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内容については読んでください。短編小説です。
北海道大学でも,学部一貫教育が始まり,授業科目にも新しい試みが導入されました。
そのひとつに論文指導(講義)というものがあります。しかしわたしの学生時代には,そんな親切な授業などはありませんでした。わたしは,この小説を声に出して読み,一部はノートに書き写すようにして正しい日本語を書く練習をしました。
上述の福永武彦氏が美しい日本語についての感性を生来持ち合わせていたのに対して,丸谷才一氏にはそれがなく,努力と訓練と工夫に よって正しい日本語が書けるようになったのではないでしょうか。
それだけに丸谷氏の文章は,わたしにとってたいへんに参考になりました。美しい日本語で書かれたこの小説の読後に,深い静謐(せい ひつ)を味わったことを覚えています。 |