教職員氏名順INDEX
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- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
インタビュー調査に必読の一冊
聞きとりの作法 / 小池和男. - 東洋経済新報社 , 2000
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研究の必要からインタビュー調査をすることになって、そのためのノウハウが書いてある本を数冊読んだが、その中で最も役に立ったのがこの本である。
内容は著者の小池氏が専門とする経済学の、主として職場の技術移転を例にとって書かれているが、その分インタビューの実際に関する記述が非常に豊富でわかりやすい。また、インタビューデータからどのように読み取りを行ったらいいかの例やインタビューの前後に行っておくべきことなども書かれていて、将来、聞きとり調査が必要となる分野で研究しようと考えている学生にとっては必読の一冊である。 |
登録日 : 2014-12-04
基本書
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
図書館の達人になる!
登録日 : 2014-12-04
学習に最適
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
哲学書を読み解く技術とは
『純粋理性批判』を噛み砕く / 中島義道. - 講談社 , 2010
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中島義道氏は、いろいろなところで一人っきりで哲学書を読むことの危うさを論じ、ご自身の「哲学塾カント」のホームページでも「哲学書を正確に読み解くには独特の技術が必要で、いい加減なわかり方ほど危険なことはありません。」と書いている。その中島氏がカント『純粋理性批判』の「アンチノミー論」を中心に据えてカントの-そしておそらくは中島氏の考える、「哲学書」の-読み方を実践したのが本書である。
この本は、難解な哲学書である(と思われている)『純粋理性批判』について意外にわかりやすいことを書いているのだ、というスタンスからカントの行論を追... [続きを読む] |
登録日 : 2014-12-04
ぜひ読んでみてほしい
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
異質な他者との共存は可能か
地球(テラ)へ… (全3巻) / 竹宮惠子. - 中央公論新社 , 1995
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この作品は日本のSF漫画史上に語り継がれるべき大傑作である。それがこの北海道大学附属図書館に置いてあることについて、北大附属図書館スタッフの見識を僕は高く評価したい。単に傑作漫画を置いているからということではなく、この漫画が突きつけてくるあまりにも重い問いが、今日の我々にとって何よりも考え抜かれ、かつ実践されねばならない問いだからである。
グローバル化した社会で異文化としての他者と向き合ってそこで、関わりを深めていこうとするか相手を拒絶するかの選択に迫られることは現代では以前よりも遙かに頻繁にかつ容易に起こりえる。この漫画は、... [続きを読む] |
登録日 : 2014-12-04
名著
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
家族が「家族」として語られるとき
戦略としての家族-近代日本の国民国家形成と女性- / 牟田和恵. - 新曜社 , 1996
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多くの人にとっては家族というのは気がついたら存在している(という意味で)自然な環境である。この本は、その自然なはずの家族が近代日本のジャーナリズムの中でどのように論じられ、どのようにその論じ方が転換し、どのように教育の中に取り込まれてきたかを考察し、近代日本人の意識の中に「家族」として根付く過程を明らかにしている。今日の夫婦別姓や、性別役割分担の問題、あるいは家族の「絆」ということを考えたい、あるいは、そうしたことに興味がある学生にお薦めしたい本である。 |
登録日 : 2014-08-23
学習に最適
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
戦前・戦中・戦後を駆け抜けた哲学者の生き方に迫る
戦争が遺したもの-鶴見俊輔に戦後世代が聞く- / 鶴見俊輔、上野千鶴子、小熊英二. - 新曜社 , 2004
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後藤新平の孫、鶴見祐輔の子として生まれ、華麗な閨閥の中で一種の拗ね者として幼少期を送った鶴見が、アメリカ留学から戦後市民運動までの自身の生き方と考え方、その過程で関わった様々な人々とのつながりを余すところな語った貴重な証言である。戦争(というより戦場)の実相、市民運動のあり方、知識人と言われる人々の生態など、実体験した者でなければ語れない生々しさがある。一人物の座談的伝記としても、歴史書としても読み応えがあるのでぜひ一読を勧めたい。 |
登録日 : 2014-08-23
ぜひ読んでみてほしい
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
日本語教育に関わりたい人に
日本のことばとこころ / 山下秀雄. - 講談社 , 1986
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日本語教師として30年近く働いてきてまだ人生を回顧するのは早すぎると思うけれども、この仕事を選んだ自分にとって「恩師」と呼べる先生は3人いる。この推薦書の著者である山下秀雄先生もそのお一人で、講習会や研究会で多くのことを教えていただき、海外に教えに行っていたときにもいろいろと心配りをしていただいた。先生は、平成10年9月に交通事故で亡くなられ、その前日の夕刻に僕に宛てて出されたお手紙がこの世での最後の書簡となった。それは今も僕の手元にある。
本書は、山下先生が、日本語教師としての長年の経験と研究から、外国語としての日本語を見るための... [続きを読む] |
登録日 : 2014-07-12
基本書
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
死と美意識と
太陽と鉄 / 三島由紀夫. - 中央公論新社 , 1987
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この作品は三島の、精神と肉体の拮抗を軸とした自己認識過程の吐露であるとともに、己の死と向き合おうとする冷徹な美意識の自己表現の書でもある。この本に書かれた思索とその基盤をなす体験の延長線上で三島はあのような「自決」という仕方を選び取ったのであり、その死は三島の、死に対する美意識の自己完結的結晶であったのだ。「国(でも何でもいいが要するに他者)のために自分の生命を投げ出して死ぬ」ということを自分の真剣な問題として考えたいなら、この本は、その内容を肯定するにせよ否定/批判するにせよ、避けて通れない作品であり、今の時代にあらためて読... [続きを読む] |
登録日 : 2014-06-20
名著
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
日本と日本人を見る目の背後にあるもの
日本人論・日本論の系譜 / 石澤靖治. - 丸善 , 1997
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この本は、ルース・ベネディクトの『菊と刀』以後の代表的な日本人論・日本論を取り上げてそれらを関連づけて論じることを通して日本と日本人に対する内外の見方がどのように関連し合ってどう変化してきたかのわかりやすい見取り図を描き出すものである。
この本の眼目は、所謂広義の「日本(文化)論」と言われるものを「日本論」と「日本人論」に分けてそれぞれが登場してくる歴史的・政治的文脈を明らかにしている点である。これを読むと、結局のところ、“代表的な”(と言われている)「日本人論」や「日本論」は、実は-カレル・ヴァン・ウォルフレンを除くと-基本的... [続きを読む] |
登録日 : 2014-03-10
基本書
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
思索するカントの姿に迫る
理性の不安-カント哲学の生成と構造- / 坂部 恵. - 勁草書房 , 2001
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この推薦文を書いている今日の昼間、書店に行ったら故石川文康先生訳『純粋理性批判(上下)』(筑摩書房)が棚に並んでいるのを見てびっくりした。石川先生は昨年逝去されたし、『純粋理性批判』を翻訳していらっしゃったことも知らなかった。同時に、どうしてこうも日本の哲学研究者(あるいは出版社?)は『純粋理性批判』の翻訳を出したがるのかなぁ、とも思ってしまった。この「本は脳を育てる」に文学研究科の千葉先生が熊野純彦先生の翻訳を推薦していらっしゃるが、それ以外にも多くの翻訳があり、訳書の多さという点では哲学書に限定せずとも『純粋理性批判』、ハイデガー... [続きを読む] |
登録日 : 2014-03-09
ぜひ読んでみてほしい
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
論理学の深さを知る
現代論理学入門 / 沢田 允茂. - 岩波書店 , 1962
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今から50年前に出たこの本は、いまなお論理学の名著としての価値を失っていない。もちろん50年の間には論理学にも進歩があって、多値論理、様相論理、量子論理などはこの本では取り扱われていないし、用語や記号の表記も古いところがあるが、それは仕方ないこととしても、論理学を専門的に研究するならともかく、それ以外の幅広い哲学的関心に広く答え得る点でこの本をしのぐ内容のものはいまだにほとんどないと言って良い。こうした優れた本を絶版にしないで出し続けている岩波書店の“営業努力”は賞讃されてしかるべきである。
この本を紹介する際に、記号の使用を最... [続きを読む] |
登録日 : 2012-11-19
基本書
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
「英学」のもう一つの姿
日本における近代倫理の屈折 / 堀孝彦. - 未来社 , 2002
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さきにこの「本は脳を育てる」に、惣郷正明『日本英学のあけぼの』を推薦した。今度の『日本における近代倫理の屈折』は、惣郷の本にも登場する幕末の英語通詞・堀達之助の子孫である堀孝彦氏が、達之助の営為を通じて「英学」を語学としてのみではなく「人文学」と捉え、その内実が急激な近代化を急ぐ日本の中でいかなる変化を余儀なくされたか-著者のことばで言えば「屈折」を経たか-を明らかにし、現代にまで繋がるその「屈折」の影響を読み取ろうとしたものである。その「屈折」の延長線上には、明治期から現代までの日本の倫理道徳上の様々な問題が関連してくること... [続きを読む] |
登録日 : 2012-11-19
ぜひ読んでみてほしい
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
理想郷とは?
失われた地平線 / ジェイムズ・ヒルトン. - 新潮社 , 1959
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ジェイムズ・ヒルトンといえば『チップス先生、さようなら』で広く知られているけれども、この『失われた地平線』は、彼のもう一つの代表作とも言える、不思議な雰囲気をたたえたユートピア小説である。第一次大戦後の動揺するインドからヒマラヤを舞台に、英米人の主人公たちが思いがけない事件に巻きこまれて一種の理想郷的世界に紛れ込んでいく。特に、この小説の後半をしめるラマ教寺院の院長とイギリス人外交官の対話、そこから急転する脱出劇は読むものを引きつけて放さない面白さがある。(この小説に出てくる「シャングリラ」ということばは後に“理想郷”を示す代... [続きを読む] |
登録日 : 2012-05-01
名著
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
類まれな人間観察の鋭さ
君主論 / マキアヴェッリ. - 岩波書店 , 1959
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マキアヴェッリあるいは『君主論』というと、後世に染みついた「権謀術数を弄する奴」というイメージが浮かぶが、実際の彼はそういうことを中心的な思想として言いたかったわけではない、というのが今日では一般的な理解となっている。この本は時として“政治思想の古典”などと言われるが、そういう読み方を一旦脇に置いて、彼がこの本の中でどのように人間を描き出しているかを読み取っていくと意外に面白い。それも、表だって書かれている様々の君主ではなく、名前すらも分からないような一般人や兵士たちを、国や君主にとってどのような存在と見ていたかに焦点を当て... [続きを読む] |
登録日 : 2010-09-13
名著
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
「哲学」のススメ
善の研究 / 西田幾多郎. - 岩波書店 , 1979
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『善の研究』については、これまで嫌になるくらい論文や研究書があり、僕もかつてその手のものを書いたことがある。それだけいろいろな読み方・解釈が可能だという点では紛れもなく「古典」であるが、同時に何回読んでもすっきりと分かった感じになれないところもある。そういうところから、「西田哲学を理解するためにも実際に参禅をしなければならない」(久松真一)といった言説が出てくるのだろう。
『善の研究』は、すぐ分かるようでありながら実は分かりにくいし、まさにその「分かる=理解」という営みそのものを問題にしているところがあるので、どこまで行... [続きを読む] |
登録日 : 2010-08-17
名著
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
高校で読まされてウンザリした人に敢えて今勧める
舞姫 / 森鴎外. - 筑摩書房 , 1995
北大ではどこにある? |
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今回、この「本は脳を育てる」に推薦された本を全部見てみた。(僕は別として)北大の優秀な先生方が思い入れ充分に推薦しておられるのだからそれなりに読む価値があるのだとは思うけれども、なぜか古典と言われる作品が洋の東西を問わず少ない。僕も書いたことがあるから他人のことをあげつらってはいけないのだが、何となく新刊書の紹介のようになっている観がある。古典は高校までの間に読んでいるはずだから、今更勧める必要もないという考え方もあるかもしれないが、古典が古典と言われるほどまで時代を超えて生き続けるのは、人間の成長とともに様々な新しい読み方を... [続きを読む] |
登録日 : 2010-07-28
名著
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 国際連携機構国際教育研究センター 身分 :
映像芸術の極致!
オルフェ(DVD,VHS) / ジャン・コクトー. - アイ・ヴィー・シー ,
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フランスが生んだ万能の芸術家-その活動は詩、小説、音楽、絵画、舞台演出、映画に及ぶ拡がりを持つ-ジャン・コクトーの、まさに幻想・幻視芸術の粋を極めた作品である。この映画を高校生の時に初めてテレビで見たのだけれども、見終わって恥ずかしげもなく「ジャン・コクトーは天才だ!」と叫んでしまったことを覚えている。その後何回もこの映画を見てきたが、見るたびに上の感想は間違いなかったと感じている。
物語は、ギリシャ神話のオルフェウスとエウリュディケーの悲劇を下敷きにしているが、コクトーの奔放不羈な想像力によって、生と死、詩人(芸術家)の運... [続きを読む] |
登録日 : 2010-03-22
名著
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