いつの時代にも共通する「悶々」 |
タイトル(書名) | : |
恋愛論 |
著者 | : |
スタンダール |
出版者 | : |
岩波書店 |
出版年 | : |
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ISBN | : |
400375087X,4003750888 |
北大所蔵 | : |
北大所蔵1 北大所蔵2 北大所蔵3 |
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推薦コメント |
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スタンダールの『恋愛論』と言えば、「結晶作用」や「恋愛の四分類」であまりにも有名であるが、これらのことばだけが一人歩きしてしまっている観がなきにしもあらずである。この本は、周知のようにスタンダール自身がある女性との恋愛に悶々としていた経験を下敷きにして、当時のヨーロッパの知識人の12世紀から18世紀にわたる古典的教養を背景として書かれた人間観察の集成と言えるものである。そこに描かれる様々な恋愛事情の「悶々」は、21世紀日本の我々には分かりにくい部分や、今なら御法度になる部分を含んではいるものの恋愛という経験について今なお教えてくれるところが多い。同時にこの本は、イタリアに恋い焦がれつつ母国フランスに対して屈折した思いを抱くスタンダールの自己分析の本とも言えるだろう。『赤と黒』などの小説と比べると、かなり鬱陶しい書き方になっているので多少の根気が必要かもしれないが、「古典」としての価値ある本である。 |
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