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推薦者 : 戸田 聡 (文学研究科・教員)
いかに生きるか ―附属図書館企画「少年よ、学部を選べ」に寄せて―
『余の尊敬する人物』 他 / 矢内原忠雄 他. - 岩波書店 他,
北大ではどこにある?
学内の知らせで、「少年よ、学部を選べ」という附属図書館企画があることを知ったが、この文章の主たる対象読者は既に学部を選んでしまっている学生諸君であるだろう。とすれば、今さら「学部を選べ!」と言われても「は?」といった応答しか返ってこないであろうことは必至である。むしろやはり、「生き方を選べ!」とか(ちと高圧的か?)、「いかに生きるか?」といった見出しで書くほうが、どのみち同じ内容だとしても、まだしも受け入れられやすいのではなかろうか。
などと書きはしたものの、自分の人生論をぶつことができるほど筆者(戸田)は老成しているとも... [続きを読む] -
推薦者 : 戸田 聡 (文学研究科)
日本人と全く関係のない或る昔の文明世界のお話
ビザンツ世界論 / ハンス=ゲオルク・ベック. - 知泉書館, 2014年
北大ではどこにある?
「日本人と全く関係のない或る昔の文明世界」の話だって? そんなもの読む暇ないよ! と思う人は以下を読まなくてよろしい。しかし、実益ばかりが強調される今の時代だからこそ、こういうものだってあると言ってみたくなる。
この本でとりあげられているビザンツ帝国は、かの輝かしきローマ帝国の後継国家(正確には、ローマ帝国の断絶なき継続)として、西欧史で言われる中世のほぼ全時代を通じて存在した国家・帝国であり、日本とは全く関係がない。しかも、現代人(特に現代日本人)はそもそも古典(つまり、共通の教養基盤)なるものを顧みなくなって久しいが、ビザ... [続きを読む] -
推薦者 : 戸田 聡 (文学研究科)
イエス・キリストってどんな人だったの?
イエスの影を追って / ゲルト・タイセン. - ヨルダン社, 1989
北大ではどこにある?
聖書やキリスト教の中心的テーマはやはり何と言ってもイエス・キリストであり、そのイエスがどういう人物だったのかという問いは、そういう研究の根底にある問題だと言えます。学問的にイエスの生涯を論じた書物は他にも数多くあり、その意味では別の本も薦められますが(例えばE・P・サンダース『イエス』)、読み物としてはタイセンのこの本がお薦めです。
実は、イエスの生涯を物語風に書いた本も既に数多く世に出ており(例えばモーリヤック、遠藤周作、三浦綾子)、それらもそれぞれに一読の価値がありますが、このタイセンという著者は、もともと新約聖書を専門的に研... [続きを読む]