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ヒトは、旅をすることに特徴をもつ動物「ホモ・モビリタス」であるという人がいる。確かに、見知らぬ土地を訪れて、これまで新たな出会いの中から未知のものに出会うことは大いに刺激的なことである。ヒトは自らが知らないということに気づくことに驚きとともに好奇心を刺激され、知りたいという新たな欲求を得るのである。
大学も新たな出会いと未知の領域を教えてくれる場所であるが、それ以上に無尽蔵の可能性を秘めた空間がフィールドである。私たちを旅立たせてくれるきっかけとなる本と出会えることは、さらに素敵なことである。
一冊の本を紹介したい。
一人のヒトが旅立ち、自然とそこに暮らす人々を通して、知るという喜びを獲得していく過程がよく描かれている。私も、フィールドサイエンスという野外に未知のものを探しもとめ、新たな発見の喜びに魅了されたものの一人であるが、なぜ、毎年フィールドに引き寄せられるのか、その理由の一つを本書の中に見出すことができたことがある。文庫版であり、手軽に読めるものである。ぜひ手に取る機会をもち、一読してほしいと思う。
本書に出会うことをきっかけに何かを探しに旅に出たいと思う諸君が現れるとこを期待する。 |