現代社会について考える
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- 推薦者 : 高井潔司 所属 : メディア・コミュニケーション研究院 身分 :
研究や他者を批判することの厳しさを知る
激辛書評で知る中国の政治・経済の虚実 / 矢吹晋. - 日経BP社 , 2007
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本書は、中国関係図書に対する書評を通して、中国の政治・経済の実相を知るスタイルを取っている。台頭する中国をめぐってはさまざまな著作が出版されているが、ベストセラーとなっている本の中にも、偏見や憎しみに基づいて編集され、事実からかけ離れたものがある。著者は、生半可な書評ではなく、該博な知識と厳密な調査に基づいて、ベストセラーになった中国関係図書を解剖し、辛らつな批判を行っている。中国を理解するだけでなく、研究の厳しさ、他者を批判することの厳しさを教えてくれる。 |
登録日 : 2007-07-28
HOT TOPIC!(時事的なもの)
- 推薦者 : 高井潔司 所属 : メディア・コミュニケーション研究院 身分 :
全うな現代中国論
臨界点の中国 / 藤野 彰. - 中国書店 , 2007年
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巷にあふれている現代中国論、現実の中国から出発せず、中国脅威論や崩壊論、あるいはそれらとは対極の中国待望論がほとんどである。著者は、10年を超える中国特派員の経験と知識を活用し、中国全土を歩き回り、様々なレベルの中国人の声を集め、それを基礎に穏当な中国論を展開してている。地に足の着いた中国論である。好きであれ、嫌いであれ、日本の将来にとって、対中関係のあり方はますます重要になっている。そのためには、まず中国の実像をしっかり抑えておく必要がある。本書は極めて有用な視点と知識を提供してくれよう。 |
登録日 : 2007-07-27
HOT TOPIC!(時事的なもの)
- 推薦者 : 岸本晶孝 所属 : 理学研究科 身分 :
人は弱いものらしい
登録日 : 2007-07-10
ぜひ読んでみてほしい
- 推薦者 : 岡田敦美 所属 : メディア・コミュニケーション研究院 身分 :
「他者」と向きあう人類最初の経験――コミュニケーションや異文化について考える
他者の記号学―アメリカ大陸の征服 / ツヴェタン・トドロフ. - 法政大学出版局 , 1986(日本語初版)
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著者のトドロフは、ブルガリア生まれでパリで活躍する言語学者。本のテーマは「他者の発見」で、その手がかりとして、新大陸の発見と征服の時期が、もっと具体的にいえば、新大陸とヨーロッパ人が出会って以降の100年あまりの間に新大陸に渡ったヨーロッパ人によって書かれた記録や文書が、分析対象として選ばれたのである。トドロフによれば、1492年は、「ヨーロッパの歴史上、最も驚嘆に値する他者との出会い」の画期をなした。「今あるヨーロッパ人のアイデンティティが示され、基礎づけられたのはまさにこの新大陸の発見にあるのだ」。その意味で、1492年以来、ヨーロッパ... [続きを読む] |
登録日 : 2007-06-25
名著
- 推薦者 : 岡田敦美 所属 : メディア・コミュニケーション研究院 身分 :
遠い世界の「他者」へ、思いをはせる
先住民ミヘの静かな変容―メキシコで考える / 黒田悦子. - 朝日選書 , 1996
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ラテンアメリカの民族誌として定評ある一冊で、メキシコ南部オアハカ州での参与観察に基づいた著者の研究は、現地メキシコでも出版されているほどです。だまされたと思って、読んでみてください。
1970年代にミヘの村に住んで、調査を済ませてから10年以上経った1990年代に、ミヘの村を再訪するところからこの本は始まります。出稼ぎや、都市への移住をはじめとする村の外部との行き来を通して、大きな変貌を遂げたミヘの人々を、「心の触れ合える人たち」として身近にとらえる、著者、すなわちフィールドワーカーの目を通して、私たちは遠いメキシコの先住民の人々の... [続きを読む] |
登録日 : 2007-06-25
ぜひ読んでみてほしい
- 推薦者 : 岡田敦美 所属 : メディア・コミュニケーション研究院 身分 :
グローバリゼーション研究の一人者による入門書
グローバリゼーションとは何か―液状化する世界を読み解く / 伊豫谷登士翁. - 平凡社新書 , 2002
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「グローバリゼーション」というとき、それは「国際化」とどう違うのか、そしてグローバリゼーション研究が、いかなる問題意識に立脚して、どのような現象を分析対象としてきたのかを知るうえで、最良の一冊です。
キーワードは、たとえば国民国家の相対化、世界秩序、南北問題、多国籍企業、メディア、移民、労働市場・・・。アクチュアルな現象に関心がある人、開発援助に関心がある人は、是非読んでみましょう。
第一章:グローバリゼーションの課題は何か、 第二章:時代としてのグローバリゼーション、 第三章:グローバリゼーションをマッピングす... [続きを読む] |
登録日 : 2007-06-25
HOT TOPIC!(時事的なもの)
- 推薦者 : 煎本孝 所属 : 文学研究科 身分 :
地域研究から人間性の探究へ。
現代文化人類学の課題―北方研究からみる― / 煎本孝、山岸俊男(編著). - 世界思想社 , 2007
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地球規模で進行する急激な変動の時代、北方文化を語ることは、単なる地域研究の枠を超えて、人類学が抱えている普遍的課題に立ち向かうことである。「人間とは何か」というテーマのもと、現代の文化人類学が直面する喫緊の問題を鋭くえぐり出す。
詰論的展開 第1章 北方研究の展開/第2章 心の文化・生態学的基盤
狂Φ罎亮匆馘役割 第3章 研究論理と先住民族アイヌの人権/第4章 北海道大学におけるアイヌ・北方文化研究とアイヌ新法の制定
恵狼經超問題と開発 第5章 人類の生態と地球環境問題―ポスト社会主義下におけるクジラの利用と保... [続きを読む] |
登録日 : 2007-05-31
HOT TOPIC!(時事的なもの)
- 推薦者 : 鍋島孝子 所属 : メディア・コミュニケーション研究院 身分 :
市民が作る国際政治
地球時代の国際政治 / 坂本義和. - 岩波書店 , 1990年
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国際政治とは、強い国家が国益のためにやりたい放題する状態だと思っていませんか。確かにそういった面は否定できません。しかし、著者は世界が核兵器の脅威に直面している中、市民の力で国際政治の構造が変動する可能性を示唆しています。
決して安易な理想主義ではなく、市民と国家、国際社会の在り方について冷徹に検証しています。 |
登録日 : 2007-05-31
名著
- 推薦者 : 西昌樹 所属 : メディア・コミュニケーション研究院 身分 :
怒りか誇りか、何をこめて振り返るのか
日本国憲法 / 森達也. - 太田出版 , 2007
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平和を守れという憲法論議ではない。監督森達也が憲法についての考えを自分の言葉で書いた本。ただ他の本と違うのは、分る人は分るが雑誌Quick Japanの連載に加筆したものであることだ。改憲でも護憲でもいいが、それは自分がちゃんと考えた上の思想だろうか。また『映画日本国憲法』(DVD)も見てほしい(北分館にあり)。まじめだが、非常に面白い映像である。 |
登録日 : 2007-05-31
ぜひ読んでみてほしい
- 推薦者 : 煎本孝 所属 : 文学研究科 身分 :
北方周極地域に生きる
北の民の人類学―強国に生きる民族性と帰属性― / 煎本孝 山田孝子(編著). - 京都大学学術出版会 , 2007年
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ロシア、アメリカ、中国などの強国において、さまざまに揺れ動く社会状況の中で生きる北方周極地域の少数民族。圧倒的な力をもつ多数派集団と共生する彼らのエスニシティ(民族性)とアイデンティティ(帰属性)の動態を、人類学的視点から描き出す。
序章:北の民の民族性と帰属性、第吃堯Фβ犬悗瞭察‖茖云魯▲ぅ綿顕修砲ける死の儀礼の復興をめぐる葛藤と帰属性/第2章カナダ・イヌイットの文化的アイデンティティとエスニック・アイデンティティ、第局堯А崋然」のシンボル化 第3章自然との共生/第4章「我々はカリブーの民である」/第5章アイデンティティ構... [続きを読む] |
登録日 : 2007-03-17
学習に最適
- 推薦者 : 煎本孝 所属 : 文学研究科 身分 :
たんけん、ワクワク。
トナカイ遊牧民、循環のフィロソフィー ―極北ロシア・カムチャツカ探検記― / 煎本 孝. - 明石書店 , 2007
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期待と、同時に少しのあきらめに似た沈痛な気持ちの中、新潟空港を飛び立った一人の人類学徒の物語。
「それはすばらしい時代でした。たくさんの人々がおり、また、その中のある者たちはシャマンでもありました。子供たちは枝を折り取り、それでトナカイを作り、互いに『トナカイ遊びをしよう』と言い合いながら遊んでいました…」と彼らが語るトナカイ遊牧の起源。
神々に捧げるトナカイの供犠、幻覚キノコの夢の中で訪れる死者の世界、ペレストロイカ以後の急激に変化するロシアで民族と国家とが対峙し、新しい文化が創造される最前線、そして、宇宙における生... [続きを読む] |
登録日 : 2007-03-17
ぜひ読んでみてほしい
- 推薦者 : 大平具彦 所属 : メディア・コミュニケーション研究院 身分 :
グローバル時代を真摯に生きるための知の指南書
異文化理解の倫理にむけて / 稲賀繁美(編). - 名古屋大学出版会 , 2000
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異文化理解論については凡百の書が出ているが、この本はその中で出色ものである。特筆すべきは、大学での教科書としてつくられていながら、多くの類書とは全く違って、文化接触の生の現場を通して、思考する営みへと読者を導いてゆく内容構成がなされていることである。それは巻頭に掲げられている以下の「本書のねらい」が雄弁に語っている。
1.異文化衝突の現場を提示する
2.文化間の価値観の相克、葛藤を浮き彫りにする
3.現場を知る専門家ならではの、読者へのメッセージ
4.概論提示ではなく、読者を理論構築へと誘う
5.読者による探... [続きを読む] |
登録日 : 2007-02-22
学習に最適
- 推薦者 : 岸本晶孝 所属 : 理学研究科 身分 :
人類の岐路
覇権か、生存か : アメリカの世界戦略と人類の未来 / ノーム・チョムスキー. - 集英社 , 2004
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北朝鮮の核実験に触発されて、与党の有力者から、わが国も核を保有するべきだ、というような議論が出ました。政府の見解は、非核三原則を貫く、しかし言論は自由なので、将来のことをあれこれ思い巡らすなかに「核武装」という選択肢も残しておく、ということであったようです。ここで肝心なことからわざと目を背けていることに気づきます。この問題のまえに、当然、アメリカの覇権にどう対処するべきか、という議論を済ませておかなければならないからです。(実際に核武装すれば、イスラエルという例外がありますが、アメリカの逆鱗に触れることは確実です。)
チ... [続きを読む] |
登録日 : 2007-02-19
ぜひ読んでみてほしい
- 推薦者 : 煎本孝 所属 : 文学研究科 身分 :
自然とは?文化とは?人類学とは?
文化の自然誌 / 煎本孝. - 東京大学出版会 , 1996.6
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海女がつかうヤマタテの技、森林インディアンが見るトナカイの夢、自然に密着して生きる人間の行動戦略とは?主要目次・自然と文化の人類学、・海女の自然誌、・森林インディアンの自然誌。
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登録日 : 2007-02-12
学習に最適
- 推薦者 : 煎本孝 所属 : 文学研究科 身分 :
アイヌの世界観を知ろう
アイヌの世界観 : 「ことば」から読む自然と宇宙 / 山田孝子. - 講談社 , 1994.8
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クマ・オオカミ・シマフクロウ・・・・・。魚の満ちあふれる川、シカが群れつどう山。大自然をアイヌはカムイ(神)としてとらえる。彼らの信仰はいかにして形成されたのか?「ことば」が「生活世界」を切り取るプロセス。秘密はそこにある。北の民の世界観がいま、認識人類学の立場から鮮やかに解明される。
本書の内容
・プロローグ
・アイヌの宇宙観
・霊魂とカムイ
・アイヌの植物命名法
・動物の分類と動物観
・諸民族との比較
・世界観の探求−認識人類学的アプローチ |
登録日 : 2007-02-12
学習に最適
- 推薦者 : 煎本孝 所属 : 文学研究科 身分 :
変容著しい東北アジアの文化と言語の現在を読み解く!
東北アジア諸民族の文化動態 / 煎本孝編著. - 北海道大学図書刊行会 , 2002.2
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日本、ロシア、中国、モンゴルを含む東北アジアには、広大で多様な環境が展開している。それは、民族学(文化人類学)的には北アジア、中央アジア、東アジアを含む地域である。生態的にも、地理的にもけっして閉鎖的な地域ではないこの多様な環境に生活する人々は、さまざまな文化と言語とをもっている。本書では東北アジアの文化と言語の動態を多角的に比較検討し、東北アジアの現在について考察する。 |
登録日 : 2007-02-12
基本書
- 推薦者 : 煎本孝 所属 : 文学研究科 身分 :
空想すくすく、ノンフィクション文庫版
カナダ・インディアンの世界から / 煎本孝. - 福音館書店 , 2002.11
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トナカイを求めて、凍てつく雪原を来る日も来る日も犬橇を走らせるカナダ・インディアンの男たち。「トナカイは人が飢えている時、その肉を与えに自分からやってくるものだ」と彼らは言う。本書は、その魂に、“自然”の力を宿し、季節と共にその内なる力を育みつつ生きてゆく人びとの、たぐいまれなる記録である。丹念な取材に裏付けされた事実に基づく自然誌、成熟した読者にも読み応えのある作品。 |
登録日 : 2007-02-12
名著
- 推薦者 : 西昌樹 所属 : メディア・コミュニケーション研究院 身分 :
教育学部以外の学生諸君もぜひ
子どもが見ている背中 : 良心と抵抗の教育 / 野田正彰. - 岩波書店 , 2006
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北大医学部出身の精神医学者が、教育、特に国旗・国歌の強制から教育基本法の改定にいたる動きを論じた本。広島県の二人の校長が自殺に追い込まれ、それを利用して国旗国歌法が制定されたこと(自殺は一方的に反対した教師たちのせいではない事実)、教育現場への締め付けを告発している。この問題に関する著者の主張に賛成、反対は別にして、いろいろな事実や背景を知った上で自分の意見を決めねば、指導者の言うことやメディアの論調に流されてしまう。それは広告と同じで、イメージ戦略にのってしまうことである。同じ問題を扱った旧著[続きを読む] |
登録日 : 2007-01-31
ぜひ読んでみてほしい
- 推薦者 : 岸本晶孝 所属 : 理学研究科 身分 :
憲法は、政府に対する命令である。
憲法は、政府に対する命令である。 / ダグラス・ラミス. - 平凡社 , 2006
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キャンベラにマグナカルタプレイスという小さな緑地があります。碑文によるとオーストラリア建国(1901年)はこのマグナカルタ(1225年)を礎としているということだったと思います。もっともあとで調べてみるとその国の憲法にはそんな一文はなく、建国の手続きばかりのようでした(総督の給与をいくらにするとか)。英国から移民したひとたちにとってマグナカルタの占める位置は当然のことだったのでしょうか。
残念ながらこの国は法というほどのものを生み出しませんでした。有史以来(?)天皇家がこの国を統治しているということに非常な価値を見出してい... [続きを読む] |
登録日 : 2007-01-30
ぜひ読んでみてほしい
- 推薦者 : 岸本晶孝 所属 : 理学研究科 身分 :
占領下日本と憲法
敗北を抱きしめて(上下) / ジョン・ダワー. - 岩波書店 , 2001,2004
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この国の憲法を「押し付けられたものだから」(を理由のひとつとして)改正しようとする動きがあります。近隣諸国との諍いをも厭わず戦死者の霊を慰めることに熱心な人たちですから、敗戦後の生活の塗炭の苦しみに加えて意に染まぬ憲法を押し付けられるという精神的苦痛を味わった当時の庶民への同情に突き動かされて発議したのかと思っていましたら、そうでもなさそうです。いかに歴史を学ばないひとでも、当時の人々のほとんどが解放感に包まれてこれを歓迎したことは知っているでしょう。それとも、その始祖たる時の首相吉田茂が天皇裕仁のまえで「臣茂」と名乗ること... [続きを読む] |
登録日 : 2007-01-17
名著
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