推薦者: 山口 良文
所属: 低温科学研究所
身分: 教員
研究分野: 生物学、冬眠学
今の時代にこそあらためて
タイトル(書名):
夜と霧
著者:
ヴィクトール・E・フランクル
出版者:
みすず書房
出版年:
2002
ISBN:
4622039702
北大所蔵:
推薦コメント
ナチス・ドイツによる強制収容所生活を生き延びた精神科医フランクルによる、その体験と分析記録。ここで改めて紹介するまでもなく色々なところで紹介されている名著ですが、まだこちらのリストにはないようだったので挙げておきます。
生命の危機どころか生きる意欲をも見失うような極限状態に置かれたとき、人はどのように振る舞うのか。そして、そこをどう乗り越えるのか。この究極的な問に対する箴言の数々がのっています。
”「生きていることにもうなんにも期待がもてない」こんな言葉にたいして、いったいどう応えたらいいのだろう。
ここで必要なのは、生きる意味についての問いを180度方向転換することだ。わたしたちが生きることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題なのだ、ということを学び、絶望している人間に伝えねばならない。哲学用語を使えば、コペルニクス的転回が必要なのであり、もういいかげん、生きることの意味を問うことをやめ、わたしたち自身が問いの前に立っていることを思い知るべきなのだ。”
”人間らしい善はだれにでもあり、全体として断罪される可能性の高い集団にも、善意の人はいる。境界線は集団を越えて引かれるのだ。”
いつまでたっても地球上の戦乱は止むことがなく、日々生命の危機に見舞われる暮らし強いられる人々がいる一方で、平和を享受しつつも将来への不安や不満で生きる意味を見失う人々も多いこの時代、若いうちにぜひこの本に触れみてください。いかに生きていくか、なぜ生きるのか、悩んだことがある人にとって、同じ著者による著作「意味への意志」と合わせて、考える一助となるかもしれません。少なくとも私にはそうでした。
生命の危機どころか生きる意欲をも見失うような極限状態に置かれたとき、人はどのように振る舞うのか。そして、そこをどう乗り越えるのか。この究極的な問に対する箴言の数々がのっています。
”「生きていることにもうなんにも期待がもてない」こんな言葉にたいして、いったいどう応えたらいいのだろう。
ここで必要なのは、生きる意味についての問いを180度方向転換することだ。わたしたちが生きることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題なのだ、ということを学び、絶望している人間に伝えねばならない。哲学用語を使えば、コペルニクス的転回が必要なのであり、もういいかげん、生きることの意味を問うことをやめ、わたしたち自身が問いの前に立っていることを思い知るべきなのだ。”
”人間らしい善はだれにでもあり、全体として断罪される可能性の高い集団にも、善意の人はいる。境界線は集団を越えて引かれるのだ。”
いつまでたっても地球上の戦乱は止むことがなく、日々生命の危機に見舞われる暮らし強いられる人々がいる一方で、平和を享受しつつも将来への不安や不満で生きる意味を見失う人々も多いこの時代、若いうちにぜひこの本に触れみてください。いかに生きていくか、なぜ生きるのか、悩んだことがある人にとって、同じ著者による著作「意味への意志」と合わせて、考える一助となるかもしれません。少なくとも私にはそうでした。
※推薦者のプロフィールは当時のものです。