推薦者: 中村 重穂
所属: 国際連携機構国際教育研究センター
死と美意識と
タイトル(書名):
太陽と鉄
著者:
三島由紀夫
出版者:
中央公論新社
出版年:
1987
ISBN:
4122014689
北大所蔵:
推薦コメント
この作品は三島の、精神と肉体の拮抗を軸とした自己認識過程の吐露であるとともに、己の死と向き合おうとする冷徹な美意識の自己表現の書でもある。この本に書かれた思索とその基盤をなす体験の延長線上で三島はあのような「自決」という仕方を選び取ったのであり、その死は三島の、死に対する美意識の自己完結的結晶であったのだ。「国(でも何でもいいが要するに他者)のために自分の生命を投げ出して死ぬ」ということを自分の真剣な問題として考えたいなら、この本は、その内容を肯定するにせよ否定/批判するにせよ、避けて通れない作品であり、今の時代にあらためて読まれる必要があると考える。
※推薦者のプロフィールは当時のものです。