推薦者: 中村 重穂
所属: 国際連携機構国際教育研究センター

経済学とは結局何なのか、を考える。

タイトル(書名):
戦時下の経済学者
著者:
牧野邦昭
出版者:
中央公論新社
出版年:
2010
ISBN:
4120041344
北大所蔵:
北大所蔵 1 
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推薦コメント

この本の表題は『戦時下の経済学者』であり、事実経済学者(の学説)に多くのページを割いている。しかし、この本の主眼とするところは人物伝ではなく、著者自身が「あとがき」で書いているように「経済学はなぜこうなっているのか」という問題意識である。僕なりの読み方で言えば戦時下の総力戦体制の中で個々の経済学者の学説が社会の要請と切り結びながらどうしてその学説のような形を取ることを求められたか、を考えようとするものだと言えるだろう。僕はこの本をノートを取りながら割合丹念に読んだのだが、僕自身の関心はむしろ個々の経済学者あるいは研究機関の時代の中での立ち位置の取り方という点に向いている。それが著者の望む読み方であるかどうかは別問題として、総力戦体制という戦時中の大きな動向を理解する上で貴重な視点を提供してくれる本であると考える。

※推薦者のプロフィールは当時のものです。