文化論 一つ上のジャンルへ
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- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
留学したい人は必読!
バイカルチャルになれる人・なれない人-アメリカで変わる日本人- / 本田正文. - 丸善 , 1999
北大ではどこにある? |
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この本は、大きく分けると著者である本田氏がアメリカ留学の中で体験した異文化適応の過程の紹介と、専門とする第二言語習得理論(から見たバイリンガリズム)の概説をバイカルチャルという観点で融合させていこうとしたものである。こう書くとなにやら難しそうな本のようであるが、そのようなことはない。むしろ、本田氏が実際にアメリカで何に苦労しそこからどのような「智慧」を見いだして異文化での生活を成り立たせていったかが、時にユーモアを交えながら成長段階を追って書かれている。
これから海外留学を目指す人には色々な希望と不安があると思うが、留学... [続きを読む] |
登録日 : 2016-01-11
基本書
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
何もそこまで言わなくても…
日本の大学に入ると、なぜ人生を間違うのか / 吉田良治. - PHP研究所 , 2015
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日本の大学で教職に就いている人間から見ると神経を逆なでされるような表題であるが、それなりの面白さと説得力はある本である。著者は、アメリカの大学の「ライフスキル・プログラム」に足場を置いて、国際通用性に乏しいに日本の大学教育を容赦なく批判していく。この著者の議論は、見方によってはアメリカの大学に留学してアメリカかぶれになった人間の一面的な判断ということもできるが、とりあえず日本の大学教育が抱える問題を概観するには便利な書物であるのは間違いない。あとは読んだ人がそれなりにどう考え、実行するかである。 |
登録日 : 2015-07-14
HOT TOPIC!(時事的なもの)
- 推薦者 : 寺沢重法 所属 : 文学研究科 身分 :
台湾のエスニシティーを理解するために
族群:現代台湾のエスニック・イマジネーション / 王甫昌. - 東方書店 , 2014
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台湾の社会学者・王甫昌先生の著作の日本語訳。つい先日刊行されたもの。原題は王甫昌(2003)『當代台灣社會的族群想像』臺北:群學。台湾の高校生、大学1・2年生向けに行った授業をベースにして書かれたもので、非常にわかりやすい説明である。
族群(エスニシティー)概念の説明から、台湾の「四大族群」(閩南人/客家人/外省人/原住民(先住民))の説明、そして「四大族群」がどのようにして現在のような「四大族群」になったのかを解説している。族群が族群たる根拠・正当性といった、族群の内実を述べるのではなく、族群自体が歴史的・文化的・社会的条件によって可変的... [続きを読む] |
登録日 : 2015-02-20
学習に最適
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
日本の未来を考える視点はどこにあるのか
日本 / 姜尚中・中島岳志. - 河出書房新社 , 2011
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著者二人の対談であるこの本は、僕なりの理解でまとめると「国家権力に絡め取られない自分のあり方をどう構築するか」という問題意識で貫かれており、それを、過去の歴史的文脈も振り返りながら徹底して論じようとしたものである。その基盤をなす発想は「パトリ」(故郷、郷土、あるいは根拠地といったもの)であり、熊本出身の在日韓国人二世である姜氏と大阪出身の中島先生がそれぞれの「パトリ」を意識しつつ、国家権力、あるいはその表象としての「東京」を挟撃するといった展開となっている。読者はそれぞれの「パトリ」に応じてこの対談にさまざまな共感や反発を感じ... [続きを読む] |
登録日 : 2015-01-19
ぜひ読んでみてほしい
- 推薦者 : 寺沢重法 所属 : 文学研究科 身分 :
日本人の幸福感・運命主義・根性主義
日本人の心理 / 南博. - 岩波書店 , 1956
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社会心理学者・南博先生による日本人の心理的特性を扱った本。初版は1953年と結構昔のものであるが、個人的には今でも十分読み応えのあるものだと感じた。江戸時代の各種養生書・処世書などをベースとしつつ、出版の処世書(今でいう自己啓発本か?)などからも引用をし、日本人の心理を整理している。日本人論の初期作品と言っていいかもしれない。もっとも日本人論と言っても、出版された当時の社会状況を反映してか、多くの日本人論に見られるような日本の素晴らしさを唱導する論調は見られない。むしろ軍隊や戦争、日本の権威主義的人間関係などを鋭く批判するというスタン... [続きを読む] |
登録日 : 2014-12-26
名著
- 推薦者 : 寺沢重法 所属 : 文学研究科 身分 :
倫理観を高めれば世の中は良くなるのか?
心でっかちな日本人 / 山岸俊男. - ちくま書房 , 2010
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著名な社会学者・社会心理学者の山岸俊男先生の著作。
「いじめが起こるのは、子供たちの心が荒んでいるからだ。だから道徳心や倫理観を育むのが大切だ」といったタイプの、社会問題の発生要因を人びとの心理に同定し、その心理を変容させることが社会問題の抑止につながるのは、本当なのか?という問題設定から始まる。おおよその結論をまとめてしまうと、「人々はそうしたいからそうしているのではなく、そうせざるを得ない状況があるからそうしているのである。そうせざるを得ない状況を変えれば人々の行動は変わるのではないか?」というところである。このような著... [続きを読む] |
登録日 : 2014-12-17
ぜひ読んでみてほしい
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
異文化は実は…
異文化はおもしろい / 選書メチエ編集部. - 講談社 , 2001
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この本は21人の著者たちによるエッセイの集成である。
『異文化はおもしろい』という表題通り、はじめのうちは確かに「おもしろい」のだが、徐々に「そうなのだろうか?」と考えさせる内容になっていき、最後の「V 異文化が照らす自文化」になると実は異文化と関わるということはそれほどおもしろいばかりでもなくむしろややこしいものであるのだということを痛感させられる。しかし、この本に書いてあることぐらいの基礎的な見識を持たないと異文化と関わっていく(はやりことばで言えば「グローバルに活躍する」)ことなどできないのではないかと考える。この本を足が... [続きを読む] |
登録日 : 2014-12-05
基本書
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
異質な他者との共存は可能か
地球(テラ)へ… (全3巻) / 竹宮惠子. - 中央公論新社 , 1995
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この作品は日本のSF漫画史上に語り継がれるべき大傑作である。それがこの北海道大学附属図書館に置いてあることについて、北大附属図書館スタッフの見識を僕は高く評価したい。単に傑作漫画を置いているからということではなく、この漫画が突きつけてくるあまりにも重い問いが、今日の我々にとって何よりも考え抜かれ、かつ実践されねばならない問いだからである。
グローバル化した社会で異文化としての他者と向き合ってそこで、関わりを深めていこうとするか相手を拒絶するかの選択に迫られることは現代では以前よりも遙かに頻繁にかつ容易に起こりえる。この漫画は、... [続きを読む] |
登録日 : 2014-12-04
名著
- 推薦者 : 寺沢重法 所属 : 文学研究科 身分 :
日本統治時代台湾の女性史
近代台湾女性史 : 日本の植民統治と「新女性」の誕生 / 洪郁如. - 勁草書房 , 2001
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日本統治時代の台湾の女性史の研究。著者の博士論文をまとめた本。纏足解放、女子教育、女性運動、「新女性」のライフスタイルなどが丹念に検討されている。個人的には女子教育を社会階層の視点から分析しているのがとても興味深かった。
たとえば、1920年代の新女性とその夫からなる核家族において、新女性は家事労働をさほど担わなかったというところが面白い。台湾の高等女学校では、近代的知識を伝授するとともに良妻賢母的な教育(料理・礼儀作法・伝統芸能)などを伝授されていたのだが、結婚後の日常生活において家事に関する技能はさほど生かされなかったよう... [続きを読む] |
登録日 : 2014-10-15
名著
- 推薦者 : 寺沢重法 所属 : 文学研究科 身分 :
台湾の「日本語世代」「日本語人」の語り
台湾人生 (DVD) / 酒井充子. - 協映 , 2008
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戦前の日本統治時代に生まれ、日本統治時代の教育を受けたいわゆる「日本語世代」「日本語人」と言われる人々へのインタビューを収録したドキュメンタリー作品。「どのようなライフコースを歩んできたのか」「日本統治時代にどのような暮らしを送って何を考えてきたのか」「戦後どのような人生を歩んできたのか」など、興味深い話が収録されています。台湾、植民地経験に関心のある人のみならず、社会学・心理学・文化人類学などにおける質的研究・定性的研究に関心のある人にも大いに参考になる作品ではないかと思います。本作品をもとにしたルポルタージュも出版されてい... [続きを読む] |
登録日 : 2014-10-13
名著
- 推薦者 : 寺沢重法 所属 : 文学研究科 身分 :
より学術的な台湾の入門書
登録日 : 2014-09-14
学習に最適
- 推薦者 : 寺沢重法 所属 : 文学研究科 身分 :
人びとの日常から台湾を学ぶ
登録日 : 2014-09-14
学習に最適
- 推薦者 : 寺沢重法 所属 : 文学研究科 身分 :
タイの僧侶についての重厚な実証研究
東北タイの開発僧─宗教と社会貢献 / 櫻井義秀. - 梓出版 , 2008
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タイにおいて教育や地域開発、福祉事業などの各種開発を行ういわゆる「開発僧」と呼ばれる僧侶たちへの丹念な聞き取り調査に基づいた実証的な宗教研究・地域研究。「宗教と社会貢献」「タイ研究の動向」「南部タイの暴力」などの大きな議論を踏まえたうえで、僧侶の実証研究が紹介される。
実証研究の最大の目玉は、東北タイの三地点、約100名を超える僧侶の比較研究である。「開発僧」として著名な僧侶のみならず「一般的」な僧侶なども検討していくことで、地域社会における僧侶の役割、「開発僧」と「一般的」な僧侶の連続性、「開発僧」が「開発僧」たる上での政治的... [続きを読む] |
登録日 : 2014-08-27
名著
- 推薦者 : 寺沢重法 所属 : 文学研究科 身分 :
計量社会意識論を学ぶために
現代日本の「社会の心」―計量社会意識論 / 吉川徹. - 有斐閣 , 2014
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同著者による『階層・教育と社会意識の形成─社会意識論の磁界』の流れを汲む著作。調査票調査データを用いて統計的に人々の心を分析するやり方やその発送法などがわかりやく書かれています。本書では特に複数時点のデータを使って「社会の心」の変遷を明らかにすることに力点がおかれています。現代的なトピックである環境意識・健康志向・消費生活なども扱われています。社会学向けの本ですが、社会心理学や哲学、文化論に関心のある人も是非手に取ってみてください。 |
登録日 : 2014-08-27
基本書
- 推薦者 : 寺沢重法 所属 : 文学研究科 身分 :
日本人は日本的なのか?何を以て日本的と言えるのか?
日本人論の方程式 / 杉本良夫, ロス・マオア. - 筑摩書房 , 1995
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「日本人論」というものがしばしば人口に膾炙することがあります。古くは新渡戸稲造『武士道』、最近では藤原雅彦『国家の品格』といったところでしょうか。そうした書籍では、日本国内の格言、歴史上の人物の言動録、著者の国内外での体験などをエビデンスとして「日本人は〇〇である」とされることがしばしばあります。そうしたエビデンスの使い方によって「本当に日本人は日本的である」と言っていいのか?と疑問を呈したのが本書です。
社会科学方法論としても重要な書籍ですが、日本文化や日本と海外の比較に関心がある人も一度目を通してみるといろいろ頭のトレー... [続きを読む] |
登録日 : 2014-08-27
名著
- 推薦者 : 寺沢重法 所属 : 文学研究科 身分 :
日本も案外、宗教的か?
登録日 : 2014-08-27
学習に最適
- 推薦者 : 寺沢重法 所属 : 文学研究科 身分 :
気軽に読める現代台湾の概説書
現代台湾を知るための60章(第2版) / 亜洲奈みづほ. - 明石書店 , 2012
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明石書店の地域研究シリーズの1冊。1章4~6ページの分量で、政治・経済・教育・文化・宗教・日台関係など様々なトピックを60章で紹介しています。内容も現代台湾に関する読み切り型のエッセイ・ルポルタージュ風のものが多いため、興味をもった箇所から気軽に読むことができます。現代台湾に興味をもったらまずは本書を手に取ってみると良いでしょう。 |
登録日 : 2014-08-27
学習に最適
- 推薦者 : 寺沢重法 所属 : 文学研究科 身分 :
文化行動を理解するために
登録日 : 2014-08-27
学習に最適
- 推薦者 : 寺沢重法 所属 : 文学研究科 身分 :
「日本人論」の系譜と「日本人論ブーム」の社会的背景を探る!
「日本人論」再考 / 船曳建夫. - 日本放送出版協会 , 2003
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近代以降の日本では数々の「日本人論」が刊行されてきた。『武士道』『菊と刀』『「甘え」の構造』『ジャパンアズナンバーワン』が代表的ですが、近年の藤原雅彦『国家の品格』なども「日本人論」といえましょう。
ではなぜ「日本人論」が生産され、広く人口に膾炙したのか?
ブームの背景にある日本社会の「不安」、アイデンティティの「揺らぎ」といった社会的・心理的背景を本書は探ります。また本書は「日本人的なるもの」をいわゆる「サムライ」「武士道」などに限定せず、戦時中の「国民」さらには、今日でも日常的に使われる「人間」「職人」といった概念に... [続きを読む] |
登録日 : 2014-08-27
名著
- 推薦者 : 寺沢重法 所属 : 文学研究科 身分 :
人びとの価値観や考え方に格差はあるのか?
登録日 : 2014-08-27
ぜひ読んでみてほしい
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