカレ・・・,数学世界のスーパースターたちは何を考えたのでしょうか。やさしい語り口ながら,実は微分幾何学やトポロジーといった学部で学ぶ高度な内容を扱っています。 -
推薦者 : 神保 秀一 (理学研究科)
微分方程式を楽しもう
微分方程式概論 / 神保秀一著. - サイエンス社, 1999.1
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ニュートン力学が創始されて近代科学の時代になりました。自然現象を数理的な方法で研究して利用することができるようになってきました。17世紀の時代から現代まで理論科学や科学技術が作られていますが,その中で微分方程式は最も貢献した数学の分野と言ってよいでしょう。ニュートンの時代から現象を記述したり解析するための数学モデルとして主役であり続けました。古典物理の世界では粒子や剛体の運動などの力学現象や音や光の波動現象や熱の流れや触質の中の物質の拡散などの解析にも貢献しました。現代では驚くほど様々な自然科学分野で活躍しています。
本書は... [続きを読む] -
推薦者 : 西森 敏之 (高等教育機能開発総合センター)
現代数学の雰囲気を体験しよう──文系学生でも読める現代数学の本
幾何の魔術 : 魔方陣から現代数学へ / 佐藤肇, 一樂重雄著. - 日本評論社, 2002.8
北大ではどこにある?
ある大学新入生は,大学の「化学」は物理のようで,大学の「物理」は数学のようで,大学の「数学」は哲学のようだと言った。これは高校時代に刷り込まれた各科目についてのイメージが,大学のレベル以上の現実の学問の姿からかけ離れていることを表している。現在の指導要領では,以前より内容・学習時間を3割削減した。その結果,たとえば高校の物理から数学的側面を排除して物理の姿を歪めることになった。
この本は,タイトルが一見怪しげで通俗的なレベルの本にみえるが,実は一流の数学者が現代数学の思考法のエッセンスをより多くの人々に伝えようとして真正面か... [続きを読む] -
推薦者 : 神保 秀一 (理学研究科)
カオス入門 / 山口昌哉著. - 朝倉書店, 1996.9
北大ではどこにある?
高校や大学の多くの学生の諸君は数学(数学現象)の世界は,実際に宇宙で起こる自然現象たちに較べて,非常に整備されていて,整然としているという印象をもっているのではないであろうか。
期末試験や大学入試の数学の問題はきちんときれいな正解が用意されていて,いつも何事もちゃんとできているので,このような硬質で 無機質なイメージをもつのだと思う。また,そもそも数学の扱う対象は自然現象とはあまり関係ないとさえ思っている人も多いようです。しかし,実際は,それらはいろいろな局面において密接に関連していて,宇宙の現象が複雑であると同様に数学に... [続きを読む]登録日 : 2005-08-02