NIIメタデータ・データベース共同構築事業の開始について

—インターネット上の学術情報資源のデータベース化−

 

1.NIIメタデータ・データベースとは?

  現在、学内の多くの方が、自分の利用したい図書の所蔵館を探す時に、NII(国立情報学研究所、以下NII)のWebcat(全国総合目録データベース)を利用していることでしょう。1997年に開始されたこのサービスは、北大のみならず全国の大学・研究機関で所蔵する学術資料の検索ツールとして、すっかり皆さんにお馴染みのものとなりました。
  
NIIでは、昨今の学術情報が多様なメディア、なかんずくネットワークを介して多量に流通している情況を踏まえ、ネットワーク上の学術情報のデータベース化・公開サービス計画に着手、準備を進めてきました。6月から試行運用に入り、この度10月よりメタデータ・データベース共同構築事業として本格運用を開始しました。事業の目指すところは「主として国内の大学・研究機関が、インターネット上において発信している学術情報資源のメタ情報(二次情報)をデータベース化することにより、学術情報の円滑な流通を図り、各大学の研究成果を広く世界に発信することを支援するものです。集積されたデータは、国立情報学研究所の学術コンテンツポータル”GeNii“(ジーニイ)を通じて内外へ提供され、その利用者が大学側の機関サーバや学内コンテンツにアクセスする手がかりとして機能します。」というものです。


2.データベースの構築は?

  データベースは、全国の構築事業参加館の共同分担入力により、まず自機関の発信する学術情報を、一定の評価基準(3.収録対象と採録の基準)に沿い収集し、主題情報、内容説明(4.記述要素)を付加したレコードを登録し構築します。北大は、部分的な試行運用(6〜9月)への参加を経て、この10月16日に開催されたNIIメタデータ・データベース共同構築事業説明会を機に、全学的な参加体制を整えつつあります。北大発信のインターネット上の学術情報を広く公開する有効な機会ですので、データの入力は図書館・学部図書室が担当することとし、登録対象の収集体制等含め検討します。当面、学内各位におかれましては、登録してほしい研究成果等の推薦・紹介などをお寄せ下さい。各参加組織には登録したデータの一括入手サービスもあり、今後の北大における学術コンテンツポータル機能の構築・整備や、情報サービスに利用することも展望できます。
 
3.収録対象と採録の基準
 (1)収録対象(機関内発信リソース)
  ①研究成果
    ・論文[全文閲覧](逐次刊行物掲載論文、学位論文、テクニカルレポート、科研費研究報告等)

   
・論文以外の研究成果(一般向け研究概説・解説、医療情報、資料解題、電子教材)
  ②研究成果リスト
   ・逐次刊行物(電子ジャーナル、紀要類[逐次刊行物単位])
   ・論文リスト(特定主題に基づき集められた論文リスト)
   ・プロジェクト関連情報(研究・実験プロジェクトの概要、進捗情報等)
   ・学術的なシンポジウム、講演会、研究会、公開講座等の内容記録・予稿集
  ③研究資源
   ・実験データ、統計データ、フィールドワーク報告
   ・ソフトウエア
   ・電子的な辞書、データセット
  ④研究者・研究機関情報
   ・研究者個人のページ(研究テーマの紹介、論文・発表情報等)
   ・研究室トップページ(研究概要、構成員、業績一覧等を含むもの)
   ・研究者情報リスト(教官一覧、研究者プロフィール、著作・論文リスト)研究者情報データベース
  ⑤教育情報
   ・講義情報リスト(シラバス、講義内容要約、講義録)
   ・電子教材リスト
  ⑥図書館情報
   ・図書館・室トップページ
   ・図書館資料・コレクション等の案内・紹介・リスト
  ⑦デジタルミュージアム・電子展示
  ⑧参考情報
   ・データベース(画像、文献等)
   ・文献目録・文献索引
   ・リンク集・電子ジャーナル集
    ・メーリングリスト 
  ⑨広報資料
   ・機関のトップページ、下部組織(学部相当)のトップページ、機関広報資料
             
            1.機能概要
              メタデータの作成は「メタデータ・データベース構築システム」を用いて行う。
              各参加組織は、Webブラウザを用いて、シ
ステムにアクセスする。
  概念図
*

(2)収録対象としないもの
  ①機関外・学外から利用できないもの

  ②短期的・限定的な情報、軽微な情報
 (3)採録の基準
   採録の注意点として、以下の観点からおおむねこれらを満たすリソースとする。
    ①内容(内容を的確に表現するタイトルがあるか等、内容が正確・公平なもの)
    ②信頼性(作成者等責任の所在が明示され、アクセスが安定しているか等)
    ③鮮度(的確に更新され、デッドリンクの割合が著しく高くないか等)
    ④その他(追加的な閲覧ソフトが必要な場合、入手先等の説明があるか)

4.記述の要素
  データの記述内容は、ダブリン・コア(Dublin Core Metadata Initiative:DCMI)の定める記述要素(Elements)に準拠した国際的な標準的データ形式を基本とし、NII独自の拡張を加味したものです。

要素
説明
入力レベル
1
Title(タイトル)
リソースに与えられた名前
必須及び選択
2
Creator(作成者)
内容作成に責任を持つ個人または団体
あれば必須
3
Subject(主題)
内容の持つ主題
必須及び選択
4
Description(内容記述)
内容に関する説明
選択
5
Publisher(公開者)
リソースを利用可能にしたことに責任を持つ個人/団体
選択
6
Contributor(寄与者)
リソースの内容への寄与者
選択
7
Date(日付)
リソースの作成・更新年月日
あれば必須
8
Type(資源タイプ)
リソース内容の性質及び種類
必須
9
Format(フォーマット)
リソースの物理形式またはディジタル化形式
(システム自動付与)
10
Identifier(資源識別子)
リソースを一意に識別する文字列ないし番号(URL等)
必須及び選択
11
Source(情報源)
リソースの元リソース参照
(当面使用しない)
12
Language(言語)
リソースで使われている言語
必須
13
Relation(関係)
リソースに関連する他のリソースへの参照
選択
14
Coverage(範囲)
(当面使用しない)
15
Rights(権利関係)
(当面使用しない)


5.メタデータ・データベースの公開

 NIIでは、このデータベースを平成15年1月から一般へ公開、サービス開始の予定です。NII学術コンテンツポータル“GeNii”において、主題(LCSH,NDC)と資源タイプを軸とした検索インタフェイスを用い、メタデータ主要エレメント内の全文検索を可能とする内容で開発中ということです。


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