-
推薦者 : 山口 良文 (低温科学研究所・教員)
冬眠の謎にワクワク
冬眠の謎を解く / 近藤宣昭. - 岩波書店, 2010
北大ではどこにある?
哺乳類の冬眠は、わたしたちヒトや他の冬眠しない哺乳類なら死んでしまうような低体温下で長期間の生存を可能とする、ある意味究極の生存戦略のひとつです。
本著は、シマリスを用いて冬眠の謎に迫った孤高の科学者・近藤宣昭博士による、ご自身の研究録です。実は近藤博士の一連の研究の面白さに私は惹きつけられて冬眠研究をはじめた経緯があり、まさに私の人生を変えた研究です。とはいえこの本は過度に専門的すぎず、実験科学研究がどのような考え方のもと進むのか、専門外の人間でもワクワクしながら読み進められる構成となっています。
将来科学者を目指す若者... [続きを読む] -
推薦者 : 山口 良文 (低温科学研究所・教員)
今の時代にこそあらためて
夜と霧 / ヴィクトール・E・フランクル. - みすず書房, 2002
北大ではどこにある?
ナチス・ドイツによる強制収容所生活を生き延びた精神科医フランクルによる、その体験と分析記録。ここで改めて紹介するまでもなく色々なところで紹介されている名著ですが、まだこちらのリストにはないようだったので挙げておきます。
生命の危機どころか生きる意欲をも見失うような極限状態に置かれたとき、人はどのように振る舞うのか。そして、そこをどう乗り越えるのか。この究極的な問に対する箴言の数々がのっています。
”「生きていることにもうなんにも期待がもてない」こんな言葉にたいして、いったいどう応えたらいいのだろう。
ここで必要なのは、生きる... [続きを読む] -
推薦者 : 山口 良文 (低温科学研究所・教員)
生物学の世紀の来し方行く末
ハエ・マウス・ヒト / フランソワ・ジャコブ. - みすず書房, 2000
北大ではどこにある?
分子生物学の黎明期にオペロン説の提唱によりノーベル医学生理学賞を受賞したフランソワ・ジャコブが、現代生物学が辿ってきた道を解説するとともに、彼自身の科学哲学や、科学と政治・社会の関係性についても織り交ぜながら解説した本。
私自身は大学院生時代にこの本に出会い、自身の将来の研究の方向性について思案を深めることができました。いまでもバイブル的に時折読み返しています。
本著が世に出てすでに20年以上、遺伝子の世紀と言われた20世紀後半は過ぎ去り、21世紀に入ってもなお生物学研究は新しい方法論が次々と登場しますます加速しています。著者が本... [続きを読む]