教員氏名順INDEX
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- 推薦者 : 河合剛 所属 : メディア・コミュニケーション研究院
think hard, act decisively

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カラー図解 ストップ原発〈1〉大震災と原発事故 (全4巻) / 新美景子. - 大月書店 , 2011
北大ではどこにある? |
Japan lacks investigative journalism. Scientific journalism is almost as scarce. Read this series of 4 illustrated books for children. Familiarize yourself with the theory, history, objectives, advantages, and costs of nuclear energy. You may wonder why you knew so little before picking up these books.
I vehemently oppose nuclear power plants. You may agree or disagree with me. Either way, you owe it to yourself and the world to learn all about the issue, particularly the aspects that the government and industry strive to hide. |
授業科目名 : english language
登録日 : 2012-01-11
- 推薦者 : 岸本晶孝 所属 : 理学研究科
日本社会の病い

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まやかしの安全の国 / 田辺文也. - 角川SSC新書137 , 2011
北大ではどこにある? |
去る3月11日の地震・津波による福島第一原発の事故は様々な疑問を投げかけます。事故の発生という事実に直面してからでは遅いといわれそうですが、原子力に携わる人々や事故に対処する政府関係者や事故の直接の当事者などの個人的資質にも疑念を呈したくなりますし、それを許容する社会の制度にも不信を抱かざるをえません。この本はそういう疑問に答えてくれそうですし、考えるきっかけを与えてくれそうです。以下、著者のあとがきより引用します。
・・・・・原子力のような巨大システムの安全確保に不可欠なのは、設備の運転や保守に携わる人のシステムに対する深い理解であり、そのために必要なことは、現場の人たちに「科学するこころとちから」を培うことだ、と考えてきました。しかし今さらながら気がついたのは、研究者・学者にその「科学するこころとちから」が失われているという惨状でした。とくに民主主義を根底から否定するような情報統制に口をつぐむ・・・・・・この二つ(科学的思考と民主主義)が欠如した「原子力村」とは、日本社会のさまざまな「村」の典型に過ぎなく、日本社会の構造的な歪み、換言すれば日本社会の「病」の縮図なのであって、すべての日本人にとって決して他人事でないのだ、と思います。・・・・・・・
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授業科目名 : 微分積分学
登録日 : 2012-01-06
- 推薦者 : 小泉均 所属 : 工学研究院
これだけあるタバコの百害

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タバコやめますか人間やめますか / 広島県医師会. - ごま書房 , 1992
北大ではどこにある? |
| 1992年初版の古い本であるが、健康の専門家である医師が、一般向けに、きちんとしたデータに基づき、タバコの有害性、タバコによって引き起こされる疾患、禁煙法について、わかりやすく解説している。この本を読みタバコの有害性を理解し、タバコについて興味を持っている人は、喫煙始めることをやめ、すでに喫煙している人は、喫煙という悪い習慣をやめて、卒業していってほしい。タバコは、百害あって一利無しである。タバコやめますか、人間やめますか?答えは明白である。 |
登録日 : 2011-12-22
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 留学生センター
文章を書くことが苦手な人に安心を与えてくれる本

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「書くのが苦手」をみきわめる / 渡辺哲司. - 学術出版会 , 2010
北大ではどこにある? |
今学期(2011年度第2学期)から、文章表現が苦手な人を対象にした「一般教育演習」を開講したので、その準備のため過去1年かけて、いわゆる「文章読本」的な本を36冊ほど読んでみた。(実は、こういうことはすでに小説家の斎藤美奈子さんがやっていて、その成果は『文章読本さん江』(筑摩書房)で公にされている。) この本は、その中でも「苦手」という心理がどうして生じているのかを明らかにして、具体的にどのような対策を採ればそれが克服できるのかを書いている点でもっとも参考になったものである。
ただ、学生向けの本というよりは教師向けの内容であるため、いわゆるハウツー物にはならないが、自分は文章を書くことが苦手だと感じている学生のみなさんに、実はそうでもないんだ、と感じて文章表現/自己表現する勇気を持ってもらえる本ではないかと思い、ここに推薦することにした。
ちなみに、36冊読破した結果は一言で言うと「笑止千万」であった。例えば、ある本は文章の構成として「起承転結」を勧め、他の本は「起承転結」なんか止めてしまえ、と書いているし、またある本は接続詞を使って文の関係を明確化せよと書く一方で、他の本は接続詞はうるさいから控えよ、と書く。本当に「文章読本」の著者は罪作りなものだと実感した次第である。
本書の他に唯一推薦できるのは、戸田山和久『論文の教室』(NKH出版)。多くの場合、「文章が苦手だ」という人は、「何を/どう書いたらいいかわからない」と言う悩みを抱えているものだが、戸田山さんのこの本は、書くことを見つけるための目の付け所、考え方、論理展開の種類まで親切に書いてくれている。併せて一読をお勧めする。 |
登録日 : 2011-11-14
- 推薦者 : 河合剛 所属 : メディア・コミュニケーション研究院
Meticulous study of a piece of historical architecture

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フランク・ロイド・ライトの帝国ホテル / 明石 信道、村井 修. - 建築資料研究社 , 2004
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After many years of wishing, some months ago I finally visited the old Imperial Hotel, now relocated to the Meijimura open-air museum in Inuyama, Aichi. I sat in the hotel lobby for 2 hours to soak in the atmosphere.
This book explains the history, design, and philosophy of the Imperial Hotel and the architect behind it. I am no fan of Frank Lloyd Wright as a family man (he deserted his first wife because he became infatuated in another woman; shame on him!). Nor am I impressed with how he treated his clients (cost over-runs were commonplace -- one client remarked "We had an unlimited budget, and we exceeded it" -- and many clients were shocked to receive bills for unsolicited "gifts" sent to them by Wright). But his designs have continued to fascinate me.
This book is an in-depth treatise on Wright's planning and execution. Rare photos and architectural drawings are found throughout the book. Those of you who have read an overview of Wright's designs will be pleased to find a detailed explanation of a building that was a cornerstone of his career. |
授業科目名 : English Online (English II)
登録日 : 2011-10-03
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 留学生センター
『聖書』成立のドラマに迫る

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聖書の起源 / 山形孝夫. - 筑摩書房 , 2010
北大ではどこにある? |
山形孝夫氏の本の中では、過去に『砂漠の修道院』をこの「本は脳を育てる」に推薦したことがある。あの本が砂漠の修道院に生きる修道士達の人間ドラマとして読めるとすれば、今回推薦する『聖書の起源』は、『聖書』という信仰の書が現実の一つの書物として成立していく過程に込められた(ナザレのイエスや福音書記者達の活動を含めた)様々な事象の展開としてのドラマと読めるだろう。要となるのは『聖書』を古代オリエント世界の神々との関係-ある意味ではパワーゲームと言い換えても良い-の中で形成されたものとして読み解こうとする意図であり、その中で、ナザレのイエスがいかにして「イエス・キリスト」となっていったのかが明らかにされていく。『聖書』の中の謎めいたたとえ話が持つ古代オリエント世界の奥行きが解き明かされる過程はきわめて興味深い。原著(講談社現代新書版)は30年以上前に刊行されたものであるが、今読んでも面白さは全く変わらない 興味を感じた読者は、さらに同じ著者の『治癒神イエスの誕生』や『聖母マリア崇拝の謎-「見えない宗教」の人類学-』(どちらも図書館にある)も読んでみてほしい。
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授業科目名 : 人間と文化
登録日 : 2011-01-04
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 留学生センター
「田辺元ルネサンス」のために

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田辺元哲学選I~IV(全4冊) / 田辺元. - 岩波書店 , 2010
北大ではどこにある? |
前にこの「本は脳を育てる」に西田幾多郎の『善の研究』を推薦したことがある。ところが、日本のアカデミックな哲学界では、西田は何かと話題にもなり研究対象にもなるのに、その謂わば批判者であった田辺元については(同じく批判者であった戸坂潤と比べても)圧倒的に研究(あるいは言及)が少なかったし、むしろ色々な意味で批判的に見られすぎたり西田との対比(それもマイナスの)で捉えられすぎたりしてきたように思われる。私事で恐縮だけれども、僕も院生時代に西田哲学と田辺哲学の対立点について研究発表をしたが、聞き手の殆どが西田哲学の方に関心が強い人たちだったのであまり相手にしてもらえなかった記憶がある。過去、筑摩書房から『田邊元全集』は出版されていたし、辻村公一編『現代日本思想体系 田辺元』や中埜肇篇『田辺元集』(いずれも図書館にある)、そして氷見潔や中沢新一の研究書もあったが、16年前、僕が北大に赴任してきた時にはここでは(なぜか)農学部図書室に全集第3巻だけがぽつんとあるような状態だった。図書館の方々のご尽力でそうした状況は改善されてきたが、田辺哲学がそれ自体の価値を本格的に研究されるようになるのはまだこれからであると思われる。今年の後半になって、一気に4冊、田辺哲学の重要なエッセンスが文庫版で刊行された。初期の、まだ西田の影響下にあった頃の論文も再刊が望まれるところではあるが、日本の近代哲学についての関心が高まり始めている現在、田辺の仕事を曇りのない目で評価し、その成果を検討するためにも、また、外来の知的営為である「哲学」を日本ですることの意味を考える上でも、哲学・倫理学専攻の人々だけでなく多くの人に読んでもらいたいと思い、ここに推薦する。
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授業科目名 : 人間と文化
登録日 : 2011-01-04
- 推薦者 : 千葉惠 所属 : 文学研究科
惹きこまれ一気に読める素粒子宇宙論入門

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宇宙に終わりはあるのか?素粒子が解き明かす宇宙の歴史 / 村山斉. - ナノオプトニクス・エナジー出版局 , 2010
北大ではどこにある? |
| 評者の書架には素粒子論や宇宙論の基本書、入門書が何冊かほこりをかぶっている。本書は稀なことにも「分かる」という感覚を頁毎に持続しながら、惹きこまれて一気に読むことができた入門書です。150頁の小著ということもありましょうが、評者には幸いな出会いをもたらしてくれ、あいまいで雑然としたなまかじりの知識に秩序と生命を与えてくれました。書名副題にあるように、著者は極微の素粒子の世界の解明が130億年の宇宙の構造と歴史の解明の手掛かりであることを明晰かつ簡明にそして説得的に展開しています。物理学のこの領域においては何が問題になっており、どのような理論が解として立てられ、実験により検証され疑いのないものになっていくかが、歴史的な展望のなかで理論と実験のバランスのよく取れた記述と図解により提示されています。「素粒子は・・すべての自然事象の基本になっている粒子です。宇宙の始まりでは、宇宙自身が小さかったので素粒子が主役の世界でした。その素粒子たちのふるまいが、なぜ宇宙に銀河ができたか、それから私たち自身の存在、つまり、暗黒物質の起源と、なぜ物質と反物質の違いができたかということに関わっていると考えられます」(p.129)。なお日本のノーベル物理学賞受賞者たち(湯川、南部、小林・益川理論)が連続的に位置付けられ、彼らの仕事がどれだけ画期的なものであるかも分かりやすく臨場感をもって描かれています。確かに、ユニークな発想の連続です。物理の思考が、一般的にもその通りなのですが、問いをどのように提示するかに、その解明の道筋が依拠しているそのような思考であることがわかります。個人的には四つの力の統一理論の方向性について理解が進み喜んでいます。ともあれ、初めて宇宙論、素粒子論に挑戦する学生諸君に薦めると同時に、また何度も挑戦しつつも挫折した学生諸君には諦めずに本書により再挑戦を薦めます。 |
授業科目名 : 思索と言語
登録日 : 2010-12-08
- 推薦者 : 千葉惠 所属 : 文学研究科
哲学の始原がよくわかる

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Definition in Greek Philosophy / ed.David Charles. - Oxford University Press , 2010
北大ではどこにある? |
| 本書により哲学の揺籃であるギリシア哲学において、とりわけソクラテスがこだわった事物の同一性とその認識の問題がプラトン、アリストテレスそしてストアにおいてどのように理解され、哲学理論へと展開されていったかをテクストに即して理解することができる。周知のようにソクラテスは会う人ごとに、勇気とは、節制とは正義とはそして幸福とは「何であるか?」を尋ね、共に探求した。当時の人々同様多くの人が持つ哲学の理屈っぽさのイメージはこのソクラテスの問答の持つ吟味、論駁の詳細さそして厳密さに起因しているように思われる。しかし、本書によりこの「何であるか?」の問いが明晰な仕方でほぐされ再提示されるとき、ソクラテスは何かゆきあたりばったりに論駁し相手をへこませているように見えるその営みが実はその後の哲学の営みの基本的な諸問題を提示していた根源的な営みであったことを知ることができる。ウィトゲンシュタインが'Identity is devil'と叫んだが、この同一性の問題こそたとえばプラトンのイデアやカントの「もの自体」を要請せざるをえない超越論的圧力の原動力なのである。編者D.CharlesのIntroductionは現在他の誰にも書くことができないと思われる周到で興味をそそる論述である。推薦者もアリストテレスにおける「何であるか?」の理論的分析が、述定の範疇、存在者の範疇さらにはものそれ自体としての「本質(何であったかということ)」として提示され、その後の哲学の営みを規定したことを論じている。本書により哲学は単に理屈ではなく、ソクラテスが生涯かけて探求したように、事柄そのものを探求する勇敢な営みであることが理解されることを願う。 |
授業科目名 : 思索と人生
登録日 : 2010-10-16
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 留学生センター
類まれな人間観察の鋭さ

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君主論 / マキアヴェッリ. - 岩波書店 , 1959
北大ではどこにある? |
マキアヴェッリあるいは『君主論』というと、後世に染みついた「権謀術数を弄する奴」というイメージが浮かぶが、実際の彼はそういうことを中心的な思想として言いたかったわけではない、というのが今日では一般的な理解となっている。この本は時として“政治思想の古典”などと言われるが、そういう読み方を一旦脇に置いて、彼がこの本の中でどのように人間を描き出しているかを読み取っていくと意外に面白い。それも、表だって書かれている様々の君主ではなく、名前すらも分からないような一般人や兵士たちを、国や君主にとってどのような存在と見ていたかに焦点を当てて読むとこれがまた面白いのである。是非彼の鋭い人間観察眼を追体験して、この古典の別の一面を発見してほしい。 ただ、歴史的な背景が分かりにくいところもあるので、家田義隆『マキァヴェリ-誤解された人と思想-』(図書館にある)を参考にするとよいと思う。さらに、塩野七生『わが友マキアヴェッリ-フィレンツェ存亡-』(これも図書館にある)も今年になって新たに新潮文庫から3巻本で刊行されたので、一読をお勧めする。 翻訳はいろいろあるが、岩波文庫の黒田訳(1959年改訳版)と河島訳(1998年)を読み比べた限りでは、(イタリア語が読めないので文法的な正確さについては何も言えないが)河島訳は半分が註と解説でいちいち参照していたら煩わしいし、一文や修飾節が長かったりして日本語として読みにくいところがある。黒田訳は、(何しろ初訳は1935年だから)ことばはいかにも古めかしいところがあるが、それなりの趣がある。個人的にはこちらを勧めたい。
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授業科目名 : 人間と文化
登録日 : 2010-09-13
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 留学生センター
「哲学」のススメ

授業科目名 : 人間と文化
登録日 : 2010-08-17
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 留学生センター
高校で読まされてウンザリした人に敢えて今勧める

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舞姫 / 森鴎外. - 筑摩書房 , 1995
北大ではどこにある? |
今回、この「本は脳を育てる」に推薦された本を全部見てみた。(僕は別として)北大の優秀な先生方が思い入れ充分に推薦しておられるのだからそれなりに読む価値があるのだとは思うけれども、なぜか古典と言われる作品が洋の東西を問わず少ない。僕も書いたことがあるから他人のことをあげつらってはいけないのだが、何となく新刊書の紹介のようになっている観がある。古典は高校までの間に読んでいるはずだから、今更勧める必要もないという考え方もあるかもしれないが、古典が古典と言われるほどまで時代を超えて生き続けるのは、人間の成長とともに様々な新しい読み方を汲み出すことができるからだと僕は思っている。そこまで読み継がれてきたのだから中身自体は古くさいのが当たり前なのだ。その古くささの向こう(あるいは奥)に何か光るものが見え(た気がす)るから、人は古典を読み続けるのだと思う。 そこで『舞姫』である。これは、僕が高校生時代には-今もそうらしいが-高校の教科書に載っていて、現代国語の授業でいわば無理矢理読まされたものである。文体はわかりにくいし、内容は湿っぽいしで、おまけに担当した教師が、この作品を、山縣有朋をモデルとする天方伯爵即ち権力者に弱みを握られて首根っこを掴まれた哀れな男・太田豊太郎=森鷗外自身の慨嘆の書であるという解釈をしたものだから、もう全くウンザリしてしまった記憶がある。最近この歳になって再読する機会があったのだけれども、前より数段面白く読んでいる自分に気がついて、高校時代の嫌悪感は何だったんだろうと思い直している。今の僕は、これを太田豊太郎と相沢謙吉の「男の友情」-しかも『ヰタ・セクスアリス』ともつながる一種の疑似同性愛的な関係-の物語だと解釈している(余談だが、山本鈴美香の『エースをねらえ!』も、岡ひろみを主人公とする“スポ根”漫画というよりは、宗方仁と桂大悟の男の友情の漫画だと思っている)。これはあくまで一つの解釈に過ぎないが、高校時代には思いつかなかったこうした解釈がいまできることが古典の一つの魅力だと思う。僕と同じように高校時代に教科書で読まされてウンザリした人には、今すぐでなくてもいいからいつか再読することを勧めたい。 テキストは各種あるけれども、注釈の親切なちくま文庫版『森鷗外全集1』を推奨する。
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授業科目名 : 人間と文化
登録日 : 2010-07-28
- 推薦者 : 佐藤淳二 所属 : 文学研究科
21世紀の人間は、ポスト・マラルメ主義者とならねばならない!

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詩・イジチュール / マラルメ. - 筑摩書房 , 2010
北大ではどこにある? |
ポスト・マラルメ主義とは何か? それは「従って」を切断する戦いの行動原則であり、革命理論である。しかし、その理論はまだその全容を現してはいない。若い世代がそれを実現していくことを期待されているのだ。 その来るべき理論は、原因理由を表す接続詞で繋がる連鎖を革命的に断ち切り、世界を原因結果の連鎖、必然性の連関から解放する文化的政治的運動原理とならねばならない。それがポスト・マラルメ主義の根幹でなくてはならない! 「従って」は、われわれのあらゆる認識、文化、ひいては科学を形成する根幹の装置であるが、ここに爆薬を仕掛けた危険きわまりない詩人がマラルメであった。「従って」をラテン語ではIGITURという。フランス語読みすれば「イジチュール」となる。この主人公イジチュール「従って」君は、世界が理由と根拠によって隈無く組織化されたことを感じ、それに閉塞している。偶然はどこにあるのか? 現実界(le REEL) は、ついにわれわれに偶然の出来事を通じて援助の手をさしのべてくれるのか? 今夜、深夜ゼロ時の時間を告げる鐘とともにその真実が明かされよう・・・
かつて、マラルメを読むことは秘儀伝授に等しい困難さを伴っていた。注釈書から注釈書へとわたりあるき、たった一行を読むために数週間呻吟し、その果てにゼミの準備をしても菅野昭正先生(『ステファヌ・マラルメ』は世界最高水準の研究書である)が演習で示された読みにはただ驚くばかり、ひたすら打ちのめされるということの連続であった。しかし、それも過去のこと、昔の物語だ。今の学生たちには整備された書物が身近となり、しかも日本語で読めるのである! この書物の深い迷宮に入るとき、脳は自然に宇宙の逆巻く波と巨大な渦巻きに直接に接続する・・・かもしれない。 ともあれ大脳=詩、大脳と詩が一体となる作品、そのような作品が、マラルメと共にこの世に姿を現したのは事実である。そして21世紀のわれわれはマラルメ後の世界を生きる必要がある。マラルメの後に生まれただけではマラルメ後を生きることはできないのだ。ポスト・マラルメであるために、マラルメを通過すること、それが求められているαでありωである。全世界のポスト・マラルメ主義者よ、団結せよ!
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授業科目名 : 芸術と文学
登録日 : 2010-07-02
- 推薦者 : 西昌樹 所属 : メディア・コミュニケーション研究院
少年一人大地を行く

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たった独りの引き揚げ隊 / 石村博子. - 角川書店 , 2009
北大ではどこにある? |
| 第2次大戦が終わった翌年、満州に残った民間の日本人はやっと引き揚げることになった。日本人とロシア人の混血の少年(日本国籍)は一人で日本に渡ろうとする。ところが彼はロシア人だと大人の引揚者に荷物を奪われ、引揚げ列車から叩き出され、置き去りにされる。まだ10歳の少年は荷物もなくただ一人満州の荒野を縦断して1000キロ彼方の集合地へと歩き始める。ナイフ1本で彼は2カ月の旅を生き抜く。彼は母方のコサックの血を引いており、生き抜く意志を捨てない。彼は後に格闘技サンボのチャンピオンになり、世界に有名なサンボマスターとなる。この勇者の物語の裏に、他の民族に対しての日本人の態度がいかなるものかも分かる。「友愛」とは言わぬが、アジアの民族に対する「友情」(特にロシア、中国、北朝鮮、韓国、台湾)を考えたい。国家、政府でなく民衆に対してである。日本人はいまだに何の理由もない優越感を持っていないだろうか。同じ著者による『ハルビン新宿物語』も勧める。これも満州に関するもので歌手加藤登紀子の母が主人公である。 |
授業科目名 : フランス語、芸術と文学、国際交流科目、メディア映像文化論
登録日 : 2010-07-02
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 留学生センター
映像芸術の極致!

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オルフェ(DVD,VHS) / ジャン・コクトー. - アイ・ヴィー・シー ,
北大ではどこにある? |
フランスが生んだ万能の芸術家-その活動は詩、小説、音楽、絵画、舞台演出、映画に及ぶ拡がりを持つ-ジャン・コクトーの、まさに幻想・幻視芸術の粋を極めた作品である。この映画を高校生の時に初めてテレビで見たのだけれども、見終わって恥ずかしげもなく「ジャン・コクトーは天才だ!」と叫んでしまったことを覚えている。その後何回もこの映画を見てきたが、見るたびに上の感想は間違いなかったと感じている。 物語は、ギリシャ神話のオルフェウスとエウリュディケーの悲劇を下敷きにしているが、コクトーの奔放不羈な想像力によって、生と死、詩人(芸術家)の運命、愛の逆説などのテーマが見るものを引きつけて離さない不思議な映像効果のもとに描き出されていく。詩人オルフェの日常を描きながらどこか奇妙に暗さを秘めた現実=生の世界と、鏡の向こうに現れるこれまた奇妙な明るさをたたえた死の世界が幻想的に造形され、ジャン・マレー演じるオルフェは、死の国の天使ウルトビーズ(フランソワ・ペリエの、主役を喰う怪演が圧巻!)に導かれて死の国の王女(演じるマリア・カザレスも圧倒的な存在感)に逢い、死んだ妻・ユリディスを取り戻そうとする。その結末はここでは触れないが、是非ギリシャ神話のオルフェウスの物語(長いものではない)を読んだ上で見てもらえればと思う。さらに、高橋洋一『ジャン・コクトー-幻視芸術の魔術師-』も読んでいただければ、この作品の奥深さが一層分かるにちがいない。なお、図書館には『ジャン・コクトー全集』も入っていることを付け加えておく。 |
授業科目名 : 人間と文化・日本語I
登録日 : 2010-03-22
- 推薦者 : 高橋英光 所属 : 文学研究科
北大の全学教育から誕生した言語学の本

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言葉のしくみー認知言語学のはなしー / 高橋英光. - 北海道大学出版会 , 2010
北大ではどこにある? |
なぜ言葉は自分の思いをそのまま伝えてくれないのか、なぜ母語の学習はふつう成功するのに外国語の学習は失敗するのか、交通標識などの記号と言語の共通点は何か相違点は何か、日本語は特殊な言葉か否か、日本語のようなS0V言語と英語のようなSVO言語はどちらが多いのか、ヒトはなぜメタファーが好きなのか、「明日は忙しくて、ごめんなさい」はなぜ断りになるのか、そもそもなぜどの言語にも語彙と文法があるのか、などの疑問をもったことはないだろうか。
本書は、これらの疑問に触れながら言葉のしくみを丁寧に噛み砕いて説明する。豊富なエピソードとイラストを用いて読者に語りかける。ヒトはその生存の大部分を言葉に依存している。言葉を持たない民族はなく、言葉なくしては学問も科学技術も存在しない。それどころか言葉がないとヒトの生活はヒト以前の状態に戻るのではなかろうか。言葉とはヒトそのものであり言葉のしくみを調べることはヒトとは何かを知ることにつながる。
私たちは「金星」のことを「明けの明星」とも呼び、前後の文脈や状況によって使い分けている。これができるのはヒトに高度の認知能力(脳の働き)があるおかげである。言葉のしくみとヒトの認知は切り離すことはできない。『言葉のしくみー認知言語学のはなしー』には、著者と北大生との13年に及ぶ真剣で楽しいやりとりから得られた貴重な知識・洞察がふんだんに盛り込まれている。読者は本書から世界の言語の基本知識から認知言語学の最先端までをいつのまにか学ぶことができる。理系・文系の区別に関係なくすべての北大生に一読していただきたい一冊である。 |
授業科目名 : 思索と言語
登録日 : 2010-03-10
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 留学生センター
一つの国を知るということ

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オーストラリアの言語教育政策 / 青木麻衣子. - 東信堂 , 2008
北大ではどこにある? |
オーストラリアという国は、私が小学生の頃(!)は「白豪主義」というキーワードとともに社会科で教えられていた。しかし、その後この国は「白豪主義」から「多文化主義」へと大きな方針転換を遂げることになる。本書は、オーストラリアの言語教育政策に焦点を絞って、上記の方針転換過程でそこに浮かび上がる「国家統合」と「多文化主義」の緊張関係を明らかにした労作である。しかし、ただ言語教育政策の検討だけでなく、(比較)教育研究や地域研究、マイノリティ研究に関してもこの本が提供してくれる知見は多い。広い意味での社会科学研究とは何かを、そしてまた、その方法論的モデルを学びたいと考えるする人には是非読んでほしい一冊である。
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授業科目名 : 人間と文化、日本語Ⅰ
登録日 : 2010-01-14
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 留学生センター
「倫理」は可能か?

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支配と服従の倫理学 / 羽入辰郎. - ミネルヴァ書房 , 2009
北大ではどこにある? |
羽入辰郎は、過去、『マックス・ヴェーバーの犯罪』や『学問とは何か』で些か刺激的な言説を思想界に投げかけてきた研究者である。本学経済学研究科の橋本努教授が、そのホームページで「羽入-折原論争の展開」を企図され、そこに羽入の著作に対する見解が数多く寄せられたが、残念ながらこの「論争」は、生産的な方向に向かう前に羽入によって『学問とは何か』の中で終結を宣言されてしまった。 本書は、羽入の講義録を基にまとめられたものであるが、「倫理」をもし「よく生きること」と解釈するなら、「支配と服従の倫理」というのは、形容矛盾でしかないと考えられる。しかし、羽入は、人が多かれ少なかれ「倫理」的に行きようとすることが、権威や社会関係の前でいかにあっけなく崩壊してしまうか、むしろ人間がいかに外的な権威などに隷従しようとするものであるか=カント的に言えば人間が「悪への傾向性」から逃れがたいものであるかを、容赦なく明らかにし、その中でいかに生きることが可能か(→「いかに生きるべきか」ではない)を考えさせようとする。羽入自身が書いているように、時として「極論」が出てくるので読むときには注意が必要であるが、それがかえって極論ではない自分に引きつけて考えることへと読者の思考を誘導・触発していく力にもなっている。考えながら読むことの楽しさと苦労を是非体験してみていただきたい。 |
授業科目名 : 人間と文化、日本語Ⅰ
登録日 : 2010-01-04
- 推薦者 : 中村重穂 所属 : 留学生センター
老いと社会のつながりを考える

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暴走老人! / 藤原智美. - 文藝春秋 , 2007
北大ではどこにある? |
最近、老人(高齢者)の犯罪がメディアで報道されることが多くなったように思う。老人が犯罪をするからメディアがニュースネタとして飛びつくのか、本当に老人の犯罪が増えているのかは慎重に考える必要があるだろう。しかし、少なくともこれまでの社会の(あるいはメディアの)あり方として、若者の犯罪や不作法には寛容ではなかった一方で老人の犯罪や不作法(特に後者)が大目に見られてきた面はある。このページを読んでいる人の中にも、町中での老人の振る舞いに「年寄りだから何でも許されるってわけじゃねーよ!」と思ったことがある人がそこそこいるに違いない(実は、私はしょっちゅうある)。 この本は、そうした老人の、所謂「問題行動」を取り上げながらも、決してそれらを叩くことで読者の溜飲を下げさせようというものではなく、むしろ現代の急激な社会の変化の中で「老い」を「老い」として認めることが如何に難しくなっているか、その一種の反動としての老人たちの苦しみがどのようなものであるかを明らかにしようとしたものである。考察は必ずしも十全であるとは思わないし、「暴走老人」が暴走してしまう原因を単純化しすぎているきらいはあるが、これを批判的に読み通すことで、現在の、そしてこれからの社会で老いることの意味、よりはっきり言えば難しさを考える契機になると思う。 今は若い皆さんにも必ず「老い」はやってくる。そのことを今から考えるのも無駄ではないだろう。
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授業科目名 : 人間と文化、日本語I
登録日 : 2009-12-03
- 推薦者 : 佐藤淳二 所属 : 文学研究科
モーツァルトを思考しよう!

授業科目名 : 芸術と文学
登録日 : 2009-11-18
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