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日本語教師として30年近く働いてきてまだ人生を回顧するのは早すぎると思うけれども、この仕事を選んだ自分にとって「恩師」と呼べる先生は3人いる。この推薦書の著者である山下秀雄先生もそのお一人で、講習会や研究会で多くのことを教えていただき、海外に教えに行っていたときにもいろいろと心配りをしていただいた。先生は、平成10年9月に交通事故で亡くなられ、その前日の夕刻に僕に宛てて出されたお手紙がこの世での最後の書簡となった。それは今も僕の手元にある。
本書は、山下先生が、日本語教師としての長年の経験と研究から、外国語としての日本語を見るための目をいかに養い、どのように教えることに結びつけていくかを平易な、そして飽きさせることのない書きぶりでまとめたものであり、日本語教育に関心を持つ若い人には是非読んでもらいたい本である。僕も、日本語を教えていて、今なお何か行き詰まったときにはこの本をひもといて「こんな時山下先生だったらどうお考えになっただろうか」と思いつつ問題解決のヒントを探すことがある。折しも、国際本部留学生センターの上司である山下好孝教授が、今年度から「実践日本語教育」という一般教育演習(多文化交流科目)を開講された。この授業を通じて日本語教育に関心を持つ学生が増えてくれることを僕も望むものであり、当該授業の受講生諸君には是非読んでほしいと思ってここに推薦する次第である。 |