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推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
経済学とは結局何なのか、を考える。
戦時下の経済学者 / 牧野邦昭. - 中央公論新社, 2010
北大ではどこにある?
この本の表題は『戦時下の経済学者』であり、事実経済学者(の学説)に多くのページを割いている。しかし、この本の主眼とするところは人物伝ではなく、著者自身が「あとがき」で書いているように「経済学はなぜこうなっているのか」という問題意識である。僕なりの読み方で言えば戦時下の総力戦体制の中で個々の経済学者の学説が社会の要請と切り結びながらどうしてその学説のような形を取ることを求められたか、を考えようとするものだと言えるだろう。僕はこの本をノートを取りながら割合丹念に読んだのだが、僕自身の関心はむしろ個々の経済学者あるいは研究機関の時代... [続きを読む] -
推薦者 : 中村 重穂 (国際連携機構国際教育研究センター)
巧妙化・複雑化する戦争ビジネスを知る
民営化される戦争-21世紀の民族紛争と企業- / 本山美彦. - ナカニシヤ出版, 2004
北大ではどこにある?
戦争に関わる企業と聞くと、兵器・武器の製造売買を行う-古いことばで言えば-「死の商人」が思い浮かぶ。それはそれとして現在もあることに変わりはないが、この本を読むと、思いがけないところで思いがけない企業が、国家(この本で主題的に取り上げられるのはアメリカだが)の中枢部と結託して戦争の後方支援活動などに食い込み利益を上げていることが分かる。さらには、こうした企業が、アフリカなどの資源を保有する後進国で資源ビジネスに目を付けてに内戦=民族対立や紛争を煽っている構図までもが明らかにされる。民族紛争の解決と貧困の撲滅は間違いなく21世紀の世... [続きを読む] -
推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
台湾ノートパソコン企業の成長メカニズムを解き明かす!
圧縮された産業発展─台湾ノートパソコン企業の成長メカニズム / 川上桃子. - 名古屋大学出版会, 2012
北大ではどこにある?
台湾はノートパソコン生産の世界シェア90%以上といわれています。当初はいわゆる低コストの下請企業として国際的な産業内分業の中での後発のメーカーという位置づけでした。そうした台湾のノートパソコン産業が急激な成長をとげたメカニズムを、丹念なインタビュー調査や観察、史資料分析などで実証的に論じています。経済学・経営学・経済社会学・産業社会学・労働社会学などにかかわる近年の重要書です。第29回(2013年度)「大平正芳記念賞」受賞作品 -
推薦者 : 寺沢 重法 (文学研究科)
北海道夕張産炭地の生活誌・社会史の決定版!
地域産業変動と階級・階層 : 炭都・夕張/労働者の生産・労働(新装版) / 布施鉄治編著. - 御茶の水書房, 1990
北大ではどこにある?
北海道大学教育学部の故・布施鉄治教授率いる「布施グループ」による調査モノグラフ。地域は北海道の産炭地夕張であり、大学院生・学部学生総出で、炭鉱関係者の生活史を調査したモノグラフである。対象者は炭鉱職員・鉱員・その家族など、ほぼ「ローラー作戦」で聞き取り調査をしている。そこから夕張における階層・階級構造、労働者の入炭経緯、ライフスタイル、将来への展望などが浮かび上がってくる。北海道社会史としても極めて貴重な書籍である。初版は1982年。
なお「布施グループ」による調査には夕張の他にも、水島・倉敷などで行った調査がありそれらも出版されて... [続きを読む] -
推薦者 : 河合 剛 (メディア・コミュニケーション研究院)
learn how to make the world a better place
The Unfair Trade: How Our Broken Global Financial System Destroys the Middle Class / Michael Casey. - Crown Business, 2012
北大ではどこにある?
If you enjoy 池上彰's easy to understand explanations of finance, economics, and politics, and if you seek a career on the global stage, then read this book. At the very least you will learn how to form a convincing argument. On average, you will learn that nation states ought to realize global growth can help their domestic economies -- that a smaller piece of a bigger pie might be bigger than a bigger piece of a smaller pie. And if you and I are fortunate, then you will create knowledge and acquire influence that will make the world a better place. This book gives us ideas on how to make that happen. Be maximally ambitious. Or, as Buzz Lightyear might say, To infinity and beyond! -
推薦者 : 岸本 晶孝 (理学研究科)
歴史を通じて世界経済を考える書
超帝国主義アメリカの内幕 / マイケル・ハドソン. - 徳間書店, 2002
北大ではどこにある?
もし書店の棚にこういう題名の本を見かけたとしても、今、どれほどの人が手にとって見る気を起こすものなのか、想像がつきかねます。しかし、私の若いころは(1960年代)、若者がよく「アメリカ帝国主義反対」などと金切り声をあげていました。その当時とそれより暫くのあいだは、私のような政治的に鈍感なひとにとっても、世界というものを理解するうえで、これが喉につかえた小骨のようなものであったかもしれません。少なくとも、亜米利加追従我国安泰と割り切れるひとはほとんどいなかったのではないか、と思います。
日本語の題名には辟易するひともあろうかと思い... [続きを読む] -
推薦者 : 橋本 雄一 (文学研究科)
地理と経済をアジアで学ぶ
マレーシアの経済発展とアジア通貨危機 / 橋本雄一著. - 古今書院, 2005.10
北大ではどこにある?
将来いかなる分野に進もうと,現代社会に生きる者として経済・金融の基礎知識は必須です。本書はマレーシアと日本の経済的関係を中心として書かれた地理学の入門本であるが,経済・空間・技術・知的所有権などに関する基礎知識を学ぶのに適している。