心や思考の仕組みを探る «心理学» 一つ上のジャンルへ
現在、13件登録されています。
  1. 推薦者 : 河合 剛   (メディア・コミュニケーション研究院)

    敵を知り己を知れば、のうち後者

    The Inner Game of Tennis: The Classic Guide to the Mental Side of Peak Performance / W. Timothy Gallwey. - Random House Trade Paperbacks, 1997   北大ではどこにある?

    題名の「テニス」を無視していただきたい。
    いまふうに言えば「メンタルを鍛える」のが本書の目的。
    己を知り、己を信ずる。運動はもとより、楽器演奏、学会発表、そのほか、練習を重ねて、いざ本番、力を出し切るための精神一到。その手段が、ときに神秘的に、ときに論理的に記されている。
    一般に、日本のコーチングは禁止命令が多い。「やめたら負けだ」「そんな態度じゃダメだ」「また間違えた」「何度いったらわかるんだ」
    アメリカも臭い精神論がちゃんとあるのだが、一般に見かけはポジティブ。「あそこが理想だ。ここが現在地だ。勝つまで続けるぞ」
    本書から、ア...   [続きを読む]

    登録日 : 2016-02-21

  2. 推薦者 : 寺沢 重法   (文学研究科)

    人は「自分の力で考えること」はできるか?人は「意識して行動」できるのか?

    「意識」とは何だろうか―脳の来歴、知覚の錯誤 / 下條信輔. - 講談社, 1999   北大ではどこにある?

    認知心理学者・神経心理学者の下條信輔先生による概説書。非常に高度な内容であるが、分かりやすく説明されていると思われる。
    本書のツボを私なりに一言でまとめてしまうと、「人は、自らの意識によって主体的に行動していると実感するが、必ずしも主体的に行っているわけではない。意識して行っていると思った行動が実は無意識のうちに始まっていたり、いろいろな錯誤や認知エラーが含まれていたりする」といったとこになるだろうか。こうしたことが、様々な生理学的・脳科学的実験の知見を踏まえながら説明されている。「主体性」「自由意思」「自分の考えで」といった実...   [続きを読む]

    登録日 : 2014-12-17

  3. 推薦者 : 寺沢 重法   (文学研究科)

    倫理観を高めれば世の中は良くなるのか?

    心でっかちな日本人 / 山岸俊男. - ちくま書房, 2010   北大ではどこにある?

    著名な社会学者・社会心理学者の山岸俊男先生の著作。
    「いじめが起こるのは、子供たちの心が荒んでいるからだ。だから道徳心や倫理観を育むのが大切だ」といったタイプの、社会問題の発生要因を人びとの心理に同定し、その心理を変容させることが社会問題の抑止につながるのは、本当なのか?という問題設定から始まる。おおよその結論をまとめてしまうと、「人々はそうしたいからそうしているのではなく、そうせざるを得ない状況があるからそうしているのである。そうせざるを得ない状況を変えれば人々の行動は変わるのではないか?」というところである。このような著者の...   [続きを読む]

    登録日 : 2014-12-17

  4. 推薦者 : 寺沢 重法   (文学研究科)

    台湾の「日本語世代」「日本語人」の語り

    台湾人生 (DVD) / 酒井充子. - 協映, 2008   北大ではどこにある?

    戦前の日本統治時代に生まれ、日本統治時代の教育を受けたいわゆる「日本語世代」「日本語人」と言われる人々へのインタビューを収録したドキュメンタリー作品。「どのようなライフコースを歩んできたのか」「日本統治時代にどのような暮らしを送って何を考えてきたのか」「戦後どのような人生を歩んできたのか」など、興味深い話が収録されています。台湾、植民地経験に関心のある人のみならず、社会学・心理学・文化人類学などにおける質的研究・定性的研究に関心のある人にも大いに参考になる作品ではないかと思います。本作品をもとにしたルポルタージュも出版されてい...   [続きを読む]

    登録日 : 2014-10-13

  5. 推薦者 : 寺沢 重法   (文学研究科)

    文化行動を理解するために

    文化行動の社会心理学―文化を生きる人間のこころと行動 (シリーズ 21世紀の社会心理学3) / 金児曉嗣, 結城雅樹編集. - 北大路書房, 2005   北大ではどこにある?

    1990年以降、飛躍的に発展した文化心理学の知見を特に社会心理学と関わるトピックに関連して説明したテキスト。宗教・法律・医療・歴史・神話・福祉・人間観など多面的領域の「文化」を様々な角度からとらえています。各章の参考文献も豊富で発展的学習にも最適です。

    登録日 : 2014-08-27

  6. 推薦者 : 寺沢 重法   (文学研究科)

    計量社会意識論を学ぶために

    現代日本の「社会の心」―計量社会意識論 / 吉川徹. - 有斐閣 , 2014   北大ではどこにある?

    同著者による『階層・教育と社会意識の形成─社会意識論の磁界』の流れを汲む著作。調査票調査データを用いて統計的に人々の心を分析するやり方やその発送法などがわかりやく書かれています。本書では特に複数時点のデータを使って「社会の心」の変遷を明らかにすることに力点がおかれています。現代的なトピックである環境意識・健康志向・消費生活なども扱われています。社会学向けの本ですが、社会心理学や哲学、文化論に関心のある人も是非手に取ってみてください。

    登録日 : 2014-08-27

  7. 推薦者 : 寺沢 重法   (文学研究科)

    人びとの価値観や考え方に格差はあるのか?

    階層化する社会意識―職業とパーソナリティの計量社会学 / 吉川徹編著. - 勁草書房, 2007   北大ではどこにある?

    世界的な社会学者メルヴィン・コーン(Melvin Kohn)らの大規模な調査研究プロジェクト「職業とパーソナリティ」を踏まえながら、日本における社会意識の階層化状況を実証的に検証した論文集です。

    登録日 : 2014-08-27

  8. 推薦者 : 寺沢 重法   (文学研究科)

    社会心理学の重要テキスト

    社会心理学 / 池田謙一 [ほか] . - 有斐閣, 2010   北大ではどこにある?

    近年刊行された社会心理学のテキストの中で質量共にとても充実したテキストです。最新の研究成果と豊富な事例に基づながら社会心理学の全体像がつかめるようになっています。第1部ではミクロレベル(認知、推論、感情、自己など)、第2部ではメゾレベル(コミュニケーション、対人関係など)、第3部ではマクロレベル(心の文化差、集団間関係、組織、地域など)が扱われます。
    新入生から大学院生まで長く参照できる一冊です。社会心理学に限らず、社会学・人類学・経営学に関心のある人にも目を通していただきたいです。

    登録日 : 2014-08-27

  9. 推薦者 : 寺沢 重法   (文学研究科)

    計量社会学を学ぶ!

    社会の見方、測り方─計量社会学への招待 / 与謝野有紀 [ほか] 編集. - 勁草書房, 2006   北大ではどこにある?

    統計的な手法をもちいて社会現象を分析する(計量社会学)ためのテキスト兼ハンドブック。
    紹介されている手法としては記述統計、相関分析、クロス表分析、平均値の比較、重回帰分析、パス解析、共分散構造分析、マルチレベル分析、ネットワーク分析、因子分析、主成分分析、ブール代数分析など基礎から応用まで非常に幅広い手法が紹介されています。しかも単に手法を説明するだけではなく、具体的な社会現象(自殺、都市化、階層など)をそれらの手法で分析するというスタイルで書かれています。そのため統計的手法で社会現象を分析するという計量社会学の醍醐味がいかんな...   [続きを読む]

    登録日 : 2014-08-27

  10. 推薦者 : 寺沢 重法   (文学研究科)

    人びとの健康に影響を与える社会的要因とは何か?

    健康格差社会─何が心と健康を蝕むのか / 近藤克則. - 医学書院, 2005   北大ではどこにある?

    現代日本における格差と健康を論じた本。現代日本でどのように人々の心と健康に不平等が生じているのか?また人々がおかれたどのような社会的状況(職業、ライフコース、学歴、地域etc)によって健康の不平等が生じているのか?健康をエビデンスに基づいて社会科学的に考えるための基本書です。社会疫学、医療社会学、健康心理学などに興味のある人はぜひ!

    登録日 : 2014-08-17

  11. 推薦者 : 岸本 晶孝   (理学研究科)

    人は弱いものらしい

    The Lucifer Effect -- Understanding How Good People Turn Evil / Philip Zimbardo. - Random House, 2007   北大ではどこにある?

    最近の日本政府は先の大戦で我国の犯した残虐行為を軽視する傾向にあるようです。先ごろも、「従軍慰安婦の募集は軍部の強制によるのではない」という発言をしたひとが、米国で物議をかもすと、わざわざ向こうの大統領の前で釈明し「その謝罪を受け入れる」というお墨付きをもらうという訳のわからないことがありました。
     正直なところこの問題は当時の日本の犯した犯罪行為としては軽微な方だったのではないかと思われます。それよりも、たとえば強制労働のほうが問題です。これは規模も大きく死亡率も(他国の同様の場合と比べ)かなり高かったようです。さらに、これが...   [続きを読む]

    登録日 : 2007-07-10

  12. 推薦者 : 煎本 孝   (文学研究科)

    心理学と人類学のコラボレーション

    集団生活の論理と実践―互恵性を巡る心理学と人類学的検討 / 煎本孝、高橋伸幸、山岸俊男(編著). - 北海道大学出版会, 2007年   北大ではどこにある?

    「心」とは何か。社会心理学による実験的アプローチと文化人類学によるフィールドワークによるアプローチ。人間の心の社会性の解明への挑戦。

    登録日 : 2007-03-27

  13. 推薦者 : 下澤 楯夫   (電子科学研究所)

    邪悪と勇気

    平気でうそをつく人たち : 虚偽と邪悪の心理学 / M・スコット・ペック著 ; 森英明訳. - 草思社, 1996.12   北大ではどこにある?

     人間は一人では生きられず、言葉と行動を通して多くの他個体と相互作用し、社会構造をつくり出し、その中で生きる生物である。その中では、弱い人間を助ける作用も重要な性質(心)として保存される。しかし、作り出された社会構造や機能にただ乗りして生きる邪悪な個体も必ず現れる。
     邪悪なずるい個体は、弱いフリをし、弱者を助ける傾向を持った善良な個体を、虚偽と邪悪で満ちた心の闇に引きずり込む。このような「平気で嘘をつくひと」に出会ったとき、「神の慈悲」にすがるだけではなく、自らの力で虚偽と邪悪を切り捨てる勇気だけが自分を救う。

    登録日 : 2006-02-23

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